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〜大きなパリ〜 欧州旅行記①

27歳にして初めての海外旅行。
最初で最後のハネムーンを綴る。

1ヶ月程ヨーロッパを周る予定である中で今回は4日滞在したパリについて綴る。

羽田から北京経由でパリに向かう。まず僕は経由地の北京に驚く、北京空港に着いて荷物検査を行う。帰国者である多くのフランス人が長い列を作り、僕と奥さんは最後尾に程近いところで荷物検査を待つ薄暗くて物々しい雰囲気で、中国人検査官何人かの高い声が聞こえてくる。軍隊にでも入った用な気分であった。こんなもの早く終わらせてコーヒーでも飲みたいと思った。僕らの番が来る。パスポートを渡し、怠そうな目で見つめられ荷物を検査に通し前へ進む、その後身体を男の中国人に入念にチェックされている間、斜め上の遠くの方をなんとなく見つめてみた。とても驚いた。その一瞬だけでも何個もの監視カメラが確認でき、僕は思わず息を呑んだ。

検査は無事終了し、奥さんとその話をしてたからか僕らの目線は上の方を見ていた。
よく隅々まで空港を見ていたがすごく落ち着かない。防犯カメラもあるけど、それより酷く落ち着かせないのはお店の外壁の殆どが安っぽくてプレハブに入れられているような気分だったから。
しかし空港内は大きくてお酒を売るお店に立ち寄ってみたが、日本の免税店ではとてもじゃないほど高級なウイスキーがいっぱい売っていた。中国人のウイスキーの需要をよく知ることができた。

パリ行きの便を3時間程待つ間、北京空港の深夜の暗くて果てしなく大きな空港の中で、ただあてもなく散策をする。

喉が乾いたので奥さんと一緒に自販機でお水を買おうとしたのだが、カードでの決済ができずもたもたしてる間に1人の男が隣の自販機で買おうとした。僕と奥さんはその男を見て決済の仕方を学ぼうとしたのだが、またしても驚いた。男の顔が自販機にスキャンされ男のマイナンバーのようなもの(こんな感じ「*******8935」)が表示されガタンとジュースが落ちてきた。

全ての中国人の生身の目がデータで管理されているのだとその時に気付いた。本当に恐ろしいと思った。政府の管理への執着心を感じずにはいられなかった。

僕は寝たかったのに落ち着かないからずっと音楽を聞いていた。たしかマッシブアタックを聞いていた。うす暗い不安と楽しみが入り混じっていた。パリはどんなところなのだろうか。僕が長年憧れていた街まであと半日で着くのだ。

その時の僕は映画や音楽で知っているパリしか知らない。それも新しいようで古い1960〜90年代のパリ。

北京からパリ行きの飛行機の中ではぐっすり睡眠に入った。ただパリに着く2時間前には目が覚めてしまい僕は窓を見つめて空の風景を眺めて憧れのパリをじっと待っていた。2時間という時間を待つのはとても長い。僕は子供のように待ち侘びていたのだ。

シャルル・ド・ゴール空港へ着いた。
空港内に入り、長い洞窟のような歩道を歩いたり、斜め上に何本も分散したSFの世界のようなエスカレーターなど驚いた。
空港内のお店などのある通りへと着き、ルイヴィトンなどのブティックが並んだ。その長い通りの隣には誰も座ってないけどゴージャスでモダンなソファがいっぱい配置されていた。

まず空港から電車ではなくバスを待つことになった。言葉が分からないからチケットを買うのだって一苦労である。たまたま券売機の前でチケットの買い方に手こずっていた日本人のお一人の女性がいて、「お先にどうぞ。」と譲って頂き先にバスのチケットを買った。フランスのバスの電光掲示板は分かりづらい、40分待ちかと思ってて辺りをブラブラしたりしたらすぐに「20」と表示されていた。本当に全てのものがオシャレで必要最低限のことしか書かれていないのがフランスであると今回の旅行を通して気付かされるのである。

バス待ちの外でタバコを吸うためにBicのライター4本入りを6€くらいで買って高すぎると思った。まず1服してめまいがした。多少の安堵と初めての海外で多少のコミュニケーションもままならないことへの苛立ちと不安だ。すぐにタバコを吸ってる我々に1人の黒人がタバコをタカってきて1本あげた。この頃の僕は誰もがスリに見えてしょうがなかった。

無事にバスに乗り、パリのOpera行きに向かった。道中も驚きっぱなしだった。まず下手ウマなグラフィティだらけでパリは予想外に汚く見えた。だけど僕はこの汚い雰囲気がなんか好感を感じた。そして例のパリの街並みへとなっていくあの統一された建物がバーっと広がっていて興味をそそる斜めの裏道がいくつも見えたり赤いテントのカフェが大体の角にあったり、黒人街があったり、自転車に乗ってる男や映画のような仕草でフランス語を喋る男。ずっと観ていて楽しかった。
そして何よりびっくりしたのはパリ、デカくないか?いや街としてデカいのもあるけどこんなに歴史的な建物がこんなにも果てしなく続いていて、その建物は僕の想像していた2倍くらいはデカかった。普通にカフェもデカい。道幅も広い、全ての道が広々としていて風が良く通る。緑もある。
凄過ぎる。日本人の海外経験のない私の目には街全体がブルジョワの世界のように見えてならない。京都も凄いけどこんなに大きくこんなに多くはないのではないか。

②へと続く

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