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ごめん、環境の違いには戸惑わなかったわ。本音と建前の話

ぼくはきちんと空気が読める人を自認しているのでパブリックの場で何か発言を求められると、質問者が期待してるであろう回答をする。オーディエンスが欲しそうな回答をする。

「どうですか、1年途上国で生活してみて?」みたいなことを聞かれると、たいしたことなくても「いやぁー大変ですよ」ときちんと言える。ぼくはそういう人間だから。だって大変かどうかなんて主観的なことだから。客観的に判断できないから。ファクトとしては、日本には当たり前にあるモノやサービスがないとか、殺人事件発生率が日本の何十倍、何百倍だ、みたいなことを言えるけど、それをどうとらえるかは本人次第で、たぶんオーディエンスは大変ですよって回答をすると思ってるだろうから。お決まりのやりとりというやつだ。

そういうお決まり回答や感想はいくらかあって、「子供たちの笑顔がとにかく素敵でした」「彼らは物的には貧しいけれど、心は豊かでした」「先進国に住む私たちも学ぶべきところが多かったです」みたいな、とりあえずこれ言っておけば間違いないというテンプレートがいくつかある。何か言ってるようで何も言ってないやつ。

それで、帰国隊員とか派遣されてから1年経った人の感想をいくつかみたんだけど、「環境の違いに戸惑いました」が定番のフレーズに名を連ねている。さっきのテンプレートも含めて、こういう定番フレーズは集めておくとのちのち役に立つので収集してる。

けど、ふと自分に当てはめたとき、環境の違いに戸惑うことってなかったなと思った。

やってることは、日本や台湾で働いていたときと変わらない。仮説と検証。途上国だから特別〇〇というのは、ぼくの職場環境にいたってはない。

組織内やコミュニティ内の力学を見誤ると事故率が高い、リカバーに時間かかるなくらい。

温水のはずがぬるい水がちょろちょろとしかでないシャワー(シャワーヘッドの穴の5つくらいからしか水がでない)とかの住環境も1カ月も住んでれば普通になる。

食べたいものがない環境も、手に入るものでなんとか適応しようとする。いろんな人を頼って日本食やアジア食材を手に入れようとする。次第にそれっぽい味付けができるようになる。

こうして書くと、大変なんだけど当人としては、なにもないところから1が足されたようなもので、都会に住んでる人には小さな一歩かもしれないが、現場に住んでる人間にとっては偉大な一歩で、案外やれるじゃん、幸福度上がった、と思ってたりする。

ないものはないと諦めるしかない環境が普通になってると、小さな進歩が大きな幸せになる。

働き方が違うっていうのも、外観はそうでも本質的にはどこもいっしょに見える。

日本で「この業界は変わった人多いから」ってどの業界の人も言うのと同じだと思う。(みんな普通からは外れたくないけどちょっと変わってるって言われたり、苦労してるって思われたいんだなと思った)

普通、業界や会社によってカルチャーが異なるから、転職するとその企業文化や業界の慣習に適応することから始まる。どうやったら物事が進むのか、組織内の力学は、お局さんは誰で、キーマンは…というように。

あの人はメールじゃくて電話で連絡しないといけない人、この人は(至急)ってタイトルに入れないと返事が数日かかる人、〇〇さんは自尊心が強いからヨイショしないと動いてくれない、メンツが大事な人だから立ててあげないといけない、A社の▲さんは激務の人だから定期的にリマインドして進捗聞かないと、依頼を後回しにされちゃう…とか、その人がどういう人か見極めるというのはどこの世界でも同じだと思う。

それを環境の違いに戸惑うとは思ったことない。機械を自分が思うように調節して動かすように、自分のやりたいことをやるにはどうしたら良いか、どうすれば人は動いてくれるのか、物事が進むのかって、人間関係を調節するのは普通のことだから。

ぼくみたいなどこの馬の骨とも知れんやつの言うことを聞いてくれるには、相手にも何かしら利益(インセンティブ)がないと無理だろうから…と考えているので、セントビンセントでやってることというか、仕事の進め方、アプローチの仕方は日本と同じで全然変わらない。

むしろ、老獪にのらりくらりとかわす人や競合からのちょっかいや、クライアントから「てめぇよぉお、こらぁぁあ!!」とか怒鳴り込んでくるような経験をしてないのでずいぶん働きやすい印象すらある。金がないからほとんど何もできないけど。

どこの組織でも環境の違いに戸惑ってると言えるかもしれない。ずっと試行錯誤してる。

1年経って思うのは、もうイベントも1周したし、食べ物も一通り食べたし、どんな味かもわかったから、無理に現地食に適応しなくてもよいなと。そういうフェーズは終わったなと。

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現地の人と良い関係性を築くために、多くの文化に触れてきたけど、どちらかというとそれは自分が楽しむためというより、彼らのため。「ぼくはあなた方の敵ではありませんよ、好意的に接しようとしてますよ」というシグナルだったから。彼らのことを理解するために彼らの文化に積極的に触れてた。

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その目的は達成されたように思うから、最近はうどんを食べたり、BBQで焼きおにぎりを作ったりして、最近は自分のための良い環境を整えようとしてる。

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