見出し画像

石を食べる?!カメルーンのスープ「achu」を作ってみました。

きっかけは「Youは何しに日本へ?」


ある日、訪日外国人の方を取材するバラエティ番組「Youは何しに日本へ?(テレビ東京)」を見ていたら、カメルーンの方が地元料理として石灰石を使ったスープを作っていました。

カメルーンのスープ「achu(アチュ)」
そのスープはAchu(アチュ)と呼ばれるお祝いなど特別な時の料理。 タロイモのペーストや煮込まれた牛の内臓、生の唐辛子をスープに浸しながら食べるようです。

検索するとたくさん動画や写真が出てきます。


Kanwa=石灰石?


翌日放送を見た社員の間で話題になりました。

「食品に石灰が(炭酸カルシウムとして)使われる事はよくあるが、石そのままは珍しい。どんな味なんだろうね?」
「石の見た目が石灰石らしくないような…」

Kanwaをお取り寄せ


食べれば&見ればわかる事ですが、残念ながらカメルーン料理を作るお店は岡山県周辺では見つけられず…。 Kanwaを売ってそうな食材店やネットショップも国内では無さそうだったので、海外のネットショップで注文してみました。

アメリカのネットショップで発見

一番安い発送方法を選んだので、到着までに2週間ほどかかって届きました。


これがKanwaです


届いた石は気泡が多く軽石のよう。少し力を入れれば片手で割れる固さです。

ホロホロで届いた時には半分粉々

ちょっと味見

さっそく味を確認してみます。

Kanwa
うっすら塩味。軽い酸味と苦みがあって舌先にピリピリ感が残ります。
ラムネのように簡単に噛み砕けました。

ミックススパイス
塩味にコショウとオールスパイス、それと土っぽい風味が加わった感じがします。唐辛子やカレー粉のようなハッキリした味は無いですね。

Achuをつくってみる


”Achu Recipe”で検索するとページや動画が多数ヒットします。
今回、分量の記載があったこちらのページを参考にさせていただきました。


主な材料

  • タロイモ(手に入れられる中で一番近そうな里芋で代用)

  • 牛の内臓(スジ肉、センマイ、ミノなどで代用)

  • 赤いパーム油

  • マッシュルーム

  • 添え物の唐辛子(ししとうで代用)

  • マギーブイヨン

  • Kanwa

カメルーン料理の解説を読むと、出汁に「マギーブイヨン」が使われる事が多いようです。ただ動画を見ていると日本のものに比べかなり色が濃く、同じブランドでも味は異なるのもしれません。

1.イモのペースト

里芋を茹でます。
茹で上がったら皮をむいて暖かいうちにミキサー&すり鉢でペースト状に。
味付けはありません。

同じようなタロイモが手に入らず、里芋で代用。
どのレシピも仕上がりが綺麗だったので皮はしっかり取りました。
ペースト状に。かなりねっとり。


2.achu(スープ)

・牛の内臓をブイヨンで煮ます。圧力鍋で15分程度。
・途中でマッシュルームを追加。

固い肉が多いので圧力鍋で。
お肉が煮えたらマッシュルームを。

仕上がったら具とスープを別々にわけておきます。
次にパーム油を軽く温めます。沸騰させないよう弱火で。

レシピ動画ではパーム油のペットボトルそのままレンジに入れていましたが(ワイルド!)、なんとなく怖いのでお鍋で。
Kanwaをすりつぶして粉末に。

最後にスープ、パーム油、スパイス、Kanwaをミキサーにかけます。
パーム油の赤中心だった色が、一気に黄色に変わりました。

ミキサーに赤いパーム油を投入
全部入れてミキサーにかけると鮮やかな黄色に変化。

3.盛り付け

・ペーストをお皿へドーナツ状に盛ります。
・中央にスープと具を注ぎます。
・唐辛子を添えて完成。

粗熱の取れたサトイモはとろみが減ってマッシュポテト感。
完成。まあまあ近いかも!

4.実食

イモのペーストを指でつかんで、スープをディップしながら食べていきます。

味は塩と旨味中心で素朴です。が、たっぷり入ったパーム油とスジ肉の旨味がお腹にグっと来ます。カロリー取ってるな~! という見た目に反しドッシリとした料理ですね。

Kanwaを分析。これ何の石?


X線回折分析の結果

あまったKanwaを試験開発課にて分析してみました。

主成分はTorona(炭酸水素ナトリウム、一般名は重曹)。
不純分として、

 ・石英(Quartz)
 ・岩塩(Halite)
 ・カリ岩塩(Syivite)

が含まれていることがわかりました。
石灰石の主要成分であるCaCO3(炭酸カルシウム)については約4%しか含まれておらず、メーカー目線では「石灰石」とはちょっと呼びづらい結果でした。(ちなみに弊社産石灰石だとCaCO3は99%)

後日、レシピを複数見返していると「Kanwaが無い時は重曹を」と書かれていることに気が付きました。 これは推測ですが、カメルーンで料理用に採取するアルカリ性の石全般をご当地ではざっくり”Limestone”と呼んでいて、それが翻訳され石灰石になったのかな、なんて思ったりしました。

もし日本でachuを作ってみたい方は、Kanwaの代わりに重曹を使うと準備が楽かもしれません。

まとめ


・分析結果としては我々が考える石灰石とは異なるよう。「アルカリ性の石」ではあった。

・石をそのまま料理に入れるさまはやはり印象的。

・赤いパーム油を使うのも初体験。肉と油中心で見た目の綺麗さに反したしっかりスタミナ食でした!

※補足:スープが黄色くなる仕組み
こちらについては油脂(パーム油)にKanwaに含まれる炭酸水素ナトリウムが加わり鹸化、乳化する際に色の変化がおきているようですが、何がどう反応しているかまではわかりませんでした。
乳化することでスープの食感がまろやかになっていますので料理としては良い過程だと思います(笑)。

新しい疑問が一つ残ってしまいましたが、今回もう食べてしまいましたのでまたいつの日か。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?