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宝塚の街に溢れるサウンドスケープ

風鈴の音
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録音機を買った。録音機を買ってみた。

私は舞台に立っていた時、自分の歌を録音するという事をしていた。多くのタカラジェンヌがそうしている。その内に、どこで録音するのが良いかという事にこだわり出して、舞台花道や舞台袖、楽屋のモニター横等、沢山の場所で録音してみていた。

先ず舞台袖。
これは大失敗である。
マイク置き場の周りで喋っている人の話し声が入って、録音したはずの歌が袖で話している仲間の雑談で聞こえないという結末になる事もあった。(時々聞いてはならない話も知らぬ間に録音されている)また誰かがいたずらをして、関係ない話を勝手に録音している事もあった(笑)舞台袖は色んな機材があったり、次の出番の為に早変わりで走ってくるタカラジェンヌと出番が終わり早変わりをしにはけてくるタカラジェンヌとでごった返している。暗転した舞台はスタッフさんの灯す電灯の光だけが目印で時に衝突事故で大きなたんこぶが出来た事もある。特にショーは、毎日が運動会であり、いつも危険と隣り合わせなのである。

次に花道。
先ず、録音機を置いて置ける様な台が無い為、床に置く事になる。でも、誰かが出番後に引っ込んできたり、これまた出ていくスター様が走って来たりして、録音機を踏んでしまってあわや大惨事なんて事にもなりかねない。そしてその前に意気込んで録音しようにも、その録音機を花道に持っていくだけで、誰にもぶつからない様にする事事態、一つの戦いの始まりであった。そして、ここは客席で聞こえる声が録音される為、音響さんが素晴らしいテクニックで歌声にエコーやミキシングをして下さっている。ありがたい事に本来の歌よりかなり上手く聞こえてしまう。

私は真実が知りたい。

最終的に結局、楽屋のモニター前にしてみた。これなら、マイクがひろったなんの加工もされていない歌が聞ける。これはこれで下手過ぎて、正直落ち込むが…。聞くたびに「音響様。ありがとうございます。」と言いたくなる。でもこれが真実である。聞くのが嫌になる事も段々慣れてくる。細かな点を一つずつ治す事を積み重ねると大きく改善された。

凄く脱線したが、とりあえず録音機を買ったのだ。私は。大学では「音楽を専門に勉強するなら音響機材にもこだわりを持て。」と言われる。聞こえてくる録音機の音が如何に良い音なのか…そこが大事だと。より精密になる程、声の欠点がありありと分かる。色んな音を録音してみる。最近録ったお気に入り…宝塚の街で聞こえた沢山の風鈴の音…さてどこでしょう?

すーさん

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