半笑いの金持ち
父は、ニッコリ財閥の社長だ。
一人息子の僕は、後を継ぐことになっている。
父の周りにいる人全員、金目当てなのだろうか
媚びをうるような半笑いをしていた記憶がある。
そのまなざしは僕にも向けられていた。
そんな環境で育ったせいか僕も、
半笑いしかできなくなっていた。
しかし、後を継ぐ前に財閥は潰れた。
父がなにかやらかしたらしい。
そして今、
ボロボロのアパートに引っ越したところだ。
部屋を見渡すと、薄汚れた壁に蜘蛛の巣。
壁が薄いせいか、隣人の物騒な独り言もまる聞こえ。絶対ヤバい奴だ。
この絶望的な状況。
なんだか腹の底からこみあげてくるものがある。
はは…はっはっはっ
やばい、これが笑うってことか?
声が勝手にでる。
はじめての経験で、止め方がわからない
うるせえぞ!
隣人から言われてやっと、笑うのを止められた。
ふふふ、なんかすっきりしたな。
よし、まずは心置きなく笑える部屋に住めるようにしよう
やっと、心から笑えるようになったのだから
***
今回「ショートショートnote杯」に参加しました。
カードゲーム「ショートショートnote」も買っちゃたので、何作品か応募してみたいと思います。まだまだ詰めが甘いところがありますが、とりあえず一本。
今回がルール通り
カードを5枚引いて、そのなかから
「半笑いの」と「金持ち」を選びました。
この作品は普通に考えてたら思いつかなかったです。
友人とワイワイやれたらもっと楽しそう!
【おまけ】
ヤバい隣人といったらこのコント
書いてる途中から、このコントが頭をちらついてニヤニヤしてました。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました✨
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