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スタートアップ支援という仕事を始めて1か月経った所感

仕事始めである。そして、いまの仕事を始めて1か月経った。
実は、ぼくの仕事が本格的に始まるのは新年度、つまりは4月1日以降だったりするのだけれど、事業やプロジェクトの大枠は掴んだかなと思っている。

一言でいうと、思ったよりおもしろそうだし、思ってたより通用しそう。

この1か月、ぼくは何をやっていたかというと、いろんなところに顔をだして、事業やプロジェクトの全体像をつかむであったり、バックオフィス的なことだったり、人が足りてないところにヘルプ入るみたいなことをやっていた。今年からは企画もやる。

思ったよりおもしろそうだというのは、神戸は国のスタートアップエコシステム拠点の1つに指定されているし、これからの5年で投資額めっちゃ増やします!みたいなことを国がアナウンスしていて、その大きな流れの中にいるというのは、なかなかに良い経験になるのではないかと思っているから。

神戸は日本の他の都市と違って、行政が主体となってスタートアップ育成を行っている。東京や大阪、福岡なんかはIPOしたエンジェル投資家だったり、不動産屋だったりの民間のプレーヤーが積極的に活動してエコシステムをつくっている。それが大きな違いであるし、国際開発からやってきたぼくとしても行政が積極的に働きかけるという構図は途上国支援と同じでとっつきやすく、仮に今後また海外へ出たいと思ったときも有用な経験になると思っている。

それで、思っていたより通用しそうだと思ったのは、シードラウンド(※1)やスモールビジネスレベルのフェーズやサイズの事業であれば、ぼくのこれまでの経験や知見でアドバイスや提言的なことが十分できるなと感じたからだ。

ぼくの所属先の事業の1つにコワーキングスペースの運営というのがある。入居者はスタートアップに限らず、スモールビジネスのオーナーや個人事業主など様々。で、スタートアップ向けにメンタリングイベントを定期に行っている。メンターはぼくのボスであったり、メガバンクの偉い人だったり。

メンターがぼくのボスの時なんていうのは、元気ですか儲かってますか的な話と、なにかサポート必要なことないですか、みたいな雑談に毛が生えたレベルの軽い聞き取りであったり、スタートアップにとっては息抜きみたいなものだけれど、ここでわりと詳細に事業内容を話してくれているのには驚いた。投資家でもなければなんの資本関係もなくNDAも結んでいないのに。

ボス曰く「これが、コワーキングスペースを不動産屋として運営しているか、コミュニティとして運営しているかの差」なのだそうだ。

もう一方の、メガバンクの人がメンターのときっていうのは、形容するのがちょっと難しい。あんまり意図がよくわからなかったから。もちろん中には「すごい、良いアドバイスです!」なんていうケースもあったのだけれど、総じてかみ合ってないケースの方が多かったように思う。ぼくの目には何を言うかについてなかなかに苦労してるように見えた。

もちろん、シードラウンドであるから、(銀行にとっての)しっかりとした事業としてのカタチやプランを提示できてなかったというのもあるだろうと思う。故にアドバイスをするにしても何をどう言えばいいのか…と困惑もあったのかもしれない。

これは、ぼくのバイアスも多分に含まれている。メガバンクの人なんてシードラウンドの事業見たことないだろって思ってるのもあるし、金貸しなのに、経営とかマーケティングに明るいわけないじゃんって斜に構えて見てたから。ごめんなさい。

これは、スタートアップのためのメンタリングイベントなのか、金融検査マニュアル(※2)廃止以後の事業性評価(※3)のためのデータ集めなのか。

ポジティブに解すると、近い将来の投融資の機会のためのスタートアップと銀行の接点づくり ( and ホットラインづくり) がメインなのだろう。取引先紹介もなかなか難しいケースが多そうだった。

とにかく、ぼくだったらこう言うのになぁ…と歯がゆい思いをしながらその場に同席させてもらっていた。アイデアだしだったり、マーケティング的な視点であれば全然通用するなと感じた瞬間がここ。

結局、いろんなスタートアップを見たけれど、どこに露出すべきとか、どこでマネタイズするとか抱えてる課題は似通ってる。これまで、サービス業やメーカーなんかで働いた経験もそうだけれど、これまでいろんな現場で試行錯誤してきた経験が血肉になっている感じがある。

また長くなってしまったけれど、次の1か月のぼくの課題は、どう信頼を得るかだと思う。信頼を得ないと、アドバイスなんて聞いてもらえないから。さて、どうしようか。



(※1)… 創業前または創業間もない時期の資金調達期
(※2)…バブル期の不良債権問題を背景に金融庁が策定したもの。決算書の見方の指導、担保や保証を有することが健全性を表すとしたもので、銀行は融資の際にも、このマニュアルに従い、決算書による格付け、担保や保証の有無による一律の評価をした。これにより、各銀行の融資判断能力が喪失した。2019年廃止。
(※3)…担保や保証、財務諸表に依存せず、企業の将来性や事業内容を見たうえで実態に即した融資判断を行おうというもの。

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