怯える、心
季節の変わり目、朝夕の肌寒さ、不安定な気圧、そんなものに影響されて、僕のこころは再び揺らめいてきた。
何をするにもおおきなエネルギーがいるような気分。何かしたあと溢れる疲れ、一日中でも眠ってしまいそうで。
この冬を生きて越せるだろうかなんてことが頭を過る。
そうかと思えば衝動的に何かを始め、買い物をし、たくさん食べて、どうにもエネルギーを持て余しているかのような行動にも出る。ほんとうに、僕のこころは天気ひとつであっさりと変えられてしまうくらいにちっぽけなものなんだと思う。僕のこころは僕のものではない。ただの化学物質、物理現象、タンパク質のかたまり。
そうして僕はいつもの不安へと戻っていく。やっぱり僕の帰る場所は安寧ではなく不安なのだろうか。
きみが居るだけで不安だ。僕に何か不満を抱いてはいないだろうか、それを黙っていて、僕が気づくまで待っているんじゃないか、なんて妄想が始まる。妄想なんだって頭では考えるけれど、こころはそれが真実だとでもいうように落ちていく。
そのたびに大丈夫だよ、何でもないはずだよ、何かあったら言われるよ、察してなんて良くないんだから、と自分に言い聞かせる。
臆病な僕はそうかなあ、と不安げに首を傾げる。納得できていないみたい。どうしたらいいんだろう。気候のせい、お腹が空いているせい、疲れているせいだよともう一度言い聞かせて、お菓子を食べてお薬を飲む。
そうしてやっと臆病な僕もほんの少しだけ安心する。明日までは忘れられると思う。たぶんね。
僕は僕のこころの面倒を看る方法を少しずつ学んでいる。僕のこころはまだ怯えたちいさな子どものままだ。でも楽しそうにしていることも、安心を感じていることもある。
おとなの皮を被ったまま、ちいさな僕は、こころもちゃんと育つまで、もう少しこのままで。