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Sky falls 【Ⅱ】

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何か面白い事言ってくれるのかなと勝手に期待してしまうわたし。

カズヒコさんは数瞬考え小声でよしと言って、

「バンバンジーーーーー」

と大声で叫びながら、スベッた罰ゲームかのように落ちていった。

「いや、バンジーと違うから」

姉御肌のトウエさんが既に落ちて、この場にいないカズヒコさんへすぐさまツッコミを入れる。

わたしにはウケた。

声を出して笑ってしまった。

トウエさんのツッコミとセットだったのが良かったのかもしれないし、恐怖と緊張でアドレナリンがダダ漏れしているからかもしれなかった。

ピンじゃなくてコンビなら売れるかもしれない、と勝手な脳内評価をしてみる。

リノさんは、ビビっている。

21歳、学生。

小動物みたいにかわいい。

「無理無理無理無理無理~む~~~り~~~~~!!」

「じゃあやめる?」

とトウエさんが問う。

「無理」

やめるのも無理、と小声で返す。

子犬のような目で、わたしとトウエさんを交互に見つめるリノさん。

「それじゃあ、お逝きなさい」

にっこりしながら、人差し指でちょこんとリノさんを押す。

まるで、崖の先端で落ちまいと手をぐるぐる回している者の眉間を、ちょこんと小突くように、

左右のバランスが取れている天秤の片方に一粒の塩をのせるように、

「トウエさ~ん、塩対応ありがとーう、ひゃー楽しい」

声が遠く、遠ざかってゆく。

片手をパーにしてトウエさんに向かって、感謝の言葉を言い残し落ちていった。

「わたしもトウエさんに背中を押してほしかったな…」

心の声が外に漏れていた。

「あなたには必要ないでしょう?」

「何でですか、必要ですよぉ」

「いいえ、わたしにはわかるのよ。あなたは自分で飛べる人」

と言い終わるとゴーグル越しにわたしにウィンクをして、

「じゃ下で待ってるわ」

と言い残し、颯爽と飛び出していった。

年齢不詳、ミステリアスながら魅力たっぷりなトウエさん。

「カッコイイ…仕事は何してるのかな」

何をしているかは別として、勝手な脳内イメージでは、スーツを着こなしている出来る秘書とか峰藤子がピッタリだった。

そして、最後に残ったのがわたし。

トウエさんが何故、ああ言ってくれたかは分からないけれど、

"あなたは自分で飛べる人"

その言葉が効いたのか、何も考えず、すんなりと飛び出す事ができた。

***

飛び出した瞬間に、お腹の下あたりに、くしゃくしゃと紙を丸めたように、

なにか嫌なものが集まるような違和感を感じる。

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続く



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