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パズル

初めて編集を担当した広報誌が完成した。

たかだか10ページ程度の小さな小さな冊子だけど、

その10ページで何をどう伝えるか、どんな企画を連載するか、レイアウトはどうするか、企画から取材、撮影、ライティング、デザイン、校正まで、何度も試行錯誤して創り上げた。

台割と呼ばれる誌面構成は何度も入れ替えたりしていたから、まるでパズルのようだった。

日々情報は更新され、新しいネタを入れるのか、既存のネタを残すのか、毎日のように悩んでた。

最初はパズルのピースが足りないと思っていたら、急にたくさんピースが入荷して、なんとかはめようと思っても形が合わなかったり量が多かったりで溢れてしまったり。

ずっとパズルをやっていると目がチカチカしてくるから、少し散歩をしたらいいアイディアが降ってきたり。

そうやって、なんとかパズルを完成させた。

いざ完成すると思い入れもあるからか、可愛く思えてくる。

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僕は2人のチームで働いている。

尊敬する上司と、僕の2人。

お互いに同じタイミングで異動してきて、初めての経験の中チームを組んだ。

最初は全く仕事の流れもわからないし、手当たり次第に目の前の業務に取り組みながら二人三脚で大変なことも一緒に乗り越えている。

チームを組んで半年。

少しずつお互いの性格や得意なこと、仕事の進め方がわかってきて、いよいよ広報誌編集の仕事に2人で取りかかった。

制作を外注するお金も、追加で人を雇うお金もない。

他の仕事もたくさんある中、僕たち2人でやるしかない。

むしろ、その方が自由にやれるじゃないか、とポジティブに捉えて前に進むことにした。

異動して、最も運が良かったと感じたのは尊敬できる上司と出会えたことだ。


上司は対話を大切にしてくれる方だ。

日頃から冗談を言い合ったり、相談をしあったりと働きやすい雰囲気を作ってくれている。

たった2人で心細い思いをしていた僕からすると、この出会いは本当にありがたかった。

企画を考える時もブレストを大切にした。

2人で雑談をしたり、ついつい見てしまうメディアや記事、最近気になるコンテンツ、他愛もないアイディアをざっくばらんに話し合いながら、広報誌のコンセプトや企画のアイデアを出し合った。

時にしょうもないアイデアや絶対通らないだろうな、というアイデアが口から出ることもあったが、

「僕らが面白いと思わないと、読者も絶対面白くないよね」という上司の言葉に100%賛同して、あーでもないこーでもないと話あった。

「仕事は何をやるかより誰とやるか」と最近よく聞くが、本当にその通りだと思う。

性格や考え方、得意なこと、不得意なことはみんな違っていいけれども、根本のベクトルが合っているかどうか、同じ方向を向いて一緒に進んでくれる方と巡り会えるかかどうかは運でしかない。

そういう意味では、とても恵まれたなと日々感じている。

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企画を考える上で悩んだのは「視覚情報メイン」で行くか、「文字情報メイン」で行くかの方向性だ。

近年の様々なメディアを見てみると、やはり視覚情報がメインで写真や動画から情報を伝えることが多く、文字情報は最低限だろう。

ただ、今回僕が挑戦したのは「文字情報メイン」の構成だ。

2000文字程度でインタビュー記事や対談企画を特集として用意し、あえて「文字」で勝負したかった。

面白い企画であればきっと文字が多くても読んでもらえると思ったし、語ってくれた言葉はきっと誰かに届くと信じていたからだ。

実際にインタビューに行くと、どちらの企画でもとてもいいお話を伺うことができたし、何より「伝えたい言葉」がたくさん出てきた。

ライティングする時になるべく文字数は削らなくてはいけないけど、伝えたいエピソードや言葉はたくさんある。

どうやったら、語ってくれた内容を簡潔にまとめられて、かつ読者が読みやすく、手に取って読んでくれるのか。

何度も何度もチャレンジした。


自分たちが創ったものを手に取って読んでいただけるかどうか、楽しんでいただけるかどうかはすこし不安があるけど、色んなご意見をもらって次に活かせばいいのかなと思っている。

でも、3本組んだ特集企画を通じて、手に取ってくれた"誰か"に学びがあったとか、面白いと思ったとか、気付きが得られたとか、"何か"を掴むきっかけとなるようなものができた自負はある。

編集の仕事は、大変だけどもパズルを楽しむ感覚に近かった。

何かを創るって本当に楽しい。

読んでくださる読者に早く会いたいなと思う今日この頃だった。

おしまい。


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