やっぱり勇気が出なかった

 ここ一ヶ月続いていた実験にとりあえずの区切りがついた。それでまとめや今後の方針を指導教員とする時間があった。

 最近、noteにも書いたように、うつ病の症状で出来ないことがある、と伝えたいと思っていた。だからちょうどいい機会だと思った。

 とりあえず、自分でまとめた結果や考察について話して、それに対するアドバイスを貰う。先生はわたしのことを健康だと思っているみたいだから(うつ病のことは伝えてあるけれど)、次の実験は、なんて先の話を当たり前のようにする。どうしよう、出来ないって言わなきゃ。でも口は勝手に先生の話に乗っかろうとする。

 最後の方になって、どうにか誤魔化すように忙しいから……というようなことを口にした。来月大きな試験があるから、それで納得された。でもそれだけじゃない。最近講義にも出られていない、家では寝てばかりいると話した。そしたら試験のプレッシャーのせいだと思われたのか、大変だねと言われた。でも、軽く。

 それはわたしの口調のせいだったと思う。やっぱり冗談めかした言い方しかできない。「やばいんですよ〜、ほんと無理で〜」みたいに、まあ普通でもそれくらいは言うだろうなというノリでしか話せない。どうしてだろう。たぶん、真剣に話したら泣いてしまうから。その時近くに他の人もいた、というのはきっと言い訳。

 そのついでみたいに、直近の実験でわたしが何も言わずにサボったことをちくりと言われた(土日で巻き返そうと思って実際そうしたのだけれど)。急に休まれるよりはこっちでやっておくから、と言われた。やっぱり迷惑だったのだ。たぶん裏で色々してくれたんだろうなと思ってはいたけれど、そう口にされると落ち込む。

 実習でも同じ班の人に迷惑をかけている。でもうつ病だということは伝えられていない。言わなきゃ、と思う。でもどうやって?

 頭の中でシミュレーションしてみる。「実はうつ病で、それで休みがちになったり作業が遅かったりするんだ、ごめんね」。いつ切り出せばいいだろう?そもそも言えるだろうか。言えたとして、またへらへらした態度を取ってしまわないだろうか。

 いっそのことLINEやメールの方がいいだろうか。でも反応しなきゃ、というプレッシャーを与えてしまうだろう。こちらから投げてはい終わり、みたいになるのも良くない。

 どうして「うつだから」と言えないんだろう?言い訳みたいだから。それはあるけれど、今はむしろ言わない方が迷惑だと思う。相手を困惑させるから。上に同じ。気まずくなると嫌だから。それはわたしのわがまま?

 そもそも、自分のことをきちんと話す、ということはとても苦手だ。未だにカウンセリングでも精神科の診察でも無意識に嘘を付いてしまう。最近どうですか、の言葉に良くなった面だけを答えたくなる。悪いところも、本当に言いたいことじゃなくて、当たり障りのないことばかり伝えてしまう。本当のことを言うのが怖い。失望されたくない。怒られたくない。呆れられたくない。だから相手が求めていそうな言葉を吐く。

 やっぱり、まずはカウンセリングや診察で正直になることから、なのかもしれない。でもこれはすごく厄介で、はっきりとした嘘をついている訳ではないから直すとっかかりも見つけにくい。心の一番奥にあるものをずっと隠している、そんな嘘のつき方ばかりしてきた。

 朝は怠くてスマホを見た後二度寝しています。朝の講義は行けないから単位を落としそうで、昼過ぎに起きて、やっと大学に行って、泣きながら帰って、ご飯を食べながらYouTubeを見たら少し落ち着いて、編み物か何かを少しやってお風呂に入ったら寝ます。目を閉じると悲しいことばかり思い出して泣いています。それの繰り返しです。辛いです、満足に動けない自分が。でもどうしても動けない気がします。

 せめてそれだけは、せめてカウンセリングと診察だけでも。

 すごく行きたくなかったカウンセリングと病院だけれど、やっぱり今のわたしには必要なんだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?