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タンザニアのおもひで~宗教~

かつて東アフリカのタンザニアに住んでいたことがある筆者の思い出をもとにタンザニアについての話を書いていく企画シリーズ第一弾。

本日はタンザニアの宗教について。

日本人は無宗教の割合がとても多いですが、世界的にみて無宗教の人の割合は決して多くはなく、途上国に限れば無宗教の人はほぼいません。
なのでタンザニア人で無宗教の人もまずいません。
「無宗教ってなんや?きみ大丈夫?」っていう反応をくらいます。

「神を信じてない人=こいつ大丈夫?」と思われます。これは筆者がかつて行ったことがある中東でも東南アジアでも同じでした。
毎日問答が面倒なので途中からは仏教徒、さらにエセキリスト教徒に変身してました。


理由は「Buddhist」という言葉自体が大概のタンザニア人には「???」となるからです。まあ筆者は実際仏教徒ではないのでそこでいろいろ問答しても仕方ないため、話を切り上げたい時はエセクリスチャンになってました。

ただクリスチャンだと答えた先にあるのは「宗派はなに?」という質問なので、また言葉に詰まるわけですが…苦笑。


宗教比率


かつてのタンザニアの宗教比率は、長年にわたり、イスラム教、キリスト教、土着宗教の割合がそれぞれ3割程度と言われてきました
しかし、ピューリサーチセンターによる2014年の調査では、人口の61%がキリスト教徒、35%がイスラム教徒、2 %が土着宗教という結果がでているそうです。
またかなり少数ではありますが、本土には、仏教徒、ヒンズー教徒、シーク教徒、バハーイー教徒など、他の宗教グループの活発なコミュニティもあるそうです。筆者自身はこれらの方々にお会いしたことはありません。


世界中どこでもそうですが、年々一神教の宗教を信仰する人口は増えているようです。筆者は内陸部に住んでいたので、体感としてこの調査の結果はこんなもんじゃないかな~と思います。
歴史的な経緯からアラブ圏とのつながりが深いスワヒリ海岸地域、つまり東アフリカの沿岸部はイスラム教が多数派です。
そもそもスワヒリ語は土着言語とアラビア語が合わさって生まれた言語です。
それゆえ、オマーンのスルタンが統治していたザンジバル島やその付近の小島はほぼ100%イスラム教。また世界文化遺産にも指定されているキルワも昔からイスラームの統治下にあった場所です。以下の写真はキルワに行った際に撮影したものです。遺跡とバオバブの木。最高ですね。

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またタンガニーカ本土ではかつてのキャラバンルート沿いにイスラム教徒が多数派となる街があったりして、歴史を感じますね。

対してタンガニーカ本土はドイツ植民地から英国植民地へと統治が移行しながらも宗教はキリスト教。西欧諸国の宣教師の布教活動により、タンガニーカ本土はキリスト教の割合が多いです。


ただし、一昔前とは違い、いまは人も簡単に移動できますので、内陸部にもイスラム教徒の割合は増えています。私が住んでた内陸のど真ん中付近の街でもキリスト教徒とイスラム教徒は半々くらいだったと思います。医師にはキリスト教徒が多かったですが、イスラム教徒の女医さんもいました。


その女医さん、アラサーで子供4人、産後はすぐに仕事復帰している産婦人科医で、美人でしたね。
タンザニアでは外で働く女性は家事労働を親族や近所の誰かに委託していることが多いので、ある意味日本よりも家事労働の外部委託化が進んでいます。それゆえ優秀な女性はガンガン働いている場合も多いのです。


このあたりの話はまた別の機会にまとめます。
話を戻します。

キリスト教の宗派

キリスト教内にもいろんな宗派がありますが、ローマカトリックが主流です。
なお、ど田舎であってもいろんな宗派の教会があり、外科部長の医師はセブンスデーアドベンチストでしたし、福音派の教会もありました。


その他は正教会、プロテスタントも多いです。プロテスタントの中でも国内多数のルター派とモラヴィア派はドイツ統治時代の名残であり、その後宗主国が英国へうつったことにより、英国国教会派の数も多いそうです。

日曜の朝はみんな教会へ行きます。ミサはメインは歌です。
あ、セブンスデーアドベンチストは安息日が土曜なので、土曜に教会に行きます。
週に一度教会へ行くのは普通で、生活の中に宗教が根付いています。

イスラム教の宗派

主流はスンニ派です。残りはいくつかのシーア派サブグループ(20%)、主にアジア系とアフマディーヤのイスラム運動(15%)と、さらに少数のその他の宗派で構成されているそうです。
内陸部でも近年はイスラム教徒増加中で、もちろん礼拝もラマダンもやってます。
ただラマダン中だからといってキリスト教徒が過剰に気を使うということは特になくお互い普通に働いてましたね。


キリスト教とイスラム教はなにかと宗教の争いがあるような感じに捉えている方も多いかもしれませんが、タンザニアにおいては共存しています。
私の同僚は専門学校以上卒の人が多く、キリスト教かイスラム教のどちらかでしたが、アミニズム(土着宗教)を信仰している人もいるそうです。

食へのタブー(主に肉について)

イスラム教徒は食へのタブーがあります。有名な豚肉禁止です。
まあ豚は飼育にたくさんの飼料を必要としますし、いわゆる高級品なので、イスラム教徒でなくとも普段口にする機会はありませんでした。


牛肉も同様です。豚肉よりはまだお目にかかる機会はありましたが、串に刺さった小さい焼き鳥サイズ。ただし、牛肉についてはアフリカの牛にはコブがあり、そのコブの部分に蓄えられている脂肪分がまるで豚バラの脂身のようで、おいしかったですね。


鶏肉については個人でつぶせば食べることができました。それゆえ筆者は現地ではあまり食べる機会はなかったです。なお都会の欧米式スーパーへ行けばどの肉もきれいに加工され販売されています。(物価を考えると高いですが)


そもそもどんな環境でも強く育つ家畜はヤギ。内陸の田舎街の肉屋に並んでいる肉はヤギです。以下の写真は街の食事処の風景を撮影したものです。脂身を巻いたレバーは案外いけます。うまい。画像1

ヤギはにおいがきつめなので、つぶしたての新鮮なものはおいしいですが、時間が経つとそのにおいで食欲が低下します…苦笑。

豚肉は通称kitimotoの呼ばれ、細かい故事は忘れましたがとりあえずめっちゃうまいみたいなストーリーがこの言葉には入ってます。イスラム教徒は食べません。

Kitiは椅子、motoは熱いの意味です。
うますぎて熱い椅子に座って食べてるみたいに落ち着かない、みたいなストーリーだった気がします。
私が職場で「豚肉食べたいけど売ってる場所知ってる?」と聞くと、キリスト教徒のおばちゃんが副業で豚をつぶしてるということで、田舎では大々的に売られてませんが、個人間取引はされてました。

たしかイスラム教徒への配慮という話だった気がします。

宗教ごとの服装

男性はキリスト教もイスラム教もあまり変わりありません。

ただザンジバルのように特に熱心な地域では金曜はカンドゥーラという白い服をきて出勤したりもするそうです。タンガニーカの田舎では見かけませんでしたが。

画像の服がカンドゥーラです。現地のものではなくイメージです。

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女性はキリスト教徒はみんなアフリカンファッションです。
キテンゲと呼ばれる布でオーダーメイドで作成した服か私達が普段から着ているような普通の服です。

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かわいいですよね。彼女たちのスタイルや肌の色、雰囲気にぴったりで、より美しくみせてくれます。

服装についてもまた別の機会にまとめる予定です。

イスラム教徒の女性も基本的には大きくは変わらないのですが、ビジャブをかぶっていたり、黒い布ですっぽり身体のラインを隠している人も多くいました。ただこれも被るか否かは個人の自由なので被ってない人もいます。

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そのためビジャブでもつけてないとぱっと見ではイスラム教徒なのかキリスト教徒なのかわかりません。というか男性含め聞かないとわかりません。
看護助手として清掃を担当していた男性はイスラム教の男性の帽子を被ってたのでわかりましたが。人それぞれです。

日本に住んでるとそもそもの無宗教人口の割合の多さ、さらにここ数十年の間に起きた新興宗教絡みの事件のせいで、宗教に対して拒否反応が強い方も多いかと思います。
ただこれはむしろ特殊で多くの国では宗教はいまも昔も生活の一部です。
そしてタンザニアは見事にいろんな宗教が共存しています。

アザーンが毎日朝から鳴り響いてる中で、イスラム教徒は礼拝をし、日曜ならばキリスト教徒は教会へ行きます。
そこに争いはなく、互いに干渉もしてません。共生でした。


ただ筆者のような異邦人に対しても相手の宗教は気になるようで、私がタンザニアで購入し、身につけていた十字架とアフリカ大陸型のネックレスは真っ先に質問の対象になりましたね。

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「きみは神を信じてるの?」
「宗派は何?」

んー難しい。私は日本人にありがちな神社等やピンチの際に漠然と神に祈ることはありますが、それはきっと彼らの考える神とは違うので、信じてないわけじゃないけど、唯一神のGODを信じてるとは言えない。
と拙い英語で言いましたが、「???」という反応です。

そりゃそうだ、アブラハムの宗教においては神は一人ですから。

なんとなく申し訳なくなったので、その問答のあと十字架は取り外しました。

イスラム教徒の方は普段接する中で割合が少なかったので、そこまでこれという思い出がないのですが、ザンジバルに住んでいた友人から聞くと、ラマダン中は異教徒でも気を使うので疲れる、髪を隠した方がいいと言われるなど苦労もあったようです。

土着宗教つまりアミニズムについての体験談がなくてすみません。
ただ最近ではマサイ族もキリスト教化が進んでるという話は聞いたことあるような気がします。
今度は民族の話もありですね。
それではタンザニアの宗教の話はこの辺で終わります。

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