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【民法】民703条 不当利得返還請求権 〜「生サンタ捕まえて不当利得ゲット」

 久しぶりの番外編です。侵害訴訟で民709条に次いで、関係深いと思われる条項です。

■語呂合わせ

民法第703条 不当利得返還請求権

 生サンタ捕まえて不当利得ゲット

(解説)
 生サンタさんを捕まえて、プレゼントを奪ってはいけません。クリスマスに届けに来てくれるのを待ちましょう。

 ここで、のび太くんの名言を思い出しました。サンタをやってみる、のび太くん。
「なんでサンタクロースっていうのかわかったよ。さんざん苦労するからだ。」

「くだらないこと言ってると夜が明けるよ!」というツッコむドラえもん。好き。

■内容

 特許権侵害の賠償に使える条項です。民709条が法律違反なのに対し、民703条は私的約束に関するものとなっています。

 実態としては、消滅時効の違いで使い分けされるようです。なお、いずれかしか適用できないようになっています。

 消滅時効の違いについては、以下の記事をご参照下さい。

 他の違いとしては、民709条では故意または過失の証明が必要ですが、民703では証明不要となっています。他にも、証明するものが異なりますが、ここでは省略します。

 なお、関係するものとして、民704条は悪意の不当利得となっています。

※参考:江口裕之『解説特許法』、経済産業調査会、令和3,p401,429,484.

■条文

(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

参考 民704条

(悪意の受益者の返還義務等)
第七百四条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

消滅時効 民166条

(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

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