![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28861181/rectangle_large_type_2_ad12bfa808aee45418499b578ef969bb.jpeg?width=800)
失恋とトマト【失恋奮闘記録①】
前回の記事に失恋の話を書いた。
あれから数週間、失恋した私の奮闘記録を書いていこうと思う。
今回は私が失恋の勢いで大嫌いなトマトを克服しようとした話。
私は、今回の失恋で「成長した。」とどうしても実感したかった。
まだ数週間しか経ってないのだ。目に見える成長なんて実感できる訳がない。しかし、どうしても”何か”を実感したくって考えた。一週間食事が喉を通らず、ふらふらで思考回路がぶっ壊れた私は閃いた。
そうだ!トマト食べれるようになればいいのでは・・・・?
今は平常心を取り戻しつつある私は自分でこれを書いていて「は?????????」と思う。でもその時の私は真剣だった。
私は、嫌いな食べ物は何ですか?と問われたら「トマトです。」と即答する。トマトケチャップは大好きだし、トマトを主に使用した料理であるミネストローネなんかも好き。ピザの上に乗ったトマトも”トマト感”がなければ食べれる。しかし、生のそのままのトマトを私は食べることができない。食わず嫌いではない。小さい時に「トマトを食べたら綺麗になるんだよ。」と祖父に勧められ、綺麗になりたい私はまんまとトマトを食べた。その一口で、あの酸味のある汁が好みではないと感じた以来、トマトは私の嫌いな食べ物だ。
小学生の時に教育の一環で、トマトを育てたことがある。毎朝、忘れずに水をやり、大事に種から育てたトマト。そのトマトが実った時は本当に嬉しくって食べたい!と人生で初めてトマトにポジティブな感情を持った記憶がある。ちゃんと食べた。だけど、やっぱり味が受け付けなかった。大事なトマトなのに、食べれないのが悔しくってトマトをみじん切りにし、マヨネーズを大量にぶっかけて1つだけちゃんと食べた。これが私の人生で最後のトマトを食べた(ほぼマヨネーズの味だったけど)記憶である。
トマト嫌いな私がトマトを食べようと思った理由
単純に、苦手な食べ物を克服できれば成長したということになるのでは?と考えたのである。
失恋する→失恋した勢いでトマトを食べる→トマト克服→恋は失ったけどトマトは食べれるようになった→ハッピーエンド
が私の理想。
それに、元恋人はトマトが好きだった。私の一番嫌いな食べ物が好きな食べ物だった。一緒にご飯を食べに行って、サラダにトマトが付いてきたらいつも食べてもらっていた。「私と一緒にいたらトマトが沢山食べれるね。」なんて言って笑っていたのをよく覚えている。
元恋人の誕生日には、私が料理を作った。その時、私は人生で初めてトマトをわざわざお金を払って購入した。トマトは食べれないのに、サラダにトマトを添えた。元恋人は喜んでいた。
こうトマトと私のエピソードを思い返していると、嫌いなはずなのに思っているよりトマトと接しているのが面白いよね。嫌いな人のSNSをついつい監視しちゃうみたいな感じ?
トマトの味は好みではないけど、トマトをもし食べれたら最高だよなってたまに考える。お弁当にプチトマトを一つ入れるだけで見た目が良くなるじゃん?サラダだって緑の野菜の中に赤いトマトが入っているか否かでは見た目が全く違う!それに、トマトってリコピンが入っていて老化や生活習慣病に良いとかも聞く。トマトが食べれないってとっても損をしているなぁってトマト嫌いながらも思っていた。
毎朝トマト食べているんです。とか言えたら絶対カッコイイし、大きいトマトにそのままかぶりついてみたい。勢いよく汁が飛び出して、白いTシャツをトマトで赤く染めてみたい。
気付いたら、私はドン・キホーテの野菜売り場に立っていた。
100円(税別)と128円(税別)のトマトを交互に見て、どっちにしようかと真剣に考えていた。せっかくトマトを克服しようとしているのだから、少し高いトマトを選ぶべきかな?でも・・・もし食べれなかったらもったいないし100円のトマトにしとく・・・?どうしよう・・・・。今現在、世界中の誰よりもトマトを真剣に選んでる自信があった。
結局、128円(税別)のトマトを購入した。
これがそのトマト。
これから私は一番嫌いな食べ物、トマトを克服する!と思うと帰り道は世界がいつもと違って見えた。そこら辺に生えている雑草や木々が、通りすがりのおじいさんもみんなが「今からトマトを食べるんだって?頑張れよ!」って応援してくれているような気になってくる。
ついに、私は、冷蔵庫でしっかり冷やしたこのトマトを食べる。(冷やした方が美味しそうだし)
こう見ると、トマトって可愛いな。苺と大して変わりはないんじゃないかな。
思い切ってヘタを外し、そのまま口の中に放り込む。
ぐちゃっ
口の中でトマトが爆発した。
あれは確かに爆発だった。
プチトマトを丸ごと口に入れて、嚙み砕く機会なんて今までの人生になかったのだから、加減が分からなかった。だからか、口の中からちょっとトマトの汁が飛び出てしまった。トマトの汁で白いTシャツを赤く染めてみたいなんて思っていたけど、現実は、緑強めのちょっと赤くらいの汁が飛んでった。もしかして、トマトを食べ慣れた人は、トマトを爆発させずに食べれるのかな?口からトマトの汁が飛び出るなんてないのかな?トマト初心者の私はこの物体が爆弾だとしか思えなかったよ。
トマトの爆発にびっくりしたのと同時に、口の中に、あの酸味が広がった。
やっぱり駄目だった。
私、トマトを克服できなかった。
食べ物を粗末にするのは良くないから、素早く口の中に夕飯の残りのカツを放り込んで飲み込み、なんとか吐き出すことなくトマトは私の胃の中へと消えていった。
私のハッピーエンドの計画は大失敗。
失恋した勢いでトマトを克服するどころか、トマトは本当に苦手だと実感しただけだった。
もう本当無理。残ったトマトは次の日のお昼に持っていって友達にあげた。
もう私が一生トマトを食べることはないと思う。
赤くて可愛い見た目してるくせに!苺みたいな雰囲気を醸し出しておいて、私のお口に合わないなんてひどいじゃないか。ううん。食べれなくってごめんね。
#失恋 #失恋を乗り越える #エッセイ #トマト #嫌いな食べ物
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?