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プレゼンテーションの重要性

還暦に手が届く歳になって筋トレにハマった、アラ還トレーニーの自分は、イタリアンレストランでの食事が大好きだ。落ち着いた高級店での食事はもちろん、気軽なピッツェリアや、カジュアルイタリアン食堂での食事も大変楽しい。フレンチの場合、レストランの主役は料理とワインだが、カジュアルイタリアン食堂の場合、主役はギャルソンだ。先日、近所にあるカジュアルイタリアン食堂で食事をした際に、ギャルソンの提案で美味しいワインを楽しめたのだ。というコトで、今日のnoteにはこのコトを書いてみたい。

グラスの底から柔らかな泡が立ち上る。素晴らしい時が始まる予感

季節はもう秋。夕方の時間が短くなり、陽が落ちると東の空に大きなオレンジ色の月がぽっかりと浮かぶ、街をそぞろ歩きしながら、今日は何を食べようか?二郎リスペクト系ラーメン店の前に20名ほどの行列ができているのを横目に観ながら、ツタの絡まる建物の、片側だけ開かれた木のドアから、そのお店に滑り込む。早速ギャルソンがお出迎え。テーブルは開いていたが、予約で埋まっているとのコト、20時半までに退店、を条件にテーブルを用意してもらう。

サラダからスタート、はお約束

ギャルソン、と言ってもカジュアルイタリアン食堂なので、スーツやタイは身に付けておらず、Tシャツと黒の5ポケットパンツ。ホワイトデニムのエプロン姿のギャルソンが、にこやかに、軽やかに、メニューをもって接してくれる。秋とは言え、まだ蒸し暑さの残る日暮れ時。進められるがままにクレマンをグラスでいただく。

ニューワールド風なエチケットだが、ブルゴーニュ産のシャルドネ

そして、今日のお勧め料理の説明を一通り聞いて、オーダーしたのは契約農場から届いたハーブや野菜を使ったグリーンサラダ、カツオタタキに茄子のペーストのソースを絡めて食べる前菜(サムネイルの写真をご参照)、猪の煮込みポレンタ添え。ドレッシングはローストしたナッツの風味が効いていて、やや苦みを持つサラダに良く合う。カツオの皮目がこんがりと仕上げられ、茄子のペーストはスムーズなモノと刻んでミンチ状のモノの異なるテキスチャーが心地よい。猪はジビエ特有の密度の高い肉質だがホロホロになるまで煮込まれ、粒子を感じるポレンタ=トウモロコシのペーストのほの甘さと絡めて食べる、素朴な料理なのだが、最後に黒トリュフの香りが鼻から抜けて、とてもリッチな気分になる。

猪の煮込みには、ゴボウ・ニンジンなどの根菜がたっぷり

前菜に合わせたのは、ギャルソン一押しのブルゴーニュ地方ボジョレー地区産のシャルドネ、「シャトー ド ベル アヴニール 2019」。樽の効いたバニラのフレーバー、カラメルのニュアンス、リッチな果実味。

恥ずかしがり屋のタルタル、ポテトチップの下に隠れている

メインには真鯛のポワレをオーダーしたのだが、その前にもう一品、前菜を。となれば、馬肉と蟹のタルタルを頂こう。自家製ポテトチップスを大ぶりに割って、かけらでタルタルをすくっていただくのだ。

カリフォルニアのピノ・ノワールにも多様性が有ることを学んだ

メインに合わせるワインは白を、と思ったところに、ギャルソンからの提案が。なんと、カリフォルニアのピノノワールだというのだ。いわゆる『カリピノ』とは、カレラに代表される、陽性で果実味あふれる華やかなモノを想像するが、薦めていただいたのはカリフォルニア南部のサンタバーバラの醸造蔵「リンコート社」のフラッグシップ『ピノ・ノワール ランチョ・サンタ・ローザ・サンタ・リタ・ヒルズ 2018』だったのだ。黙って出されたら、とてもカリピノとは思えない、熟成した果実味、冷涼な酸味、樽香の奥から届いてくる華やかなアロマ、アフターにはペッパーなどの香辛料があり、滑らかなタンニンが余韻として長く残るのだ。

まだのポアレはフワフワで軽やかだからカロリーゼロ

メインの真鯛のポワレのソースが、フォンドボーベースというコトで、ピノノワールとのマリアージュの提案だったのだ。いやぁ、素晴らしいプレゼンテーションです。たまげた!

アルデンテ、とはどんなモノかを思い出させる逸品
モンブランのマロンクリームが、秋の気配を色濃くしてくれる
グラッパで締めくくるのが、大人の流儀

気を良くして、エゾシカとフンギのラグーパスタを追加でオーダー。最後には、モンブランとグラッパまで頂いてしまった。今日のPFCはもう気にしない、その分、筋トレとロードワークと後日の食事で補おう、と誓う、アラ還トレーニーなのだ。

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