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【雑記】マナムスメへの手紙

娘よ。君が仙台の自宅へ来てから、ちょうど一週間が経った。

夜のミルクを終えて、モロー反射が激しいのか寝ぐずりが酷く、おくるみにしっかりとおくるまれた君の穏やかな寝顔を見届けて、父は君への溢れ出る想いを書き出してみる。

別に、先日、父が未見だったアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のTV総集編版を観て、自分でもびっくりするぐらい号泣と嗚咽してしまったから、手紙を書きたいと思ったわけではない(手紙”形式”になったのは、このアニメのせいなのだが笑)

別に、本日、TVでテニスの大坂なおみ選手の母と祖父のエピソードで妻に驚かれるぐらい号泣してしまったからでもない。

君が家族になってくれて以降、ただでさえ涙腺の緩くなっている父は「君のこと」そして「父と娘」というテーマに対して驚くほど簡単に涙してしまうようになっている。

この今の父の状態、そして父の気持ちを記しておきたいと思ったのだ。

noteのデジタルアーカイブとしての保存性に関しては、流行り廃りによるところが大きいかもしれない。しかし、可能であるならば、無事に大きくなった君が父のこの文章を、父のこの駄文を読んでくれたら、とてもとても嬉しい。

無事に健康に大きくなり、文章を読むことに興味をもち、自分の父がどんな文章を書いているのか気になり、父がnoteに書いていた自分に宛てたテキストを読む。

笑ってくれるだろうか、失笑するだろうか、恥ずかしい文章として他の人の目に触れてほしくないと思うだろうか、そんなことをちょっと想像しただけで、軽く涙目になりながら書いている父なのだ。

何故なら、君がお母さんのお腹から出てきた時は、とてもとても小さくて驚いたんだ。初めて君を抱っこした時なんて「こんなに小さくて大丈夫なのだろうか」とちょっと心配になったくらいだったんだ。

3,158g。小さいと驚いたけれど未熟児ではなく、赤ちゃんとしては平均的な大きさだったらしいけれど。コロナの影響で出産にも立ち会えず、面会は1名の登録者のみ、面会時間は13:00~13:30の30分限定。夕方に産声を上げた君にやっと会えたのは、次の日の面会時間だったんだ。

君に会う前、ママからもらった君の写真を見ながら、夜にひとしきり驚きと感動の涙を流していた父だったけれど、くしゃくしゃの顔で一生懸命「ここにいるよ」と泣いている君と直接会って、恥ずかしい話だけど本気で心の底から思ったんだ。「ありがとう」、と。

やれ、歌の歌詞を見れば感謝が大事。マジ感謝。リスペクト。ありがとうの気持ちで便器を手で洗いますだの。ありがとうの輪があなたを成功に導きますだの。ありがとうがあれば労働者をブラックな環境で働かせても大丈夫な昨今。

「ありがとう」が中身のない泡風船のように飽和し、「ありがとう」の価値が下落し、体の良い洗脳まがいのマジックワードとして「ありがとう」が使われることが多い時代なんだ。

そんな状況を十分にわかっていながらもなお、父は君と会って恥ずかしげもなく思ったんだ。無事に産まれてきてくれて、家族になってくれて「ありがとう」、と。嗚呼、これが本当の「ありがとう」なんだな、と。

そんな本当の「ありがとう」を受けた君なんだから、どんな時でも自信を持って胸を張っていい。

かつて、ジャイアンのような体型の応援団長に「長谷川ぁ~、プロレス技かけさせろよぉ~」と、新日本プロレスの闘魂三銃士(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也)の技をひとしきり運動マットの上でかけられた父である。

そんな父の子であるし、いじめ報告件数が全国1位という宮城県に住んでいることもあるし、ママから頑固な正義感を譲り受けているかもしれない。ひょんなことから、所謂”いじめ”にあってしまうかもしれない。

父は日々一生懸命に君と話をして、観察もするけれど、ひょっとしたら”いじめ”に気付くことができず、君も言い出せないという不幸な状況になるかもしれない。

そんなことがあったとしても、どうか忘れないでほしい。

君は父と母から、本当の「ありがとう」をもらった人間だということに。

そして、友達100人なんてできるはずもないし、友達100人いるというような輩は往々にして、知り合い程度の薄い薄い関係性を友達と称してしまうような本当の心許せる「友達」を知らない人が多いし、父も友達は数人しかいない。父にとっての友達はイコール親友であり、親友は一人か二人で十分。あとは「知り合い」なんだ。それでも全然人生は問題ないんだ。

所謂”教育”ではきっと教えてくれないかもしれないので書いておくが、人間は全員が善人ではないし、「関わらない方が良い人たち」「関わるとこちらが疲弊してしまう人たち」というのは確実に世の中に存在する。

そして、そんな哀しい事実と同時に教えておくが、そんな人類が住んでいる世界、君の世界でもある世界はどこまでも広く、その気になれば自由に動き回ることができるんだ。

だから、娘よ。

君は、君の人生を、自由に謳歌してほしい。

まずは、無事に、日々健康に、事件事故に遭うことなく育ってくれるように、父も母も全力で応援していこうと思う。

君を抱っこしている抱っこ紐のメーカー「エルゴベビー(ErgoBaby)」と聞く度に、コギトエルゴスム(cogito, ergo sum/我思う、故に我あり)か、アニメ『エルゴプラクシー(Ergo Proxy)』を思い出してしまう父よりの手紙である。

ちなみに、アニメ『エルゴプラクシー(Ergo Proxy)』は難しい文系的なSFだ。軽い気持ちで見てしまうと意味がわからず、レディオヘッドが歌う主題歌ぐらいしか印象に残らないと思うので、どうか観る前に父に相談してほしい(笑)

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