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選挙のタレント候補は国によって受け取られ方が違う

選挙でタレントやスポーツ選手が立候補すると、日本だと結構否定的にみられる。国民なんだから別に好きに立候補すればいいのではと思うし、有名なタレントだったからって政治参加すべきでないってどんな理屈で私権制限するんだと。それに立候補したからといって直ちに当選するわけではない。正当な選挙というプロセスによって判断されるのだから。有名無名は関係ないのだから。

あれは嫉妬ではなかろうか

というのが建前だろう。現実はどうかというと、まあ結構タレント候補は当選しやすい。選挙前からタレントとしての知名度があるから。悲しい現実として多くの人は候補者の掲げる公約を精査して投票しているのではなく、投票時の第一想起、まず投票者が候補者を知っているかどうかで決まる。決まってしまう。だから選挙カーはスピーカーで「○○、○○、○○をよろしくお願いいたします!」なんて候補者の名前をとりあえず連呼して認知獲得を狙う(なんだかんだでこれが最適解とされている)。そして「なんかがんばってたしなぁ」という曖昧模糊な印象で決まってしまう。

その認知獲得が一番苦労するところなんだけれど、タレント候補はそこをすっ飛ばしてしまう。だってタレント時代に積み上げた知名度があるから。だから、選挙でのタレント候補が否定的に捉えられるのって正直半分以上が嫉妬だろうなと思う。普通の人は地盤を受け継いだとしてもドブ板営業的なことをしないといけないし。

「知名度だけで、中身がともなってないから議員としてふさわしくない」みたいな批判もぼくは嫉妬だろうなと思う。だって他の候補者だって、中身が伴ってるかというと必ずしもそうとは限らないわけだし。ぼくたちはこれまで議員のいろんな不祥事を見てきたように。それにどの議員も万能ではないから得意なところそうじゃないところがあるだろし、課題意識はそれぞれ異なるだろうから。だから、「ほら、この候補者はこの問題について全然理解してない!」って批判されたりするんだけど、もちろんそうやってプレッシャーをかけることも大事なのだけど、1歩2歩引いてみると、重箱の隅をつついているようにみえなくもない。

党にとっては都合がよい

で、党にとっては非常に都合がよい。当選しやすいからコスパがいい。選挙ってお金かかるから。

それに、すごい勝手な偏見だけれど、たぶんタレント候補って自ら何か危機意識をもって政治に参加しようという意志を持っているわけではないから、党に忠実だろうし。いや、正確には引き込んだ派閥のリーダーかな。

立場が人をつくることもあるから、後天的に社会課題解決に情熱を燃やす人もいるだろうし。

個人的には…

ぼくはこのタレント候補っていうのはひとつの選挙ハックだと思っていたりするので、良い悪いではなく、ルールに反してないのだから、気に入らないなら対策を考えるしかないでしょと思っている。

そして、この選挙におけるタレント候補ってポピュリズムと結び付けられやすいと思うのだけれど、少なくとも大衆の意見が政治に取り入れられること自体は悪いことではないよねとは思う。

そもそも民主主義は課題が多いのだから。その数あるうちの1つだろうなと思っている。

民主主義は最悪の政治形態といわれてきた。他に試みられたあらゆる形態を除けば 

ウィンストン・チャーチル

フィリピンでは事情が異なる

それでようやく今回の本題。

タレント候補、フィリピンでも結構いるそうなんだけれど、総じて好意的にとらえられているらしい。フィリピンNo.1のフィリピン大学卒の友人と話しているときにそういう話になった。

理由はすごいシンプルで、タレント業で既にお金をいっぱい稼いでいるだろうから、汚職の心配がないから、なんだとか。

フィリピンの課題はなんといっても汚職で、とにかく汚職が多くて、汚職起因の襲撃なんかもあるし国民はみんなうんざりしているのだとか。だから、有名人が立候補すると「この人は汚職しないだろう、する必要がないほど稼いでいるのだから」という推定が働くのだそう。

実際、その通り汚職とは無縁で公務に励んているのかと聞きたかったのだけど、少し怖くてそこまでは踏み込めなかった。ただ、好意的に受け取られているということは、少なくとも目立った汚職はないのだろう。

視点が異なるというのか、評価ポイントが想定外のところにあり、ところ変わればなんとやらだなと非常に興味深かった。

ちなみに

今回の参院選、パッと見た感じ、ウイグル系日本人の候補者が2名と、ペルー系の候補者が2名おり、これからの日本の象徴のような人たちだなととてもグッとくるものがあった。どうやら今回の選挙では当選はできなかったようだけれど、少なくない数の人たちが彼らを支持しており、次回の選挙(国政選挙は3年後だけれど…)に期待してしまう。

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