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緊急事態下の国会議員任期延長

衆議院の憲法審査会では、緊急事態下に国会議員の任期を延長するという議論が、意見の集約を図る段階まで来ているようです。
この件に関して、国会議員が自分で自分の任期を延長するなど言語道断、ワールドカップに国民の関心が向いている裏で不穏な動きをしている、という写真週刊誌の報道もあります。

実際、とんでもないことなのでしょうか?

東日本大震災のときには、震災の翌月に予定されていた統一地方選の日程を、一部延期しました。選挙を延期すると議員の任期も延長されますが、地方自治体の議員や長の任期は法律事項であるため、国会で“特例法”を作って延長しました。地方議会の議員や首長の任期を規定しているのは地方自治法です。

一方で、国会議員の任期は憲法45条と46条で決まっています。緊急事態のとき選挙を実施できないとなると、任期切れの国会議員が超憲法的に国会で議決するか、国会議員がいなくなって内閣が独断で何でも決めるか、という想定外の事態になります。
そういった事態を避けるためには、憲法を改正して、緊急事態の場合は任期を延長できるようにする必要があると思います。この憲法改正は国民投票によるので、国会議員がお手盛りで任期延長することなどできない仕組みにもなっています。

緊急事態、たとえば武力攻撃事態などでは、国会承認が必要となります。そのとき承認できる“任期中の国会議員”がいなければ、仕方ないから国会のチェックなしに内閣だけで対処方針を決めてしまうことになりかねません。これこそ、憲法改正反対派の危惧する権力暴走の危険です。

“緊急事態条項”ということで過剰反応する向きもありますが、議員任期延長は、内閣に超法規的な権限を集中させるというような議論ではありません。一部野党のように、緊急事態条項は戦前のような翼賛政治を招くといって任期延長の議論さえも潰していては、かえって独裁政治を招来してしまいます。
緊急事態でも合法的に対処するために、できるだけ事前に体制を整えておくという議論は、排除すべきではないでしょう。

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