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英語で宇宙 vol.2 「地球・月に降り注いだ地獄のシャワー!?」

みなさん、こんにちは。こんばんは。TSCの としかげ です。

梅雨のじめじめとした天気が続いていましたが、少しずつ晴れ間も見えて夏らしい感じが出てきましたね。

夏といえば、花火に、キャンプに、プールに…と色々楽しみな季節。

僕の地元の小学校では、プールに入る前に浴びなければならない冷たいシャワーは、通称「地獄のシャワー」と呼ばれ、毎年夏になると小学生を震え上がらせたものでした。

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今回の記事は、そんなものとは比べ物にならない本物の「地獄のシャワー」に関する論文です。


それが、こちら!

Asteroid shower on the Earth-Moon system immediately before the Cryogenian period revealed by KAGUYA

大阪大学、理学研究科宇宙地球科学の寺田 健太郎先生
東京大学、理学研究科の諸田 智克先生
らを中心とする研究で

「クライオジェニアン期(8億5000万〜6億3500万年前)直前、地球・月環境に 隕石のシャワー が降り注いでいたことが、日本の月探査衛星KAGUYAを通して明らかになった」という発表が!

早速、要約部分を読んでいきましょう!

Meteoroid bombardment of the Earth-Moon system must have caused catastrophic damage to the terrestrial ecosphere. 

隕石が地球・月系に降り注ぐことは、地球環境に破壊的なダメージをもたらしたと考えられます。

およそ6600万年前、巨大隕石衝突によって恐竜は絶滅した、というフレーズもよく耳にしますね。


However, ancient meteoroid impacts and their relations to environmental changes are not well understood because of erosion and/or resurfacing processes on Earth.

しかしながら、これまで古代隕石の衝突と地球環境変化の関係についてはよくわかっていなかったとのこと。

というのも、地球は「生きた星」ともいわれるようにその活動が活発で、風雨によって浸食(erosion)されたり、新しく作られた地殻によって再生される(resurfacing processes)からです。


Here, we investigate the formation ages of 59 lunar craters with fresh morphologies and diameters greater than approximately 20 km and first find that 8 of 59 craters were formed simultaneously. 

今回の研究では、月面にある59個ものクレーターが調査されたそう。

調査対象に選ばれたのは、

 形状が保たれていて、直径が20km以上のクレーター

スクリーンショット (277)

図1:調査対象になったクレーター(論文より引用)

調査の結果、そのうちコペルニクスクレーターを含む8個のクレーター(図1赤丸で囲まれたもの)が同時期に作られたものであることが分かりました。


Considering the radiometric ages of ejecta from Copernicus crater and impact glass spherules from various Apollo landing sites, we conclude that sporadic meteoroid bombardment occurred across the whole Moon at approximately 800 Ma. 

これまでに分析された

・コペルニクスクレーター[図2]から放出された粒子(ejecta)

・アポロ月面着陸地から得られたガラス質の球状体

の年代を考慮すると、

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図2:TSCで撮影した月面の画像

月面全域にわたる散発的な(sporadic)隕石衝突は、 

おおよそ8億年前 ( 800 Ma =800 Million years ago)

に起こったと結論付けられました。


Based on crater scaling laws and collision probabilities with the Earth and Moon, we suggest that at least (4–5) × 10^16 kg of meteoroids, approximately 30–60 times more than the Chicxulub impact, must have plunged into the Earth-Moon system immediately before the Cryogenian, which was an era of great environmental changes.

クレーターの大きさと衝突確率に基づいて計算すると、少なくとも 4~5×10¹³ =4~5兆 トン もの隕石がおおよそ30~60回衝突していたと考えられるそうです...!

これは、冒頭で述べた恐竜絶滅を起こしたと考えられている「チチュルブ衝突(Chicxulub impact)」よりも大規模なものであるとのこと!

4~5兆トンといわれてもわけが桁がでかすぎてわからないので調べてみると、富士山の重さは…2.9兆トン

つまり、富士山一つ分よりも大量の隕石が地球に降り注いでいたんですね…!


さて、今回の論文のタイトルについていた

「クライオジェニアン期直前に」

という言葉を覚えていますか?


この隕石シャワーの後に訪れた「クライジェニアン期」はじゃあ一体どんな時代だったかというと、、大氷河時代!

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図:スノーボールアース
(https://press.share-wis.com/snow-ball-earthより引用)

地球全体が氷に覆われる、全球凍結(スノーボールアース)もこの時代に起こったと考えられています。

地獄のシャワーによって、地球の環境は大きく影響を受けたわけですね。

この影響を詳しく調べていくことで、これまでに分かっていなかった地球や月の歴史が明らかになるかもしれません!!


これで、今回の解説は終了です。

読んでいただき、ありがとうございました!

もしよろしければ スキ や コメント をいただけると嬉しいです。

これからもよろしくお願いします🚀

としかげ

参考文献:


【Tohoku Space Community について】

Tohoku Space Community は、星空をはじめ天文学にロケット、宇宙エレベーター、宇宙建築学まで、幅広く興味を持った学生が、「東北の宇宙をワクワクさせる」を合言葉に活動している団体です!

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