見出し画像

「序盤、天王山」ラグビーマッチプレビュー ニュージーランドvs南アフリカ 2019-9/21


前回2015年大会セミファイナルのカードが、なんとプールマッチ初戦で登場します。

※20-18でオールブラックスが勝利したが、どちらが勝ってもおかしくはなかった。

この世界トップクラスの試合が日本の横浜で行われることが未だ信じがたいですが、大会の行方を占うであろうビッグマッチを考察してきます。

注目選手の紹介も別記事でしてますので是非!

以下マッチプレビューです。


戦績

①直接対決

歴史上98試合も対戦しているこのカードは、ニュージーランド:58勝/南アフリカ:36勝/引き分け4とニュージーランドが勝ち越している。
21日横浜での試合は99戦目であり、仮に両チームが決勝トーナメントで再戦すれば、何の因果かそれが100戦目の試合となる。

※直近3試合の直接対決のスコアを見ても非常に格好している。1勝1敗1分、得点すらイーブン。

②直近5試合

■ニュージーランド
9/7 vs Tonga 92-7 ○win
8/17 vs Australia 36-0 ○win
8/10 vs Australia 26-47 ●Lose
7/27 vs South Africa 16-16 △Draw
7/21 vs Argentina 20-16 ○win

3勝1敗1分 勝つことを義務付けられた集団としては物足りない数字なのかもしれない。
ただ、オーストラリアに敗れたあとの再戦で完封勝ちした試合の修正力は圧巻であった。

■南アフリカ
9/6 vs Japan 41-7 ○win
8/18 vs Argentina 24-18 ○win
8/11 vs Argentina 46-13 ○win
7/27 vs NewZealand 16-16 △draw
7/21 vs Australia 35-17 ○win

4勝1分 日本に対しても雪辱を果たし、万全の状態でオールブラックスに臨む。

下馬評

非常に拮抗しているが、ややオールブラックス優勢と見られている。

登録メンバー

■ニュージーランド

11番ジョージ・ブリッジ 24歳 5キャップ
14番セブ・リース           22歳 3キャップ

この両ウイングは経験の面からするとチャレンジングな人選だが、過去の実績より現在の勢いを重視した結果だろう。トンガ戦では縦横無尽に走り回ったが今回はどこまで存在感を発揮できるか。

■南アフリカ

日本代表戦と23人全く変わらぬ布陣。これが南アフリカの今大会ベストメンバーと言い切ってしまっていいだろう。

**Match Up **

ボール争奪戦の局面が重要視されるだろう。試合の考察は次のキーポイントに記載するが、ここではフランカー対決にフィーチャーしたい。

南アフリカ:7番 ピーターステフ・デュトイPieter-Steph Du Toit

LO/FL 198cm 114kg 27歳

長身でありながら抜群の運動量を誇る。2015年の前回大会ではロックでの出場が多かったが、当時から仕事の質・量ともにパワーアップしておりフランカー7番で最近は定着している。

ニュージーランド6番:アーディー・サヴェア Ardie Savea

FL/NO.8 188cm 102kg 25歳

ボールハンターでもあるアーディー・サヴェアが何度南アフリカの大男からボールを奪い取り、良いアタックを供給できるか、大きなポイントになる。アウトサイドバックスのスター達に渡る前のボールの動きにも注目したい。

Key Point

①キックによる攻撃権の譲渡

ここ3試合で南アフリカは1試合平均で約28回のキックを使用しており(ニュージーランドは約22回)、これは攻撃権を長く保持せず強固なディフェンスを武器とする戦い方を取っていることに起因している。

ここで前回対戦のスタッツを引用する。注目すべきはニュージーランドのアタックで質・両ともに南アフリカを大きく上回っている。特にclean break(ラインブレイク)は16回と南アフリカの4倍の成績を残している。

しかし、最終スコアは16-16 トライ数は1つずつと得点に直結できていない。

結果としては、南アフリカがキックで譲渡した攻撃権を使いニュージーランドが攻め続けたが、トライを取りきれなかった。南アフリカの意図がハマった形だろう。

今回も同様の展開は予想されるが、ニュージーランドは同じ轍は踏まないだろう。どのように切り返すのか注目したい。

②意図せぬ攻守交代(ネガティヴトランジション)

これが前回対戦でのニュージーランド唯一のトライだ。①で紹介した南アフリカ側の意図的な攻守交代ではなく、意図せぬボールロストから生まれたものだった。

計算通りのキックであれば、南アフリカはディフェンスを組織的に整備しているため、ニュージーランドと言えど簡単には攻略できないが、アンストラクチャーであればオールブラックスのバックスは躍動する。

この南アフリカにとってのネガティヴトランジション(攻→守)をどれだけ引き起こせるかがニュージーランド勝利のキーポイントになるだろう。

③プレースキック成功率

直接対決3試合での最大得点差は2点。一本のキックで結果ががらりと変わる点差である。

■南アフリカ キック成功率①80%②100%③83% **Ave:87,7% **                  ※キッカー:ハンドレ・ボラード(①〜③)      
■ニュージーランド キック成功率①67%②83%③33% **Ave:61%                       **※キッカー:ボーデン・バレット(②③)リッチー・モウンガ(①)

このデータは、その3試合における両国のキック成功率を纏めたもの。試合の流れもありもちろん一概には言えないが、ニュージーランドが南アフリカ並みのキック成功率であったら3試合とも勝利していたかもしれない。

今回も余程のことが起こらぬ限りこのキック成功率が明暗を分けるような試合運びになることだろう。


両監督のコメントにもあったように、まだ決勝トーナメントでなく「負けたら終わる訳ではない」ため、お互い30点前後を争う展開になると予測する。

ただ、どのような展開になろうとも最高の力と技のぶつかり合いが見られることは間違いない。あと1日、楽しみに待ちたい。                          Toji


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?