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異世界転生考察 後編

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 前回に引き続き、今回も異世界転生について考察をしていきたいと思います。※この記事は2800文字程度で構成されています。

異世界転生の歴史

 転生と宗教

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 ここまで異世界転生というジャンルについて、転生の理由について考察してきましたが、今度は異世界転生の歴史について考えていきたいと思います。そもそも、異世界に転生するという概念は、遡ってみると、なかなかに歴史が長いもので、私達も過去に、これに対する文献やドラマ、概念を多く見てきたのではないかと思われます。

 転生の概念。結論を言えば、その根源で最古たるもの。それは宗教です。

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亡くなったら天国や地獄を想起する人も多いです。

 日本にも輪廻転生の概念がありますし、外国にも死んだら生まれ変わるという考えが多く残っています。死んだら幽霊もある意味、異世界転生です。

 では、この転生概念はなんの為に生まれたのか?それは、世を安定して治める為に必要だったからです。もし、死んだ後、なにも残らなければ、「生きてる間は、なにをしても良い」と考えが広まってしまいます。特に貧困層に所属する弱き民は暴徒と化し反乱。国など統治できないのです。

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明日わからないのに今日を正しく生きられるのか?

 「だから、生きている間に、なにか良いこと(善行)をすれば来世で報われる。持たざる君も正しく在ろうね」と説いたのです。

今風に言うと「今を頑張って生きれば、来世は強くてニューゲームできますよ」ってことです。

 宗教を交えると。長くなるので、ここまでにして、転生がどのように世代を超えてきたか、考えていきましょう。実は転生という概念がエンターテインメントのメインとして活用されたのは歴史から見ればごく最近です。
 なにせ戦後と呼ばれて100年も経ってないからですね。人類の歴史からすれば、まだ、ほんのちょっとの間だけなのですね。

 作品における転生の代表例。

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  前も述べたように、転生作品は2010年のなろう系から発展しましたが、それまでは、作品のネタの一部として使用されてきました。古くは山田風太郎の小説から、有名な漫画作品だとドラゴンボールなどです。

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 ですが、転生が主軸となる作品は少なく、物語のパーツとして扱われることが多かったようです。それまでは異世界転生というより異世界への転移ループものが多かったようですね。特に転生ブームの前は鬱ブームなどが流行っており、暗い作品も多かったです。

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鬱ブームの火付け役。我等がエヴァンゲリオン

 転生モノの今後の動向について。

 異世界転生モノの今後の発展はしばらく続いていくことでしょうが、個人的に少しずつ変化も生じてきていると思っています。今後は、ベクトルが同じでも、転生する必要の無い作品も多く登場しそうです。

 その一端として、ざまぁ系やスローライフ系の存在は注目に値します。

 以下。ざまぁ系、スローライフ系が分からない人の為に大雑把に説明します。

ざまぁ系

実は有能だったのに、無能の烙印を押されパーティを追い出される。その後、自分の真価が世界に認められ英雄になる物語り。無能と追い出した元パーティは主人公が実は有能だったに気づくが、後の祭り。呼び戻したいけど、主人公は自分を認めてくれる新天地で楽しく生きていました。もちろん元のパーティに戻る気は無いよ。というお話。

スローライフ系

劣悪な労働で働き過ぎた結果。過労で倒れる。別のフィールド。(場合によっては転生)に移ることを余儀なくされるが、新しい職場では、労働で得たタフネスや経験が認められ英雄視される。その後、大抜擢や大出世をして、余裕をもって、ゆっくりと余生を過ごす物語り。

 大雑把ですがこんな感じです。

 この二つの物語りのポイントは主人公を別の異世界(環境)に転移させるのに、転生の必要がない。ということです。

 つまり、死ぬ必要がないということなのです。今後は、死亡する必要のない。このような設定に、ゆるやかにですがシフトチェンジしていくと思われます。世間も感じはじめたのかもしれません。

転生するのに、なにも死ぬ必要は、ない。と。

承認欲求とファンタジー

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 なろう系をはじめ最近の漫画、ラノベに限らずに物語りを俯瞰してみると、読者が求める共通認識が見えてきます。

 それは承認欲求です

 無能と言われ、パーティを追い出される設定も。

 ブラック企業で働きすぎて過労で倒れる設定も。

 ニートが車に轢かれ異世界に転生する設定も。
 
 根幹にあるのは自分を認めてほしいという欲求です。このことから、承認欲求さえ満たす要件さえ当てはまれば、転生モノに限らず、どんな作品もメジャーになり転生ブームのように火が点く可能性があるのです。

 だとしたら、今の社会を鑑みて、今後は、異世界逝ったら年金貰えた。とかいう漫画が出るかもしれませんね(笑)

リアル異世界転生

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 最後のテーマとしてファンタジーのタブーである。現実的に観て、異世界は本当に良い世界なのか?について考えてみたいと思います。

 漫画やファンタジーで語られる異世界は、基本、夢のある世界です。まぁ、往々にして、人は死んでますし戦争は起こっていますが、憧れる世界観です。ただ……

 本当に異世界は夢にあふれているのでしょうか?

 自然が豊富で景色が綺麗ということは。逆に言えば弱肉強食で生きるのが過酷な大地ということです。

 戦闘においてチート能力が持て囃されるということは、戦争が頻繁に起こる社会ということです。

与えられる能力もなにが与えられるか分かりません。チート能力を授かっても環境や状況で逆転してしまうかもしれません。

 リアルに異世界転生を考えると、どうしてもネガティブ思考になってしまいます。

――そう、異世界転生はリアルに考えてはいけないのです。

そして、これが、一番大事な問なんですが。

――あなたは死んででも、こんな世界に転生したいですか?

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死と隣り合わせな世界って怖くない?

 長々と語りましたが、これで異世界転生に関する考察記事は終わろうと思います。

※本当は前後編で文字数が1万字を超えていて、削るの大変でした。ここまで読んで頂きありがとうございます。

 最後に僭越ながら、個人的なメッセージを綴って締め括りたいと思います。

 現実は確かに厳しい。でも、現実だけが、私達を幸せにできることを、みんな知ってるはず。そして賢明な、みなさんなら、もう、お気づきでしょう。人間は、一度死んだら、おしまいです。頑張って今を生きましょう

 では、またね。

 ※参考引用画像。

無職転生。北斗の拳。魔界転生。ドラゴンボール。新世紀エヴァンゲリオン。スラムダンク。Re.ゼロから始める異世界生活。フリー素材集。



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