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組織について考える

組織課題の整理

組織の最大の課題は、10人集まった時、10人分の力を発揮することが難しい点にあります。
集まった個人は、それぞれに考え方、価値観が異なり、これまでの環境の中で得てきた知識や経験、そして保有する能力も様々だからです。

このズレを取り除き、集団を同じ方向に向かわせることが、組織運営上求められます。

では、どのようにすれば集団に所属する個人を同じ方向に向かわせることが出来るのでしょうか。

これには大きく分けて3つのポイントがあります。

①インプット、②スループット、③アウトプット

の3つです。

3つのポイント

インプットについて

同じような考え方や価値観を持ち、これまでの同一の環境で過ごしてきたため、得てきた知識、経験もある程度一致している。そして、能力についても一定以上であることが確認できている。
このような人材で組織を作ることが出来れば、集団内のズレは少なくなります。

組織に投入する人材の質を同質化することです。

・同じ学校や同じ会社出身のメンバーが仲間として起業する。
・知識や経験を担保する資格を取得したメンバーのみを採用する。

が方法論としてあり得ます。

また、採用面談についても、上記を目的に行うものとなるでしょう。
この観点から、採用面談において留意すべき点は、自社の考え方、価値観、必要とする知識、経験、能力はどのようなものなのか、予め言語化することです。

また、入社後においても、社員教育を通じて社員のズレをなくしていくことや、相互理解のための意見交換も、インプットのズレをなくす上で求められる動きでしょう。

スループットについて

同じ方法で仕事をすることで、ズレをなくしていくことも考えられます。
ルール、マニュアルを明確に設定し、これの順守を徹底することや、工程を機械等の設備で自動化することで、複数の人が同じ行動を行い、同じ成果を出すことがこれにあたります。

この方法でズレをなくすための前提は2つあります。
1つ目はルール、マニュアルを順守するメンバーであること
2つ目は、ルール、マニュアルを順守できる知識、経験、能力を持つメンバーであること。

2つ目は教育によって改善可能性が高いですが、1つ目は過去の環境の影響が大きく、入社後の改善可能性が低いものです。
1つ目を補完するために、私たちは学校での普通教育により、幼少期からこのルール、マニュアルを順守する姿勢を植え付けられてきています。

アウトプットについて

完全に同質な人材を採用することは困難です。
環境の不確実性を考慮すると、ルール、マニュアルで全てをコントロールすることも困難でしょう。
この2つを踏まえると、ゴールのイメージを揃えることでズレをなくすことが考えられます。

目標設定およびこれに付随する評価基準でズレをなくす方法がこれにあたります。

目標設定単体でズレをなくすことは不可能であることから、人材の質、ルール、マニュアルといった、インプット、スループットで、ゴールに至る迷わない経路を構築できているかが、アウトプットでズレをなくす上での鍵になる。

3つのポイントを踏まえて

以前に比べて豊かになった日本において、人々の考えは多様になりました。
お金持ちになりたい人、給料はそこそこで自由な時間が欲しい人、好きなことで生計を立てたい人、家族の時間が最優先な人、等々、様々な考え方の人がいます。

そのため、インプットにおける人材の質を揃えることの難易度が以前と比べて大幅に上がっているのです。

組織を作り、運営する上で、リーダーは上記3つのポイントをあらためて振り返ることが求められます。

・メンバーに対して、価値観、考え方、知識、能力において、最低限、譲れないものは何か。
・私たちは最終的にどこを目指しているのか。

この2点について、言語化し、メンバーと共有しなければ、まずもって、メンバーを同じ方向に向かわせることが出来ないでしょう。

また、この3つのポイントは、どれか1つだけではなく、3つ揃って機能することも大切なポイントとなります。

加えて、上記を共有したメンバーを集めるためには、資金が必要、すなわち、儲かるビジネスモデルであることも前提として重要な要素になります。

業界全体が沈下する中で、変化のない儲からないビジネスをやりながら、無作為に人を採用し、離職が多いと嘆いているリーダーがいるとすれば、その嘆きが解消することはないでしょう。

理念、行動指針、鉄の掟

より具体的な方法論として、多様な人材を組織にまとめていく上で、必要な要素は3つだと考えます。

・私たちはどこに向かっているのかという「理念」
・そこに向かう上での判断基準となる「行動指針」
・組織の一員として、交渉の余地なく守らなければならないルールとしての「鉄の掟」

この3つが前提としてあった上で、具体的な目標設定を繰り返し、組織を理念に向けて進めて行くことがリーダーとしての役割と言えるでしょう。

社会の中での分業の一部としての組織

組織の本質とは、分業と調整にあると言われています。
同時に、組織自体も、社会の中での一部の機能を分業しています。

そうなると、社会がどうあるべきかという理想像を踏まえた上で、今後、社会が進む方向に対して、組織の役割を定めていくことが会社の理念となります。

会社の利益があって個人の利益があることと同様、社会の利益があって、会社の利益があることが原則です。

自社組織を考えることは、究極的には、社会の進むべき方向を考えることであり、それが個々人の幸福に結びつくものと想定するのであれば、社会→会社→個人→社会、の利益が循環する形となります。

社会のおけるインプットの質、スループットの理解、アウトプットのイメージを考えることが、自社組織を考えることに直結することは、社会の仕組みを捉える上で、非常に興味深いことです。


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