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月の裏側

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#エッセイ

2020/2/14 日記、ていうか反省文

実家暮らしであり、親が過保護気味なのをいいことにスマホの通信費はなんかファミリーパックになっているらしい。その支払いをするのは父である。

父は最近までWi-Fiの必要性すら理解できなかったが、おカネのことはしっかり管理している。おカネと、誰の端末がどのくらいデータを使っているのか……など、毎月シッカリチェックしてるらしい。



私はおカネやデータのことはよく分からないけど、デジタルデータとい

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虫の知らせ

学校とか、バイト先で掃除をするのが好きだ。家ではなかなかすることができないので、何をしても楽しい。

……と、ここまでの文章を思いついて、「いや何もかも間違ってるだろ」と困惑してしまった。掃除をすることは、別に非日常ではない。

「今日回収業者さんが来るから、ベッドと勉強机を捨てるなら捨てていいよ。片づけておいてね」

と言われた。バイトが昼からだったのでそこそこ夜更かしをした日の朝だ。細かいこと

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また、自立支援について聞かれた

病院が終わって、サイゼリヤのランチスープを飲みまくって時間を流していたらまた、自立支援について聞かれた。

長く通院をするのであれば医療費が3割→1割になるからナントカカントカ手続きはナントカ説明し、「自立支援について質問されるの2回目だ ウケる」と笑った。「そういうイメージがあるのでは? 妹の話してますし」と返信があった。な~~んにも否定できない。その通りだ。実際、家族5人中4人が薬を飲んでいる

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家の中で書いた日記

あのとき、手首を切ろうとするべきではなかった。ずっとそう思っている。

学校も仕事もなく、1日のほとんどを家の中で過ごすという生活に、少なからず飽きている人が、今、沢山いると思う。それがどれくらい辛いか、私はよく知っているからこそ、何かできないかと考えていたけれど、私も週二回のバイト以外にできることが何も無く、起きてご飯を食べて、寝るだけで精一杯なのだ。少なくとも、誰かに分け与えられるほど上質なも

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透明

家の中で生きることは、家族との頭脳戦だ。これは、私だけでなく妹や母、時に父もそうだ。今なら。

妹の考えていることはよく分からないが、とにかくすぐに新しいものがほしくなるのは確かだ。洋服、ゲーム、ぬいぐるみ……最近であれば化粧品もそこに追加されている。まだ妹が幼かった頃、母は可能な限り買い与えていた。姉の私は「不公平だ」と思うより早く「心配」した。母の頭も、家のおカネも。のちのち母の言い分を聞けば

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悪魔

不登校になるちょうど1年前のことだ。5月27日、男友達の三上が梨央に告白をしていた。三上が梨央を好きだという話は、本人から相談をされていたので知っていた。

三上の言い分はまぁ、分からないでもない。当時すでに梨央は、私の肯定の成果でなかなか手のつけられない女になっていた。それを見る三上の目は「興味」だった。アレがそばにいれば、退屈しないし効率よく退屈を埋められる。どう考えても「恋」ではないので安心

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最善

4年1組の担任だった教師を知る人は皆、「最悪」と話した。学校という閉鎖空間の中で、人気のある教師もいればそうじゃない教師もいる、のだが、この教師の嫌われっぷりは、「異常」の域だ。物理的な距離などを理由に、あまり交流のなかった4年4組出身であり、鈍感でもある三上が「えっ、とどめ4年1組だったの? あの『最悪』の……」と話し出す程度には、悪評が広がっていたらしい。

どういうワケか4年1組は、「めちゃ

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満月

この世にある暴力のすべてが憎い。暴力行為が憎いんじゃない。暴力でひっくり返される世界があることが憎いんだ。

5月8日の真夜中、私は家を出て、ひたすら東へ自転車を走らせた。21歳の家出は、周到な計画によって進行された。例えば、2か月前からnote、Twitterを更新していたこと。例えば、友人に「このような場合は、大切な絵を預かってほしい」と話していたこと。例えば、現金数万円をあらかじめ引き出して

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