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カルチャーづくりのはじまり@トグルという物語/プロローグ

人生という物語は壮大で、年齢を重ねるごとに変化が訪れます。

たとえば、小学校から中学校へ進んだり、学校を卒業して企業に入ったり、故郷を離れて違う土地に移り住んだり、幼馴染と別れて新しい人と出会ったり、その人と親密になったり新しい家族に恵まれたり。悲しい別れも数多くあることと思います。それらの変化を人生の分岐点(エピソード)と考えたとき、いくつかの分岐点から構成される時間軸には、TVドラマにおける、”1シーズン”のような感覚があります。それは3か月にわたって週に一度、放送される全12話のドラマであり、物語です。そんなドラマを私が、これから、ここで語っていきます。その物語の主人公の名は、伊藤嘉盛よしもりです(画像下の右)。

出典◆https://resources.ga-tech.co.jp/Release/181001_GAtech_Itandi_Last.pdf

伊藤嘉盛よしもりは、2012年6月に起業した不動産系IT企業を上場企業へ売却しました。その出来事はまるで、映画やTVドラマの1シーズンが終わったようなもの。終わりは、新たなはじまりを予感させます。予感は的中。トグルホールディングス株式会社の設立(2020年6月)という形で、”新たなはじまり”は動き出しました。それは彼にとって四度目の起業であり、新たな1シーズンのスタートでした。

トグルを舞台に、主人公・伊藤嘉盛よしもりが何をしたいのか。舞台に集まるトグルメンバーと一緒に、それをどうやって実現させたいのか。そもそも、なぜ、トグルという舞台を設置(起業)したのか。そうしたエピソードをトグルメンバーの皆さんに、これから伝えていきます。それが、語り手/ストーリーテラーとしての私の役目です。ここでは、ストーリーテラー(Storyteller)の頭文字をとって『S』と名乗ります。『S』として最初にご紹介するエピソードは、私が物語の主人公・伊藤嘉盛よしもりと再会した日のやり取りです。きっかけは一つのメッセージでした。


「僕の考え方や思想を社内外に伝播するための取り組みに、協力していただけませんか」

数日後に会って話を聞くことになったんですが、幸いにも、そのときの会話が一部、記録に残っていました。会話は雑談を終えて本題に入ろうかというタイミングです。ときは2021年11月の良く晴れた日。時間帯は昼下がりです。伊藤嘉盛よしもりと約束をした日に、私は都内港区にある、赤坂のカフェを訪れました。※なお、会話は事前に承諾を得たうえで記録しています。

社会派リアリティ・ヒューマン・ドラマ『トグル』のプロローグです。お楽しみください。

最大の強みは【0→1】になるであろう【0】の発見

伊藤:いま、(トグルという会社の)PRなどをしていなくて。そのつもりも正直、あまりないんですが、採用のことを考えると必要だなって。さらに優秀なメンバーを集めたいんです。その思いはあるので、そういう人に(トグルを)見つけてもらうためにも自分の考えというか、それを発信していこうかなと。

S:ちょうど、経営者や組織の情報発信を支援したいなあと考えていたところでした。伊藤さんの話に何かの導きを感じます。そのタイミングなのかなって。

伊藤:おお、縁深いですね。でも、僕みたいなタイプ(の経営者)は悩んでいる人が多いと思いますよ。社内報のようなものを求めるニーズというか。METAに社名を変えたFacebookのザッカーバーグやビルゲイツは、年に何度か、社内向けのALL(全従業員宛て)のメッセージやメールを発信したり書いたりするじゃないですか。「ああいうのを本当はやりたい」そう思っている人はいると思うんですよ。最近だとザッカーバーグのMETAの動画とか。ああいうことをやりたいですね。

S:映画とか?

伊藤:いいですね、本を書くとかも。コミュニケーションツールというか、メディアはいろいろあると思うので、動画や文章だけじゃなく映画みたいな手段もあると思いますし。そうした媒体を使って、多角的に自分が考えていることを伝えることを本当はやりたいんです。

S:ちなみに、伝えることをやりたいのは、なぜですか?

伊藤:前の会社の反省点からです。

S:反省点とは?

伊藤:僕が自分一人で引っ張るようなときは20人くらい(の従業員数)が限界だったので、それが僕の実力だと思っています。

S:20人くらいが限界とは、どういうことですか?

伊藤:ついて来ることができない人が多いというか。今回(起業したトグル)は、そういう意味では大企業で働いていた人だけでなく、もっと多様な人をインクルーシブにした会社にしたいんです。そういう人たちが働ける会社を念頭に置いています。だから企業文化、たとえばクレドや行動指針をつくることにも時間をかけています。

このとき、伊藤嘉盛よしもりとは、約2年ぶりの再会です。以前の彼とは考えかたが少し変わっているような印象を持ち、私は、そのきっかけを知りたくなります。

S:どんな心境の変化ですか?

伊藤:同じてつを踏みたくないんです。自分も成長しないといけない。自分を客観的に見て、自分の弱点を把握しようとしています。

S:客観的に見て、把握できた弱点があれば教えてください。

伊藤:ベンチャー界隈だと、何もないところから価値を生み出して組織やサービスが大きくなるプロセスを数字に、たとえますよね。【0→1】【1→10】【10→100】っていうじゃないですか。

S:その視点でいうと「伊藤さんは【0→1】が得意な人である」というのが、伊藤さんを知る多くの人の認識でもあった?

伊藤:自分自身もそうだと思っていました。

S:でも違った?

伊藤:表現が難しいんですが、自分の強みがもっとも発揮されるのは【0→1】になるであろう【0】を発見することなのではないかと思っています。ここに【0】がって、その空間を認識をする。認識によって発見された【0】があって【0→1】が起こるわけです。

S:たとえば?

伊藤:10年前、不動産業界におけるSaaSのビジネスはありませんでした。その空間がなかった。「なかった」という空間を私は見つけ、そこにITANDI(イタンジ)という会社を作りました。これは一般的に【0→1】です。

伊藤:それからエンジニアがプロダクトを作り、営業が粘り強く販売を繰り返し、組織全体の力で会社は【1→10】になりました。これが売却先となった上場企業のもとで【10→100】になっていくと。どのフェーズにおいても、決して自分一人の力ではありません。そうやって一連の出来事を振り返ったとき、そもそも僕が、もっとも得意とするのは【0→1】ですらないのかもしれないと最近、思いはじめています。プロダクトを作りきる、などもそうです。

S:客観的に見て、それが見えてきた?

伊藤:はい。「ここに、こういうプロダクトを差し込んだら【0→1】になる」その発見がもっとも得意なんだと気が付いた今は「【0→1】【1→10】【10→100】を自分でやることはできない」という前提に立っています。立ちながら、それができる人、得意な人に任せたいんです。

S:それができる人と、伊藤さんは一緒に働きたい?

伊藤:働きたいですね。そのほうが、自分というリソースの効果を最大化できるとも思います。

伊藤:最近のベンチャー界隈を見ると、創業経営者がすべて(0から100まで)を担うというのではなく、特定のフェーズを得意とする人に、その領域を任せるような傾向が強くなっているように思います。ベンチャーに入ってくる人の層が厚くなってきた印象です。従来は【1→10】【10→100】を経験した人、それを得意とする人がベンチャー企業を選ばなかった。その流れが変わり【1→10】【10→100】を担える人がベンチャー企業を選択肢として捉えはじめている。

S:ほかに、客観視して把握できた弱みは、ありますか?

伊藤:あります。以前の会社でうまくできなかったこと「失敗したな」と考えていることの一つに、文化醸成があります。

S:企業文化を作ることができなかった?

伊藤:正確に言えば「できたといえばできた」と思います。でも、うまくできなかったというか。

S:うまく、とは?

伊藤:自分の考えや思想、哲学を社内外に伝播することです。文化と呼べる何かが、以前の会社にも存在していたように感じますが「それは、あなたの考えや思想を本当に反映していましたか」そう問われると、答えはNOです。それをやるために必要なことをやりきることが、当時の自分には、うまくできませんでした。それは基本的に今も同じであると認識しています。

S:他にはどうですか? 客観的に見て気づいた自分の特性、経営者としてこういうタイプだとか。

伊藤:それでいうと、最近思うのは、毎日、一緒に働いて引っ張っていくタイプと、大局的に大きな指示だけをするようなタイプがあったとして、私は経営者として後者だと思います。戦略のマイルストーンを立て、戦術の提案もしますが、積極的に待つ。

S:待つ、とは?

伊藤:それぞれのメンバーは毎日、走っています。その進路を私が毎日、変えていたら効率は悪いし、その進路が間違っているかどうも分かりません。なので意図的に、かかわらないというコミュニケーションは必要だと思うんです。

「私をプロデュースしてもらえませんか」

S:意図的に、かかわらない=待つだと?

伊藤:そうですね。あとは、ビジネスモデルによって、どういう経営者があっているかは結構、変わってくると思うんです。我々がやっている事業は、資本を扱う知識集約型というか。人が増えれば売り上げが伸びるという単純な構造ではありません。そういう視点から見ると、一人ひとりが判断して行動することが重要です。いろんな人の得意、不得意をみんなで埋め合わせて事業が成り立つので。だからトグルにおいて、たとえば私が何人いても事業は成長しないでしょう。でもビジネスモデルによっては、社長のクローンを増やしたほうがワークする場合もあります。

S:トグルにおいて伊藤さんが100人いても、ワークしない?

伊藤:しないでしょうね。私の場合は、自分よりも得意な領域を持っている人がたくさんいる、という認識です。いや、ほとんどの人が私よりも、うまくできるんじゃないかなと。特に実務に関してですが、そう思っています。これは皮肉ではなく、真剣に。

S:実務家でないとしたら、伊藤さんは?

伊藤:戦略家。私は自分のことを『仕組化を得意とするタイプの経営者』だと思っています。物事を仕組化する。人が変わったら成り立たなくなるようなビジネスも、あまり作りたくないと思っていて。誰がやっても同じ結果が出るようなビジネスを作りたい。その視点で考えると「社長がいないと回らない事業」は、私としては……認められないというか。目指す方向とは逆じゃないですか。いなくても、しっかり仕組化され、動いていることを目指しているので、最初から『いない』環境を積極的に作ることも意識します。

S:いない、とは『待つ』ですか?

伊藤:そうです。加えて現場にいると「ああしたほうがいい」「こうしたほうがいい」と思ってしまうこともあって。それを実践すると現場に混乱が生まれます。それではチームとして機能しないというか。野球にたとえるなら毎打席、ピッチャーに指示する監督です。

S:監督役が、伊藤さん?

伊藤:はい。毎打席、ピッチャーとキャッチャーがグランドでやり取りをして配球を決めるわけじゃないですか。そこで毎回、タイムを要求して監督がマウンドへ行くというのは、チームとして成り立たないなあと。

S:「次は、何を投げようか」と?

伊藤:そういう話です。

S:待つ、について。人によっては、待つことを不安に感じたりリスク回避と称して口を出したりする場合もあるように思いますが、それについてはどう考えますか?

伊藤:それは経営者が不安になる? 周りが不安になる?

S:経営者です。

伊藤:私の場合、それはまったくないですね。これは経営者のタイプの話だと思っています。

S:経営者のタイプとは?

伊藤:何社かの経営を自分でやり、周りの経営者を見て思うのは、事業の立ち上がりが早い経営者と、遅い経営者がいるということです。どちらかと言うと私は、事業の立ち上がりが遅い経営者じゃないかなと。なぜなら、自分のことを戦略家タイプだと思っている私は、まず仕組化しようとするんです。これは、ある意味では遠回りしている。戦う前から武器や城を作りに行くタイプなので、スピードが早いビジネスには向いていない気がしています。

S:スピードが早いビジネスとは?

伊藤:出店数をひたすら伸ばす、人をひたすら増やすなど。それは向いていないと思うんですよ。

S:向いているのは?

伊藤:変化がない業界で変化を起こすこと。時間の流れがゆっくりなところで、今まで起きなかったパラダイム、運動、”揺らぎ”を起こすことが得意なのかなと思っています。その根本には、そこまでメンタルがマッチョじゃないという話があります。

S:メンタルがマッチョじゃないとは?

伊藤:事業の立ち上がりが早い人は、人たらしというか、周りを口説きまくらないといけないじゃないですか。「一緒にやりましょう!」とか。優秀な人を次々にヘッドハントし、VCも含めて積極的に会う。従業員に対しても毎日、自分が朝一番に出社して「やろう!」と先頭に立ち、一番最後に退社する。社長が働いているから自分もやらないとマズいね、みたいな感じになり。これを私は、マッチョなメンタルだと思っていて、それは自分が辛くなるんです。

S:試した経験があるんですか?

伊藤:試したことはありませんが、ハードワークならやりました。それがしんどかった。「マイペースにやりたいな」というのが本音です。コンペティティブというか競争的じゃないんだと思うんです。

S:競争的じゃないとは?

伊藤:競争して勝とうというよりは、周りが来ない、競争がない領域で、全然違う方向でマイペースにやるってタイプなんじゃないかなって。競争がないところで戦えば、周りの勝ち負けじゃなく、そこにいることが価値になることもあると思います。存在することが価値。どちらかといえば、そういうタイプかなと。おそらく私は、”陣取りゲーム”も得意じゃないんでしょうね。業界のシェア争いなどに、自分は向いてなさそうだなってことは思います。

S:思うのは、最近?

伊藤:最近ですね。

S:これまでは、そう思っていなかった?

伊藤:いままでは、それが得意か不得意かを気にしなかったです。

S:気にした、きっかけは?

伊藤:なんだろう。長年、知り合いの起業家を見て、その会社が大きくなる様を見てきたからかもしれません。そこでは、まるで偉人の伝記を読んで勉強したかのように、たくさんの学びを得てきました。やっぱり、人を見るって勉強になるじゃないですか。

S:伊藤さん個人の興味としても、陣取りゲームに関心はない?

伊藤:そうですね。あんまり、ないですね。

S:そういうところで争っている、陣取りをしている人を見て、どう思いますか?

伊藤:すごいなあ。経営者としてすごいなって。皮肉とかなく、ほんとに。優秀だなって。

S:それを自分が真似することはできないと?

伊藤:はい。だから自分にできないことは、必要なら得意な人に任せたい。得意な人と一緒にやりたいんです。

S:今回のトグルで言えば、その一つに『自分の考えや哲学を伝えること』があるわけですか?

伊藤:なので私をプロデュースしてもらえませんか。

S:えっ、おお。うれしい提案をありがとうございます。

「区分所有の転売をやりましょう」に待った。なぜ?

伊藤:今回(起業したトグルで)は、自分が不得意なこと、”弱点”を以前より把握できていると思うので、繰り返しになりますが、それができる人、得意な人に任せたいんです。情報発信ができて、かつ私のことをもっとも知っている適任者は、あなただと考えています。

S:光栄です。ありがとうございます。ちなみに、これまでの起業では社内へ自分の考えを発信していなかったんでしょうか?

伊藤:”質問会”という取り組みをしていました。

S:質問会とは?

伊藤:社内のスタッフが、匿名で私に質問を投げることができる場です。最後は荒れてしまって尻つぼみになりました。

S:いま(2021年11月時点で)、社内のコミュニケーションツールは?

伊藤:Slackです。

S:”フラット”なチャンネルなどは? 

伊藤:作りました。”ポエム”というスレッドを作って、私の考えていることをそこへ。

S:伊藤さんが気になった記事のURLを貼るとか?
 
伊藤:いや。

S:どんな内容か教えてください。

伊藤:スラック内のいろいろなスレッドで私が指摘したり、アドバイスしたりしたコメントしたりした内容をまとめて、”ポエム”に投稿している感じです。

S:内容についてもう少し教えてください。直近だと、どんなことがありましたか?

伊藤:Slackのなかで不動産事業部から「区分所有の転売をやりましょう」と声が上がりました。その提案へ「売上だけを伸ばしても仕方がないので、それよりも利益率と利益額を大切にしましょう」みたいなリアクションを私がしたんですが、そこを切り取って、ポエムのスレッドに投稿しました。

S:仕事に直接、関係がない会話をしているスレッドは?

伊藤:あります。

S:たとえばですが、私と伊藤さんのここまでの会話をそのスレッドに投げたら、社内の皆さんに関心を持ってもらえそうでしょうか。スタッフ同士、あるいは伊藤さんとスタッフの間で、コミュニケーションが生まれそうですか?

伊藤:関心を持ってくれる気がします。コミュニケーションの材料というか、きっかけにもなると思います。

S:現時点で、社内の皆さんに伊藤さんという存在は、どう映っているんでしょうね。『自ら起業したIT企業を上場企業に売却した起業家』であることは、ご存じなんでしょうか?

伊藤:そういう意味だと、いま(2021年11月時点で)採用は100%リファラルです。以前の会社で一緒に働いていたメンバーも4、5名います。そのメンバーが連れて来てくれた新メンバーも。総じて、基本的に6年くらいの付き合いがあるメンバーばかりです。

S:6年くらいの付き合いがあるメンバーとの関係性をもう少し教えてください。

伊藤:元取引先の人であったり、ゴルフをする友達だったりで、なんというか。

S:一面的な関係性?

伊藤:そうですね。お互いに、お互いの一面しか知らないかもしれません。

S:いま(2021年11月時点)の伊藤さんの勤務スタイルは?

伊藤:私は、ほとんど出社していません。出社は、一週間に一回ですね。みんなリモートで仕事をしています。二週間に一回、全体会議があって。あとは、プロダクトの会議。会議体はその程度で、コミュニケーションは基本、Slackです。一人ひとりが自律的に働いてる感じです。今回も結構、いいメンバーが揃っています。

S:そのメンバーでどんな事業をやるつもりですか?

伊藤:今回やろうとしていることは普通の人には正直、かなり、わかりにくいと思います。不動産を買ったことありますか?

S:ありません。そんな余剰資金、ないですよ。

伊藤:何を見せれば伝わるかな……うーん。

不動産業界とは縁がないビジネスパーソンに、トグルのマニアックなプロダクトは、どうしたら関心を持ってもらえるか、という迷い

伊藤:以前の会社を売却して3年近く、正直に言って何をしたらいいか、ずっと考えてたんです。チャレンジのつもりで医療業界の産婦人科という領域を選んだことも。いろいろやって結局、不動産業界に戻ってきました。いま、二つのプロダクトを作っています。

S:テクノロジーを使った不動産サービスということですか?

伊藤:はい。

S:一般ユーザー向け?

伊藤:いえ、B向け(B to B/企業間取引の意)です。いまいるメンバーと考え抜いた結果、不動産の土地情報と投資家にリーチできれば、事業は大きく伸びるんじゃないかという仮説にたどり着きました。不動産事業の要は、土地とお金の出し手であるというシンプルな着想です。

S:「不動産事業の要は土地とお金の出し手である」とは、サプライチェーンの最初と最後という意味ですか?

伊藤:そうです。最初である土地の仕入れが、どうやって行われているか。実態をご存じですか?

S:いえ。

伊藤:アポなしの訪問営業です。

S:いわゆる、飛び込み営業?

伊藤:そうです。地図を見てエリアの目星をつけます。そこを実際に歩いてココという、”それらしい家”を探す。それを見つけたら、その場所の地図に色を塗る。そうした地図を作り、これをもとにアポなしで訪問営業をしているのが実態です。

S:地図を見ながら、人間が、”それらしい”家”を探し歩いているということですか?

伊藤:はい。

S:土地の所有者までたどり着けるものですか?

伊藤:一応、たどり着けるんです。登記簿謄本があるので。

S:地道な仕事なんですね。

伊藤:土地の広さや地域によってローカルな仕組みもあり、多少の違いはありますが、用地を取得する業務は基本的に極めて地道です。なんですが、我々はその地道な作業をテクノロジーに置き換えていきます。

S:どんなテクノロジーですか?

伊藤:地図をアルゴリズムで解析するものです。

出典◆https://www.google.com/maps/place/〒102-0093+東京都千代田区平河町2丁目7−3/

伊藤:たとえば、こういう地図があるじゃないですか。これを見ただけでは、それぞれの場所が何坪くらいの広さなのかは分からないものです。仮に建物の有無を地図から識別できたとしても、建物の築年数を知ることはできません。こうした情報を全部、デジタルデータ、ポリゴンデータにして読み込みます。すると、次のような検索ができるんです。

東京都〇〇区△△、
北側に道路があって
築年数**年数以上
2階建て以下
30坪の土地

伊藤:こうした条件で検索をかけることができるようにします。すると、すぐにザーっと一覧の該当地が出てくるようなプロダクトです。

S:実際に歩いて調べるんですか? 先ほど「以前の会社を売却して3年近く、正直に言って何をしたらいいか、ずっと考えてたんですよ」とおっしゃいましたよね。もしかして、その期間に調べつくした??

伊藤:いや笑。衛星データなどをコンピュータに読み込ませると自動で測ることができるんです。このプロダクトはマニアック過ぎます。ゆえに、その価値が第三者に伝わりづらいのが残念なところでして、採用を考えると、業界関係者ではないビジネスパーソンに関心を持ってもらえるかどうか。

S:衛星データなどをコンピューターに読み込ませる、とは?

伊藤:一例ですが、たとえば画像認識です。ビルや戸建は画像認識で判別できます。戸建であることが分かれば、それは新しいのか古いのか、構造体として機能するかどうかが重要です。

S:構造体として機能するかは、どうやって調べるんですか?

伊藤:築年数です。それが分かって、老朽化を認めることができれば用地取得の対象になります。これを今も、業界関係者は実際に道を歩いて、人間の目で見つけているんですが、それを全部、我々は画像認識でやります。

S:衛星データということですね?

伊藤:それはデータの一部に過ぎません。

S:画像認識の精度、みたいな話はどうですか。どのくらい正確なんでしょう?

伊藤:衛星データと、ほかの情報を組み合わせることで、現在の技術なら3メートルごとに10センチの高さを測ることができます。この技術そのものは従来もありました。そこからさらに我々がやったのは、独自のアルゴリズム開発です。これで情報精度を高めることができます。アルゴリズムを駆使することで「3メールごと」の範囲を広げ、浮かび上がるのが一つの町の全体像です。どういう建物がいくつ建っていて、それぞれが何坪で、みたいなことを機械的に判別できるようにします。ここまでがサプライチェーンの最初の話です。我々はサプライチェーンの最後にもリーチします。

S:最後とは?

伊藤:お金の出し手、投資家です。

手応えは投資家のオーダー「200億円くらいを買いたい」

伊藤:町の全体像を把握、建物を判定できるようになったら、その情報を投資家に提供します。「3億円くらいの総工費で港区に投資用のマンションを作りたい」というオーダーがあれば、対象になる土地を全部スプレッドシートにして我々が提供し、候補地を決めていただきます。

S:決まったら?

伊藤:我々による訪問営業、飛び込み営業のスタートです。これから試そうとしているのは、Uber Eatsの配達員のような、外部パートナーによる情報のデリバリーです。彼らに情報を預け、ドアノックをするという施策を試します。飛び込み営業専門のスタッフによる、ローラー作戦です。相手にコンタクトできたら我々が用地を取得をし、それを我々が投資家に売ります。

2022年5月時点で、飛び込み営業専門のスタッフによる施策から、トグルは一定の成果を認めることができました。その上で、外部に委託する方針を変え、現在は営業メンバーの内製化に力を注いでいます。

S:投資家とは、どうやって接触するんですか?

伊藤:そのためのプロダクトも作っています。投資家向けの無料サービスです。そこに投資家が1万人ほど集まったとして、そのうち「10億の投資をしたい」人は100人ほどいるものです。彼らには対面営業を別でやります。しっかりヒアリングして相談に乗ることで、次のような投資家のオーダーに、我々のシステムで応えていきます。

5億、6億円のマンションを
つくってほしい
20億で10棟ほどの新築マンションを

S:さきほどのアルゴリズムで該当地を探すことができると?

伊藤:できます。

S:需要は、あるんですか?

伊藤:あります。すでに「200億円くらいを買いたい」というオーダーをいただいています。

S:200億円……金額の規模が大きいですね。

伊藤:大きいですよね、私もそう思います。所有者から土地を買うことができれば、我々のビジネスは一気にいきます。そう簡単ではないと思っていますが、立てた仮説を一つひとつ潰していく準備は整ってきました。

S:投資家の条件に合った土地なのか物件なのかは、実際に存在するんですか?

伊藤:これが、あるんですよ。

S:それを先ほどの『地図をアルゴリズムで解析する』プロダクトで検索した?

伊藤:はい。すでに、いくつかの該当地を見つけることができています。我々はテクノロジーで該当地を見つけましたが、実は、これをアナログな方法で見つけている会社も存在します。

S:アナログな方法とは?

伊藤:実際に歩いて調べるものです。東京には3社くらいあります。たとえば、そのうちの1社は5名で運営されていて、5人での売上は100億円です。利益は20億ほど出ています。

S:取引において特別な手数料などは発生するんですか?

伊藤:販売手数料の話なら、GMVで説明します。

GMVとは、Amazonやメルカリなどのインターネット上で、消費者が売り買いした金額の合計。Gross Merchandize Volumeの頭文字をとった略で、流通取引総額、総取引高、取扱高、流通総額などを意味します。Gross Merchandize Salesの頭文字から「GMS」と表記する場合も。

出典◆https://www.businessinsider.jp/post-207933
https://www.businessinsider.jp/post-189194

伊藤:メルカリを例に挙げると、売買が発生した金額の合計がGMVです。メルカリの出品者は、商品の販売価格の10%をメルカリに納める仕組みになっています。メルカリの流通総額が、たとえば1,000億円であれば、その売手からもらう10%の100億円がメルカリの粗利です。

S:伊藤さんの事業ならどうですか?

伊藤:土地の仕入れ、建築、投資家への販売をすべて内製した場合、先のオーダーでGMVは200億円、テイクレートは45%になります。実は昨日、分析したことで分かったことがあります。それは、我々のビジネスが非常に長いバリューチェーンであるということです。

S:非常に長いバリューチェーンとは?

伊藤:投資用マンションが完成してから、最終的にそれを買うまでの投資家のバリュージャーニーに、多くの関係者が存在するということです。

S:その関係者の多さが、非常に長いバリューチェーンになっていると?

伊藤:そうです。さきほど、5人で用地取得をしている特殊な会社の例を挙げましたが、そこは4%の粗利をとっていて、用地取得のための手数料は20%です。内訳は主に、用地取得の土地を分析し、現地に買いに行き、交渉。立ち退きのサポートをして、建物を解体、更地にするなどの一連のプロセスを代行する手数料の総額です。通常はAというディベロッパーが建築し、更地にするまでをBという用地取得業社が担い、その土地をCという別のディベロッパーが買います。それは大手のディベロッパーだったり、ワンルームディベロッパーだったりです。この流れで、Aというディベロッパーが建物を建てて、B、Cなどを経て最終的に投資家に売却するとき、その手数料は少なく見積もっても合計で45%になります。関係する不動産会社の数(種類)は5から7社。それだけの関係者がかかわることで、投資用の区分所有マンションには最終的に45%以上ものマージンが上乗せされます。

S:価格の約50%、半分ですか。ものすごい中間流通のコストですね。

伊藤:それを我々が1社で担います。テクノロジーを使って。

S:そのプロダクト開発には着手しているんですか?

伊藤:着手していて、すでにリストが作れるようになっています。

S:リストとは?

伊藤:投資家のオーダーに応えられる土地の情報リストです。「〇〇坪くらいの広さがほしい」と検索すれば「ここが該当地です」と導き出すことができます。建物の情報が不完全だったり、限られたエリアのリストしか作れないのが現状ですが、裏を返せば時間の問題です。

S:リストを作ることができるデータだけでも、高値で売れそうですね。

伊藤:売れますね。

S:みんながほしいデータじゃないですか、それ。

伊藤:そうそう。

S:単純な好奇心でお聞きしますが、そのデータをオープンソースにするつもりはありませんか? 

伊藤:それでいうと、最終的に我々のプロダクトができあがるじゃないですか。そうすると、いわゆるブロックチェーンでつなげてしまえば『主体がない不動産開発』のような可能性を考えることはあります。

伊藤:投資家からオーダーをいただくと、自動的にデリバリーの配達員のような役割の人が、土地の所有者に訪問営業へ行く。

伊藤:それを用地取得で買い、ボリュームプランを全部アルゴリズムで作る。アルゴリズムだけが存在して、それを中心に設計や建築をやる。

伊藤:オープンソースというか、不動産開発にかかわる人が我々のアルゴリズムを使うということは、あり得るかもしれません。設計会社の人が我々のプラットフォームを使えば、投資家を集めることができ、自分の作りたいプランで土地も取得できて、のような話ですね。

S:すでに地図をアルゴリズムで解析するプロダクトは、できている?

伊藤:できています。近々、投資家向けのサービスもはじまる感じですね。

S:そろそろ人手を増やしたいけど、あまりPRはしたくないと?

伊藤:トグルはまだ何者でもないですし、第三者から見て分かるような成果を挙げたわけでもありません。PRする事実がないということです。でも私が考えていることは明らかにするというか。

S:社内にも社外にも?

伊藤:そうそう。

S:社外へ向けて、伊藤さんの考えを明らかにする意図は?

伊藤:いくつか理由はありますが、優先度が高い理由としては、優秀な人材に我々を見つけていただきたいからです。

S:伊藤さんの考えや目指している世界への共感者、ファンを増やしたい?

伊藤:というよりは「トグルがやろうとしていることに」ですね。その可能性に私は半信半疑でしたが、仮説検証をして手応えを感じました。粛々とやります。やりますが、同時に仲間を増やしたい。私一人にできることは非常に限られています。

S:社内へ向けての意図は?

伊藤:企業文化の醸成、カルチャーづくりです。なぜ文化を作りたいのかというと、会社のパフォーマンスがあがるし、働いている人たちにとっては、文化が明文化され、明確なほうが働きやすい場合があるからです。だから文化を作ることが求められている。私はそう考えています。

伊藤:これから人が増えていくと、以前の私を知らない人も次々と入社してくることになります。このまま何もしなければ私の印象は社内において、”ただの金持ちのお兄ちゃん”の域に留まるかもしれません。

この危機意識は、組織の人数が増えることに比例するかのように、伊藤嘉盛よしもりのなかで増していきます。「カルチャーづくりに着手しないと組織が崩壊するのではないか」という不安を抱えながら、彼は、もっとも優先度の高い事業づくりのための戦略に、自分というリソースを注ぐのでした。

伊藤:これって経営者あるあるというか。文化づくりに悩んでいる人は多いと思います。社内報を作ることができるツールは、いくつかあるじゃないですか。福利厚生の仕組みとして組み込むとか。でもそれは形、箱です。その中身がありません。

S:コンテンツですか?

伊藤:はい。でも現状のコンテンツは極端に言えば、”見られるコンテンツ”です。数字だけを突き詰めたもので、たとえば、凄惨せいさんなニュースが代表的です。

S:そうじゃなく、もっとポジティブなコンテンツがあるだろうと私も思います。

伊藤:でも、それを作ることができる人が足りない。そこで私のプロデュースをお願いしたいわけです。

S:わかりました。ひとまず、ここまでの私の印象を伝えてもいいですか。

伊藤:どうぞ。

コミュニケーションのキャッチボールが続くようなコンテンツ

S:第一印象ですが、ハイコンテクストな部分を補えるコンテンツが良さそうな気がします。伊藤さんの言葉を残していく、というか。会議で伊藤さんがこう言ってました、というのが社内にあったとき、それは急な発言のように思えるけど、実際は違う。伊藤さんの頭のなかで、その発言に至った経緯はある。でもそれに触れる機会が、一緒に働く仲間には、ほとんどない。その機会をコンテンツで補うことができれば、新人であってもトグルという会社の文脈を知ることができます。古参のメンバーにとっては、原点に戻ったり経緯をたどったりすることができます。「ああ、数カ月前にそんな会話がありましたね」と。それが伊藤さんの言葉として残っていれば、より高い純度で伝わる気がするし、わからないところは聞けばいい。聞く、話すというコミュニケーションも増える気がしました。

伊藤:そうですよね。クレドとか、行動指針が11個あるんですが、それを一つひとつ掘り下げるとか。

S:それ、いいですね。めっちゃいい。知識と関心領域の広さは、伊藤さんのキャラクターとしてあまり表に出てこない、魅力の一つだと思います。じゃ、なんでその領域に関心があるんですか。という、もう1歩、2歩と踏み込んだ話もできますよね。クレドも、11コンテンツできますし、それだけでも社内の会話の材料になるんじゃないでしょうか。

伊藤:なりますね。やりましょう。僕も大変そうだ。インタビュー時間も長くなりますね。

S:たとえばですが、インタビューというよりは――。

伊藤:こういう感じでね。対話、ダイアログがよいかもしれないですね。

S:そうそう。そのほうがいいと思うんです。伊藤さんの人となりも見えてくるし。もしそれをできるなら、コンテンツとしてもめちゃめちゃ面白いモノになりそう。

伊藤:クレドにしても、どうしてそれを作るに至ったのか。その話をするのも良いかもしませんね。

S:エピソード・ゼロ的な?

伊藤:そうそう。

S:社内向けのコンテンツなら、コミュニケーションとして考えたいので、キャッチボールが生まれると、さらにいいですね。コンテンツを一度に全部、短い期間に公開するのは、受け取り側にとって負荷が高いんじゃないかなとも思います。社内の他の情報で埋もれてしまうリスクもあるし。読んで消化、内省する時間があったほうがいいと思っていて。その時間を踏まえ「あれから記事を出して、社内からこういう反応がありました」というコンテンツを公開するのもいい。伊藤さんから投げたボールがメンバーから返ってきたとして、それに応える返球。そんなコミュニケーションのキャッチボールです。「先日に公開した社内報では言葉が足りなかったので、そのへんを補足すると」みたいな。受け取れないメンバーへ向け、その足りないコンテクストを追加して、コミュニケーションのキャッチボールが続くような。

伊藤:確かにそうですね。

S:コミュニケーションがすごく太くなるというか濃くなるというか。各自が自分のタスクを処理することに忙しい日常だとして、それによって、口頭で交わすことができないコミュニケーションを少しでも補いたい。置いてけぼりになるメンバーを減らし、社内に生まれてしまう疎外感をカバーする。伊藤さんにしたら、資本主義の権化というか、精密なマシーンじゃなく、一人の人間であることを伝えるきっかけになります。迷い悩む姿は「経営者の苦悩」として美化せず、一人の人間としてのありようとして伝える。

S:それが、先入観やバイアスによって遮断されやすい、メンバーと経営者の間のコミュニケーションを少しでも円滑にするというか。コミュニケーションのハードルを下げる効果も期待できる。これ、さらに採用にも応用できると思うんです。たとえば面接、応募のときに「御社の社内報を読んで来ました」という人は、すでにトグルという会社のコンテクストを消化してきた人です。伊藤さん(トグル)のエッセンスに一定、共感を得た人が、応募という門を叩くという状況を作ることができるんじゃないでしょうか。その上で面接などを経て、一緒に働きましょうとなれば、入社後の、その人のエンゲージメントにもポジティブに働くはずです。

伊藤:最終的に、カルチャーブックみたいにデザインを入れたら、めっちゃ面白いかも。アウトプットとしても良さそうですね。

S:メンバーとのやり取りも本のなかに入っていたら、カルチャーとしても相当、分厚くて濃厚になりますね。

伊藤:聖書って、イエスキリストだけじゃなく、マタイとか弟子たちとか。弟子の章もあって。そういう人たちの行動が、キリストの考えに沿っていたり、沿っていなかったりします。沿ってないときはこうなるとか。ああいうのを入れたいですよね。「あのときの判断はああでした」と。

S:いいですね。そこの部分のコンテクストが重要だと思います。切り取って、あるシーンだけを見せられると、誤解や先入観がはびこる。前の会社を売却し、まとまったキャッシュを手にした人。という面だけを取り上げればキャッチーですが、打ち込むほどにゴルフが好きだという一面もあって。ゴルフ友達にしてみたら、伊藤さんって何している人?ってなると思うんです。人って多面的です。私はそれを扱いたい。

伊藤:いま、そうなってますね。

S:そうなってるとは?

伊藤:ゴルフだけの人だと、いま思われています笑。

S:そういう人にこそ、社内報で伊藤さんの考えやトグルがやろうとしていることを伝えたいな。やりかたは他にもあります、社内ラジオとか。いろいろ。

伊藤:一時期に流行った音声SNSみたいな感じで、対談とか。こういう対話をラジオ的に流す、ブロードキャストするのはすごくいいなと思っています。打ち合わせとかも、本当はラジオで流したいです。

S:アイデアが次々に湧きますね。

(つづく/エピソード1へ)


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【制作にあたり/プロローグ】
思い返すと「対話、ダイアログがよいかもしれないですね」のアイデアが伊藤さんから出てくるころには、語り手としてトグルにかかわる自分の姿をぼんやり、想像することが私にはできていた気がします。

対話の後半からラストまでは、成り行きで、ほぼブレインストーミングに。2年ぶりの再会で、お茶をしながらの雑談でしたが、自然と、創発的な場になりました。冒頭で伊藤さんが「縁深いですね」と言っていますが、そのセリフの通りの何かを感じたのでした。

この物語は、ノンフィクションでありドキュメントです。すでに社内で起きたこと、これから起こること、伊藤嘉盛よしもりの思想やビジネス哲学を彼の目線で伝え、語っていきます。

トグルという物語(事業)には、あらかじめ立てられた計画があります。その筋書きを書いたのは、物語の主人公である伊藤嘉盛よしもりです。でも決して、その通りに、すべてのコトが運ぶわけではありません。TVや映画と違い、これが現実の出来事だからです。

出来事を風景や景色と言い換えたとき、語り手である私には、一つの願いがあります。それは『一人でも多くのメンバーに、彼が見ている景色と、同じ景色を見てほしい』というものです。もし、ハッキリと見えないなら「ここらへんがボンヤリしてて見えにくいです。教えてもらえませんか」と尋ねてみてください。もし何かの景色を感じたり見たりすることができたのなら、その感想をメンバーの誰かとシェアしてほしい。それを伊藤嘉盛よしもり本人に伝えるのは一番オススメの方法です。そうして社内のコミュニケーションが一つでも増えて、メンバー同士や、伊藤嘉盛よしもりとの会話の糸口になってほしい。彼への共感を強いるのではなく、理解を妨げる何かを取り除きたい。その積み重ねやプロセスが、トグルという会社のカルチャー(文脈)づくりを手助けする。私は、そう信じています。(S)


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