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ティラムバラム(ジャガーの司祭)


「勇者を祭壇へ!その心臓を神(太陽)へと捧げん!」

神殿(ピラミッド)の最上段から司祭が叫んだ。

ジャガーの毛皮を纏い、頭には光冠(コロナ)を模した冠、背には太陽より噴射する紅炎(プロミネンス)の様な羽飾りを着けた彼はまるで太陽(ウィツィロポチトリ)そのもので在るかの様だった。

アステカ人は神託に従い約束の“蛇を咥えた鷲がサボテンにとまる”地を幾年も探し彷徨った。

そして其の地はテスココ湖の巨大な島に有った。

彼らは灌漑を行い其処に世界一の都市・テノチティトラン(太陽の都)を築いた。

だが征服者(コンキスタドール)コルテスはその全てを破壊し土で埋め尽くした。

…まるで太陽を包む闇(テスカトリポカ)であるかの様に。

陽の光…それは“心の光”もだ…が消えたその日、叫びは生きとし生ける全ての者に届いた。

そして皆、彼が何処から呼び掛けたのかも理解した。

それはかつて太陽の都の有った地、今はメキシコと呼ばれる地だ。

【続く】

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