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おい、アルマジロの肉が手に入ったんだが食べないか?

帰宅途中のことだった。後ろからポンっと軽くはたかれた。ファン(台湾人)だった。ミニストリーの2階の窓からぼくが歩いていくのを見つけて走っておいかけてきたらしい。

― やーやーやー、調子はどうだい?あのー、ほら、例の肉が手に入ったんだよ。ペギー(台湾人ボランティア)の同僚がね、獲ってきたらしい。食べるだろ?

例の肉とはアルマジロのことだ。台湾人はどういうわけかアルマジロの発音ができない。彼らの言葉でアルマジロを指す言葉はあるが、どう発音するのか誰も知らないらしい。不思議だ。マンダリンはカタカナみたいに音をそのまま文字に起こすのではないのかもしれない。

ともかく、そう、セントビンセントはアルマジロを食べる。

アルマジロは中南米に広く生息する動物で、各地で食べられるらしい。だから決してセントビンセントの特異な文化というわけではない。

ここの人たちがアルマジロを食べるというのは去年のちょうど今ごろ知った。それから1年、ようやくチャンスが巡ってきたわけだ。

あの硬そうな動物のどこを食べるんだろうという疑問は当然わく。あの甲羅みたいなのは実はそれほど硬くなく食べられるのだろうか。ウミガメも腹の部分の甲羅は背より柔らかく食べることができると聞いたことがある。

そしてどんな調理法が適しているのかも気になる。まさかブツ切りのスープではあるまい。BBQが妥当だろうなあ。

ここの人はイグアナ(グリーンイグアナ)も食べるんだけど、路上で売ってるのを買って食べようした台湾人曰く「ショウガやニンニクで臭みを消そうにも、どうやったって臭いが消えず、クサすぎて食べれなかった」らしく、アルマジロもクサいんじゃないかという考えが頭をよぎる。

ペギー宅への道すがらいろんなことを考え、いろんな疑問をファンにぶつけた。ファンも何も知らなかった。

どの部位を分けてくれるんだろう、ペギーは調理方法も聴いたんだろうかと思いながらペギーを訪ねると、既に調理をしてくれていた。

そんなに量はないようで、ぼくはひとかけもらった。

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どの部位ないのかはわからないが、手前が外皮の甲羅部分であろうことは想像できた。スプーンですくって、コツコツ叩いてみた感じ、硬くて到底食べられそうにない。

懸念していた臭いはない。ショウガを味付けに使ったようでペギーが臭い消しに成功したのかもしれない。

思い切ってかじってみた。

甲羅は硬い。カッチカチ。これは食えぬ。

内側も骨とスジばかりで食べるところが少ない。

それでも肉を削いで食べるわけだけど、脂身の部分の食感は豚トロ。けっこうぎっしり詰まってる感じがした。肉もけっこうぎっしり詰まってて食感は牛タン。

驚くことに味は悪くなかった。こっちで食べるクジラと違って味は問題ない。むしろ本来は好きな味と言っても問題ないかもしれない。

けど、なんだろう、先入観だろうな、あの動物食べてるんだと思ってるから億劫になる。食べたいと言ったものの気乗りしない。

慣れなのかもしれない。あと2~3回食べたら普通になるのかもしれない。

なんかぼくらが食べる肉は牛にしろ豚にしろ、柔らかそうな動物ばかりだから、アルマジロっていう硬そうな動物を食べることを受け入れられていないような気がする。

(あと、ぼく骨付き肉がけっこう嫌いなんだよなあ。めんどくさいから。場合によっては手汚れるし。)


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そして次のぼくの興味はアルマジロを食べることよりハントすることに向かう。

近日公開、
ジャングルに蠢く影、アルマジロハント、お楽しみに!

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