「正しい」世界に適合出来ない

 早寝早起きをしましょう。バランスの取れた食生活が大事です。適度な運動をしましょう。友人とのコミュニケーションを大事にしましょう。趣味を持ちましょう。
 学生なら勉学に打ち込みましょう。社会人なら労働が義務です。適切な年齢に結婚し子供を儲けましょう。納税しましょう。

 どれもこれも「正しい」。そしてそんな社会に馴染めない人間はどこか冷めた目で見られる。

 確かにこれらの正しさを完璧に守れている人はごく稀だと思う。しかし、心のどこかでは正しいと思っていて、もしくは疑問にも思わず過ごしている人も多いはずだ。

 わたしはそんな世界に馴染めていないと思う。まず人が多いところが怖い。人が怖いから。この時点で大半の「正しい」ことが出来なくなる。加えて鬱の症状なのか夜は眠れず昼は眠くなり、まともにやる気は出ずきちんとした生活すら送れていない。

 そんな話を他者にしたら何と言われるだろうか。「社会不適合者」だ。いわゆる社不ってやつだ。面と向かってそう言われたことも、遠回しに言われたことも、苦笑いされて誤魔化されたこともある。

 わたしにはわたしの世界があって、「正しい」世界は苦しい。多数派に合わせられた世界は苦しい。病気のせいなのも一部はあると思うけれど、もともとそういう性質なのだと思う。

 いまカウンセリングや精神科に通って、わたしを「正しい」枠に嵌めようとする力を感じる。カウンセラーさんはわたしが人を信頼しコミュニケーションすることを望んでいる。主治医も同じく、生き生きと生活して友達と遊んだり規則正しく生活することを指導する。

 そんな世界が嫌なのに、わざわざ枠に嵌められる為にお金を払っているのだろうか。苦しいのを何とかして欲しいだけだった。助けて欲しいだけだった。でもわたしの願いは叶いそうもなく、盲目的に信じられた「正しさ」の世界にわたしを押し込めようとしている。

 どうして、一人で生きていてはいけないのですか?どうして友達と過ごさなくちゃいけないのですか?どうして人を信じなくちゃいけないのですか?

 わたしは苦しみたくないだけなんです。せめて苦しいんだってことを分かって欲しかっただけなんです。「良く」なりたいわけじゃないんです。

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