【漫画】『あなたに聴かせたい歌があるんだ』所感～月の裏を夢見て
あの日、あの時「新潟市内のバイパス道、夕暮れに眺めた新潟空港側の景色」。
どうやら僕は社会・会社・社会人というものに馴染めていない。就職氷河期とやらが影響したのか。それとも自分の就職活動が甘かったのか。就職浪人のため、ゼミの助教授に相談して意図的に卒論を提出せず留年。その末に就いた仕事は、希望の最後の最後に挙げていた営業職だった。
まだ”モラトリアム（執行猶予）”から抜け出せていないのか、はたまた抜け出したくないのか。モラトリアムと呼ばれる、この形容しがたくも愛くるしい気持ちを失うことが”成長”だというのなら、成長なんてくそくらえだ。そう、僕は部外者（エイリアン）で構わない。むしろエイリアンのまま、人生という旅を続けたい。
そんな気持ちで一人週末の夕方、新潟バイパスを車で駆けた。BGMはシットリした気分の時に聴き倒していたキリンジ『エイリアンズ』。
遥か新潟空港方面に機影が見える。
♪”遥か空に旅客機（ボーイング） 音もなく 公団の屋根の上 どこへ行く”♪
涙が止まらなかった。
はい。いきなりの押し付け自分語り長谷川誠です。
敬愛する高田純次さんが「おっさんの①昔話②自慢話③説教は嫌われる」とおっしゃっており、極力その手の話は避けているのですが、どうしても自分語らずにはおれない気分になってしまう作家さんがいます。
”燃え殻”さんです。
同世代、ペンネームはキリンジの堀込泰行さんが”馬の骨”名義で発表した曲名。その背景となる音楽やサブカル遍歴があまりにも「あの日あの時」を生きていた同種族すぎて、勝手に自分語りが溢れ出てしまうんです。冷静に語れないんです。何と言うか、記憶とワンセットになってしまうんです。
既に実写化されている『ボクたちはみんな大人になれなかった』も夢中になって読みましたが、オザケンを口ずさみ、フジロックに参戦していた大学～社会人初期の「あの日あの時」があまりにもフラッシュバックディスコしちゃうので、noteを書いては消し、書こうと試みては諦めて現在に至っています。
もちろん新作のエッセイ集『それでも日々はつづくから』も読みました。kindleで購入してから、仙台の丸善（本屋さん、梶井基次郎先生のあの丸善です）にてサイン本を販売しており、歯ぎしりしてしまいましたが…。
今回語りたいのは、燃え殻さんの原作をおかざき真理さんが漫画化した『あなたに聴かせたい歌があるんだ』です。
燃え殻×おかざき真里による珠玉の青春漫画!
2022年5月 成田凌主演でHuluでドラマ化!
あなたに聴かせたい歌=テーマソングは名曲『エイリアンズ』!
週刊SPA! で連載され話題を呼んだ、原作・燃え殻×漫画・おかざき真里による漫画『あなたに聴かせたい歌があるんだ』が待望の単行本化!
十年前に、とある事件がきっかけで高校を去った臨時の英語教師の女性と、そのとき教室にいた生徒たちの十年間の挫折、喪失、そして再生を描いた、切ないながらも一歩踏み出す勇気を与えてくれる珠玉の青春漫画です。それぞれが夢に向かって頑張ったり、夢をあきらめて絶望したり、そこからまた新たな人生を歩み始める姿を、キリンジの名曲『エイリアンズ』が彩ります。
本作は、もともと映像化のための書き下ろしドラマ・Huluオリジナル『あなたに聴かせたい歌があるんだ』の脚本として作家の燃え殻氏が執筆。映像化と同時におかざき真里氏によって漫画化された作品です。ドラマは成田凌主演で2022年5月にHuluで独占配信(全8話)が決定!
そう。この漫画の所感を書きたいということで、冒頭の『エイリアンズ』に繋がるわけですね。はい。
所感…というよりも、もう”聴かせたい歌”が『エイリアンズ』。この時点でダメです。負け確です。心をえぐられるのがわかってて読んでしまいました。自分から心えぐられにいったようなもんですよ。
個人的に非常に好きな若手俳優である成田凌さんが主演するドラマ版も観たいんですがHulu独占配信。そう言えば…『ボクたちはみんな大人になれなかった』もNetflix映画…。
いや、契約や視聴環境整えなさいって話なんですが、最近観たいと思うアニメや邦画があればだいたいNetflix。テレビで気になる情報があるなぁと思えばHuluで配信中！番組をもう一度観たい方はTVerで配信中！マーベル作品やスターウォーズはディズニーチャンネルで！
唯一視聴可能なアマプラ限定配信は、全く食指の動かない海外ＴＶ局のフォーマットコピーのバラエティ…。
い い か げ ん に し て ほ し い …
それぞれのプラットフォームに集客したいのは痛いほどよくわかるのですが、月額が若干増額しても良いので、今日本で視聴可能な全てのサブスク映像コンテンツを一本化したインターフェースで視聴可能なサービスを誰か提供してくれ！いや、ホント、マジで。当方割と切実。
閑話休題。
漫画『あなたに聴かせたい歌があるんだ』である。
キリンジ『エイリアンズ』は、人生に馴染めない”よそ者（エイリアン）”たちのアンセムだった。
ちなみに『エイリアンズ』。先日TV番組『関ジャム』の”若手ミュージシャンが選ぶ平成の名曲TOP30”で堂々の第２位だったため、思わず晩酌ホロ酔い状態で拍手をしてしまったのですがー。
そんな『エイリアンズ』が奏でるメッセージのように、自分の人生にしっくりきていない、どうやら自分は人生の中でアイドル級の主役ではなく”よそ者”だったんだ、と気づく、そして葛藤する、もがく、そんな人間模様が優しく静かに描かれた名作でした。
おかざき真理さんが描く絵のタッチも燃え殻さんのストーリーをブーストしてくれていたように思います。泣かされました。おかざき真理さんの漫画は初見だったんですが、他の作品も読まねば。
ちなみにキリンジ『エイリアンズ』を知らなかったとしても、十分に楽しめる作品ですので安心して読んでいただければと思います（晩酌酔いどれニッコリ）
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