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ささやかな暴風雨

グラニュー糖をひとさじ
放り込んだような
やさしい夜風が、
しとしととした肌を撫でる
濁った土の匂いだけが
微かに漂うベッドの上

唇も乾かさない吐息にさえ
煽られてしまうような
雪ほどにか細い雨粒が
群れたところで水溜まりにすら
なれそうにも無くて
そういえば、彼らは塵だった。

涙の枯れた目を潤そうと
雨を待っていたけど
触れた部分に穴が空くだけで
なぜなら雨は、僕の涙ではないから
きっと空の涙だから、
空の悲しみしか慰められない。

でも空の悲しみと僕の寂しさは、
花柄のあの子を笑顔にするから
その羽ばたく音を聞くだけで
雨音すら意に介さずに
それなら涙はなくたっていい。

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