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腰痛に悩む介護職へ送る、私の悲惨な腰痛体験記

3年程前、日々続く仕事の負担からか、突然強烈な腰痛が発生した。

座っている、寝ている状態ならなんともないが、立つと痛みで身体に力が入らず、無理して5分も立てば全身が震えて脂汗が出て、吐き気もするほどの状態だった。

それよりさらに7~8年程前に、一度腰部椎間板ヘルニアで仕事を1週間ほど休んだことがあった。
そのときも痛かったけど、1週間休んで、あとはボルタレン座薬やロキソニンで徐々に収まり、その後は介護業務を続けていた。

当然、痛み始めの時は「ヘルニアが再発したのか?」と思った。
実際かかりつけの整形外科に行くと「ヘルニアの再発ですね。よくあることです」と言われた。
1回目のヘルニアのときは右側、3年前は左側の痛みだったけど「痛みの場所が変わるのもよくあること」とあっさり言われてしまった。
医師にそう言われると、痛み止めをもらって引き下がるしかない。

1回目の腰痛のときは1週間の休みでだいぶ回復したので、同じように1週間の休みをもらって静養することにした。
が、休んでも全く良くならなかった。とにかく立つと痛い。
1週間休む時点で職場から診断書の提出を求められた。
MRIは撮っていない(その病院では撮れない)ので、診断書は問診結果になるけどいいか?と確認するとそれでよいというからもらって提出する。
診断書は高い。

職場から「どうなってるのか」「いつから復帰できるのか」と連絡が続く。
そんなこと言われても、こっちだっていつ復帰できるのかわからない。迷惑をかけていることはわかっているし、溜まった有休にも限りがある。でもとにかく痛い以上どうにもならない。
望んで痛いわけじゃないのに、責められるようで日々猛烈なストレスに襲われ始める。

つくづく思った。

「痛みは人に見えない」

座っていれば平気な私の状態は、周りから見ると軽度の症状に見える。
でも実際は、立つと5分で全身が震えて脂汗が出て、吐き気があるくらいの痛みだった。
毎日家にいるだけで、コンビニに行くのもつらいのだ。

ネットで色々調べ、あまり芳しい効果の記事は見えないけども、神経ブロック注射をするしかないか、と思い始める。

神経ブロック注射は、その名の通り神経をブロックすることで痛みを感じさせなくする治療、と思われているか実は違う。
注射の効果自体は短い。
ただ、強い痛みの発生で緊張状態にある筋肉を一時的にでも痛みから解放し、リラックスした状態に戻すことで、連鎖的に状態良化を狙うものだ。

ヘルニアの診断を受けた整形外科は正直とても感じが悪く、神経ブロックの相談をするのは嫌だった。
なので自力で調べ、電車で30分ほどの所にあるペインクリニックを選び受診した。

レントゲンを撮り直し、問診を受ける。
医師と話すと「足の痺れがないことを考えると、ヘルニアじゃないんじゃないかな。筋筋膜性疼痛症じゃないかな」と言われる。

ここで初めて「筋筋膜性疼痛症」という名を知ることになる。

うつ伏せで触診を受け、痛みが強いところに電気を通したあと「トリガーポイント注射」という名の注射を打つ。
背中だから見えないけど、とても小さくて短い針の注射の様子。
こんなので効くのか?と思ったけど、とりあえず治療を終え、クリニックを後にした。

すると駅まで徒歩5分の道のりを一気に歩けないほどの激痛。
全然効いてない。
普段の痛みと何も変わらない。
神経ブロックを打ちにきたのに違う注射を打たれ、それも効かない。
ますます疑心暗鬼になる。

医者によって言うことが違う上に、どちらの言うことを聞いても痛みは治らない。
つまり、自分で解決するしかないんだ。

しかしこの日は大きな収穫があった。
それは「筋筋膜性疼痛症」というものを知ったこと。

帰ってから藁にも縋る思いで検索しまくる。

腰痛の原因はこれなんだろうか。
何せ自分にも痛みもその原因も見えない。凝り固まった筋肉や癒着した筋膜が見えるわけでもない。

でももうこれしか治す手がかりがない。
そう思って、筋筋膜性疼痛症(MPS)の研究会に所属している病院を探す。すると、電車で30分徒歩10分ほどの所に、エコーガイド下でトリガーポイント注射を打ってくれる病院を見つけることができた。

トリガーポイント注射は、発痛点であるトリガーポイントに注射を打たないと効かないため、触診だと当てるのが難しい。
その点、エコーで見ながらの注射は、かなり説得力があった。

予約し受診。
医師に経緯を説明すると、とりあえず打ってみましょう、とのこと。この時点で、身体の動きをチェックされるが、痛みで首が左に回らない、左肩も上がらない状態だった。

そしてエコーで見ながら腰部に注射。
ペインクリニックの注射がおもちゃに感じるくらい痛い。変な声が出る。
すぐに終わって、医師に「左を向いてみてください」と言われる。
なんと向ける!肩もあがる!

衝撃的なくらい効果を感じた。本当に本当に救われた思い。
自分の痛みの原因はなんなのか、どうしたら治るのか、自分でも全くわからないままに、職場からは「いつ復帰できるのか?」という催促のLINE。
治療の先が見えな過ぎて、自分の部屋で涙を流すような日々から、ようやく道筋が見えた瞬間だった。

しかしここからもなかなかに長かった。
その病院でトリガーポイント注射を打つのは週1回。他の日は整骨院でマッサージを受ける。家ではストレッチ。
これを1か月続けた。
全く道すらわからなかった頃に比べれば気持ちは楽になったけど、それでも仕事に行けないという社会人としての立場のなさと、やはり立つと痛いつらさ。自由に遊ぶわけにもいかないストレス。ひたすら辛い日々だった。
仕事を休み始めて1か月半が過ぎ、有休も使い果たした。
本当に復帰できるのだろうか。心配は消えない。

だいぶ良くなっているが、痛み自体はまだ残る。そんな小康状態にある中で、職場の主任・施設長と相談し、その翌月の頭から復帰することに決める。
不安だったけど、やってみないとわからない。
ダメだったら介護を辞めなきゃいけないかもしれない。でも、どちらにしても、やってみないとわからない。
実に仕事を休み始めて2ヵ月半後の復帰だった。

人に見えない痛みを抱える日々が、どれだけ辛くストレスになるか、本当に感じた2か月だった。
医師すら頼りにならず、自分で調べて自分で決めなくてはいけない。休める限度もある。治療の先は見えない。こんなつらい日々はなかった。
だから、不安はあっても、痛みがかなり良くなったことは、本当に嬉しかった。
どこか痛い人には優しくしようとすごく思った。


いま腰痛に悩んでいる人。

痛み止めを飲んでもシップを貼っても、どんどんひどくなる人。
筋筋膜性疼痛症を疑ってみてほしい。
私にTwitterのDMで連絡してくれてもかまわない。
私は治療はできないけど、経験からの選択肢を伝えることくらいはできるから。

ある日始まった腰痛が、こんなにひどい2か月間を送る羽目になった、読んだ人が同じ思いをしないように、既に腰痛がある人が救われるきっかけになるように、そんな思いで書いたnoteでした。


#介護 #高齢者 #福祉 #腰痛

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