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「サブスク世代の若者はギターソロをスキップする」?時代とともに変わった音楽の聴き方に、Twitter上での反応は?

こんにちは、ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター )です。

Twitterで話題になった最新の話題を考察する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」。
今回のテーマは、主にロックにつきものの「ギターソロ」と定額制音楽配信(以下、サブスク)の関係についてです。

「サブスクが当たり前の若い世代は、音楽を聞く時にギターソロをスキップしている」という驚きの話がTwitterで話題に。

そこで編集部がTwitterとトゥギャッターまとめを確かめていったところ、サブスクの参入とともに変化した音楽の作り方と受け取り方の様子が見えてきました。

※「サブスクリプション」は定期購入という意味ですが、本稿ではいわゆる定額制の音楽配信サービスを指すこととします。

ギターを好まない若い人たちが増えている?

発端は、音楽評論家の能地祐子さんによるツイートから。NYタイムズの記事に『今年のグラミー賞には、ロック・カテゴリーのノミネート曲の多くにギター・ソロがない』とあり、能地さんは衝撃を受けたそうです。

このツイートにミュージシャンの高野寛さんが反応した投稿が話題の中心となりました。その内容は「サブスクで音楽を聞いているときに、ギターソロが始まるとスキップする若者が多い」というもの。高野さんは京都精華大学で教鞭をとっている立場からも、若者の音楽の聞き方が変化していると感じていたそうです。

なお、後日高野さんは「高野寛のnote」で発言の意図を説明しています。

「『(サブスクが主流のアメリカで)グラミー賞ロック部門のギターソロが絶滅しかかっているのは、ギターを好まない若い人たちが増えているかららしいですね』と言いたかった」

出典:高野寛のnote「ギターソロを聴きたいね」

このツイートがきっかけで「ギターソロ」というワードがTwitterトレンド入りしたのでした。

サブスクの日本上陸とともに語られた音楽の衰退

アメリカだけでなく日本でもサブスクはすでに主流と言っていい状況。アメリカと同じような現象が日本でも起きていると想像できます。

日本における音楽の聴き方について、サブスクが日本に上陸した2015年頃からのトゥギャッターまとめとともに振り返ってみました。

2015年から始まった国内外の音楽配信サービスは次の通りです。

2015年…Apple Music、LINE MUSIC、AWA、Google Play Music
2016年…Spotify

こうしてサブスクが浸透しはじめた2015年、NHK『クローズアップ現代』では「あなたは音楽をどう愛す?~新・配信ビジネスの衝撃~」と題し、音楽の定額配信サービスについて取り上げました。

番組を見た人たちは、日本の音楽業界が衰退した原因についてTwitterに考察を投稿しています。この時のまとめがこちら。

さらに、2020年のインターネット白書では、配信サービスを利用するユーザーが増加したことで音楽の聞き方に変化が起きたと記載しています。

Spotifyのデータによると、ユーザーは平均で1時間あたり14.65回スキップするという。(中略)
音楽系のブロガーであるポール・ラメールがSpotifyのデータをもとに分析したところ、最初の5秒で24.14%、30秒では35.05%の曲がスキップされ、最後まで再生されるのは51.4%に過ぎないという。

出展:インターネット白書2020「音楽配信サービスの動向」

ほかにも「サブスクが流行り始めて前奏が短くなった」などの報告があり、その感想がこちらのまとめに集まっています。

ギターソロのみならず、曲のイントロもスキップされているようです。この状況なら、音楽の作り手が前奏を短めに作ろうとするのも理解できそうです。

サブスクのメリットとデメリットも議論されています。2021年には「サブスクでは音楽に愛着が持てない」というTwitterユーザーの投稿が発端となり「所有することによって愛着が生まれる」「サブスクによって音楽との出会いが広がった」といったさまざまな声が集まっていました。

ギターは「終わった」のか 音楽の作り手からの声

サブスクの存在とギターソロにはどんな関係があるのでしょうか。

ギターの神様と呼ばれるエリック・クラプトンは、ギターの売上が落ち込んでいることに対し「ギターはもう終わっちゃったのかもね」と笑って答えたのだそうです(BARKS、2017/9/12)。

クラプトンの発言はサブスクを原因とはしていません。しかしギターの人気が下降していることが垣間見える出来事のひとつと言えるでしょう。トゥギャッターには、ギターファンの反応がまとまっています。

そして2021年、音楽評論家の岡田敏一さんによるコラム「イントロとギターソロを飛ばして聴くのは邪道」では、このように言及されていました。

「最近、音楽関係者の間では『イントロとギターソロのある楽曲は売れない』といわれている」

出典:産経新聞、2021/9/25

このコラムに対しTwitter上では「つよいイントロ=サビで聞き続けてもらわなきゃいけない」「セールスと楽曲の良さは、切り離して考えざるを得ない」といった、サブスク世代の楽曲制作を嘆く声が集まっています。

これに対して音楽の作り手側の声もあります。2022年4月、「ギターソロ」のTwitterトレンド入りに反応したギタリストのマーティン・フリードマンさんが持論をツイートしました。

6ツイートにわたる、「(音楽の)作成の過程はコストが多いので、どっかで節約しなきゃ。一番節約出来る部分はギターソロ」と音楽制作サイドの事情を説明。

その上で、「ギターソロはボーカルと全く同じ存在じゃないとスキップ(する)のは当たり前」であり、「フレディーのスーパーボーカルの存在感に負けない、ブライアン・メイのギターソロほどのクオリティならスキップされないだろう」とも。

ギターソロを「節約」する、作り手側の価値観の問題でもあると語っています。

ミュージシャンたちは、ギターソロを諦めて捨てているわけではないのでしょう。

「またギターの時代が始まる」ミュージシャンたちの期待

マーティー・フリードマンさんだけでなく、多くの人気ミュージシャンがギターソロのある楽曲に期待を寄せているようです。

「くるり」の岸田繁さんは「ギターソロって流行ってないの?オレは曲飛ばしてギターソロだけ聴くけどな」とツイート。

また「King Gnu」の常田大希さんも「焦るなよ またそのうち ギターの時代が 始まるのだよ」と投稿しました。

これらのツイートに、ファンからはギターやギターソロに期待する反応が多数届いています。反応した人たちは、彼らの魅力的な楽曲にあるギターソロをスキップして聴くことはないでしょう。

まとめ

「若者はギターソロをスキップする」話が注目された理由は、主に以下の3つにありそうです。

2015年からの各種音楽サブスクの参入をきっかけに、衰退を憂う声が現れていた

・「若者の音楽の聞き方が変わった」話が出ていた

・多数の著名なミュージシャンがその話題に反応し、拡散された

レコードからCD、ダウンロード販売、そしてストリーミングと、時代の影響を受けて音楽の届き方は変わっていきました。だからといって「サブスク世代」の若者が皆、ギターソロをスキップするとは限りません。アーティストからの素晴らしい楽曲に、ファンが呼応していくという姿は変わらないのです。ギターソロが消えてしまうようなことは、起こらないのではないでしょうか。

以上「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」でした!

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