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国際協力なんて誰でもできる世界一簡単な職業なんだから、誰だってできるよ

しばらく前に、高校生から質問をもらった。

自分は昨夏に交流プログラムでアフリカにいって児童と触れ合ってきました。国際協力に興味があるものの、日本国内にも問題がたくさんある中で、その人たちのことをおいて、海外の知らない人を支援するするのは正しいことでしょうか。また、交流プログラムは個人的には楽しかったですが、これは何の意味があるのか、役に立ってるのか、自分なんかが何ができるんだという思いもあります。

みたいな内容だった。

要するに背中を押して欲しいんだろうなと思ったんだけど、びびった。国内問題と外国の問題どっちが大事ですかって良い質問だし、たぶん遅かれ早かれ誰もが抱く疑問。こういう内省ができるというか、自分の考えが正しいのかどうか疑問を持つことができ、かつ誰かに相談できるなんて優秀なんだろうなあと思う。ぼくにはできない芸当だ。

唯一ざんねんなのは、その真っ当な疑問をぼくなんかにぶつけてしまったことだろうなと思う。もっと適切な人物がいただろうに。だって、ぼくボランティアだし、そもそものキャリアがないんだもの。

と思いつつ、あれこれぼくの現時点での理解と前置きした上で、ぼくなりにわかりやすくいろいろ例えてみたりしながら返信をした。

社交辞令を真に受けるとすると、それなりにうまくいったんだと思う。

最後まで優秀な人だった。ぼくの背筋が伸びた。

こういう、「興味あるんですけど、ぼくなんかができますかね?」的な話を聞くたびに、作家の村上龍と映画監督のコッポラのやりとりを思い出す。

すごく印象に残っているのはね、当時、フィリピンでフランシス・コッポラが「地獄の黙示録」を撮っていたので、知り合いを通じて、コッポラのコテージに行って一緒に食事をしたんです。そのときに、コッポラに言うのもおこがましかったんですけれども、「映画監督になってみたいんだ」と言ったんですよね。「映画を撮りたい」って。そうしたら、コッポラがね、「映画監督というのは世界で一番簡単な職業なので、誰だってなれるよ」と言ったんですよ。「僕だって監督になっているぐらいだから、映画、撮ればいいじゃん」みたいな感じで。「どういうことなんだろうな」と、そのときに思ったんです。
今思うと、おそらくコッポラは、世界の何万とある仕事の中で、映画監督に向いている人にとっては映画監督が一番簡単なものなんだよと言いたかったんだと思うんですよね。その答えはすごくいかしてるな、と思います。

というやつ。そのすぐ後に、

なぜかというと、僕の友達の子どもが漫画家になりたいと言ったときに、友達が「漫画家がどんなに大変なのか、知ってるのか」と子どもに言ったらしいんです。でも、コッポラの意見をかりると、漫画家に向いている人にとっては、漫画家は世界で一番簡単な職業なわけですよね。その辺のニュアンスが、日本社会にその文脈がないからすごく伝わりにくいんですけど、小説家がどんな仕事か、簡単なのか、苦労が多いのかは関係ないんですよ。僕なんか、小説家になって苦労なんかしたことないですからね。つらいこともないし。それは僕が才能に溢れているからじゃなくて、小説家に向いているからなんですよ。向いていない人には向いていないから、すごい難しい職業になっちゃうわけですよね。
世の中には今みたいな「漫画家がどれだけ大変な仕事か知っているのか」という言い方がすごく多いと思う。もう一つは「素晴らしい職業だから、あなたもやりなさい」のどっちか。

と続くこの考え方というか視点がぼくはすごく好きで、よく人に言ってる。

興味あるならやってみればいいじゃんって。とりあえず空いた時間でやってみて適正を見極めればいいよって。

ぼくにしたって、毎日なぞにこうして思考や愚痴を垂れ流して、ああだこうだ言いながら大変だ大変だ言ってるけど、ほんとの意味で大変だとは思っていない。辛いことも多いけど、辞めたいほどではない。なんだかんだで楽しんでいる。

だから、たぶん向いているんだと思う。ぼく会社員も苦じゃなかったから、たぶん向いてるんだと思う。毎日なにかしらこうして文章を書いてるのも、別にいやいや書いてるわけじゃないから、有益かどうかは知らないけど、向いてるんだと思う。

プログラミングやりたいと言いながらほぼやらなかったり、会社員の時に知財担当になったのを機に弁理士のオンライン講座に自費60万円くらいつっこんたのに一切やらなかったのは、たぶん向いてないということの表れだったんじゃないかと思う。

そういった意味では外国語がぜんぜん伸びないのも…いやこれは言い訳か。

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