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新型コロナがCOVID-19と命名されたのは差別を避けるため

カリブでもコロナがホットな話題になりつつある。今日だって、ケイマン諸島に寄港予定だったクルーズ船が、船内に体調不良者が2名いるということで上陸拒否、後に寄港しようとしたジャマイカでも拒否されたとニュースになっていた。

我がセントビンセントおよびグレナディーン諸島では、そもそも島民はニュースを見ないからほぼ知らないし、他の港で寄港拒否されたクルーズ船を何の問題もなく上陸させてしまった程度にザルなんだけど、セントルシアでは陽性反応がでて病院ごと隔離中だし、隊員が「昨日、ひょっとしたらコロナって呼ばれたかもしれない」とボソッと言う程度には隊員間に不安が広がり始めている。

ぼくはというと、そんなに気にしていないのが正直なところなんだけど旅行でNYに行こうと思ってるんだけど、2週間ほど前のニュースではあるけれど、マスク姿のアジア人女性がNYで暴言と殴る蹴るの暴行を受けたという事件があったようだ。

あぁ暗いニュースだと思いながら他にもいろいろ読んでいたんだけど、その中で最近の病名はキャッチ-じゃないけれど、不名誉なことを避けてるんだとい英文記事が面白かった。

記事によると、WHOは感染症の発生とその病名には重要な関係性があるとみなしているそうだ。

WHOの事務局長は新型コロナウイルスをCOVID-19とする病名発表の際にCOVID-19を特定の地域、動物種、人々のグループに関連付ける言及を避けることを推奨するガイドラインの説明を重要事項として行った。この緊急性の高い状況下において。

これは病名が思いもよらないかたちで特定の地域や人種、民族全体を非難するために使われた過去の歴史を理由に、コロナウイルスが「中国のウイルス」として人種差別を助長するのを防ぐ目的が今回の病名選択に含まれている。

感染症の名前の歴史を振り返ると差別や偏見の事例がでてくる。

16世紀、ポックスと呼ばれた病名は、よくわからない怖い病気の総称で、ときにはペストと同じような意味で使われた。それが、自分より身分の低い人や外国人を差別するために使われるようになった。たとえば、性感染症の梅毒(当時の名はグレート・ポックス)はその時戦争をしていた相手国によってフランス病やイタリア病、イギリス病という病名で呼ばれたりした。

もう少し現代に目を向ければ、同性愛者の若い男性患者に多く見られ西洋では見られない症状の総称がGRID(ゲイ関連免疫不全症)と呼ばれていたことがある。後に、ゲイ男性以外にも見られることがわかりAIDS(後天性免疫不全症候群)と改められた。

鳥インフルエンザと呼ばれたH5N1が流行した2004年と2005年、その俗称から鳥への恐怖が先行してしまい、感染の恐れのない罪のない鶏が大量に何百万羽も殺処分されたこともあった。

残念ながら過去の事例では、名前からくる差別をなくそうとする動きのプライオリティーは低く、スケープゴート探しの方が優先される。実際いまでも人々の恐怖を煽るかたちで感染症の拡大阻止を狙う手法が取られたりする。

記事では最後、WHOが主導する病名から差別をなくそうする動きが上手くいくかどうかは歴史だけが知っているとして委ねている。

この試みは面白いなと思う。

けれど、相手がFear(恐怖)というのはなかなか手強い。だって Fear is contagious (恐怖は広がりやすい) から。

ましてSNS全盛の時代。みんなが好き勝手にいろんなことをいうから。人間は自分に都合の良い意見を集めがちだから。病名が複雑だと人は覚えられないから俗称を使うだろうし。

いやぁ、難しい。だって恐怖に打ち勝つにはまず知らないといけないんだけど、新しい病気だからわからないことが多いし、ネットの情報のどれが正しいか判断できるリテラシーがないといけないし、ウイルスって目に見えないし。

暗闇が怖いのって見えないから。見えないから何があるかわからなくて不安で怖いわけだから。わからないと怖くなくならない。

チャレンジングだ、ほんとに。

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