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多様性のなさが光った展示会

年に一度開かれるという展示会、エブリシング・ビンシーエキスポに行ってきた。

ここ一週間ほど、ラジオなどで頻繁に「エブリシング・ビンシーエキスポ♪」と連呼するCMに遭遇していたし台湾もブースをだすという話だったから、(台湾がだすソーセージ目当てで)様子を見に行った。

ソーセージを出すと言っていたし、他の国(キューバやベネズエラなど)の料理のブースもあるというし、今年は100店舗以上出展してるという話だったから、大きなフードコートのようなものを想像していた。

ぜんぜん違った。

飲食に限らず、国内の会社や個人事業主が「うちはこんな商品作ってますよ」というのを紹介するものだった。だから飲食物に限らず、キッチン用品であったり、アート作品であったり、アパレルであったりといろんなもいろいろあった。

そうか、そうか、エキスポってそうか展示会かと冷静になったのだけど、この感じ懐かしい。

ぼくは東京でメーカーの営業職をやっていたので数カ月おきくらいに、ビッグサイトに商売のネタ探しと時間つぶしに通っていた。

具体的に商売につながったようなことはなかったけれど、各ブースを周ることで各社の一押しが知れるというのと、その傾向から業界の動向も追えるので有意義な機会だった。あと、直帰できたし。

それで、セントビンセントの展示会はどうだったかというと、食品系とアパレルが多いのだけど、どこも扱ってるものは同じでほんとに些細な違いしかないように見えた。

ラム酒やチョコレートなどは手間がかかるからか会社規模でないと作れていないようだけれど、バナナチップス、チリソース、カップケーキ、ハンドメイドの小物系は個人でできるから多く出店していて、どれもほんとに同じ。

もちろん、味付けの微妙な違いというのはあるけれど、どこも扱ってるものは見た目とフレーバーは同じ。たぶん、どこかが新しいことを始めてもそれが良いとされてればみんなマネするからだと思う。マネすること自体は悪いことではないし、業界としてクオリティが上がっていくから良いと思うんだけれど、みんな同じものを売るようになると価格競争になって結局みんなあまりうまみがなくなってしまう。

それは市場原理的に当たり前のことなんだけど、市場規模が小さい、噂がすぐ広まる…製造設備も投資資金もほぼゼロってやっぱりしんどい市場だなという印象がある。

カップケーキはこんなふうにセントビンセントの国旗のカラーに。アメリカっぽい毒々しいカラーリングに食欲が減衰する。そそらない。

ハンドメイドの小物は生地を輸入に頼っている。ご覧のようにアフリカから布を仕入れてきて、ワンピースにしたりポーチにしたりしている。アフリカ布のワンピースは着てる人が結構いる。多いと言っても良いかもしれない。

価格はクオリティの割にお高い。それが売れてるから高めの設定にしてるのか、あまり売れないから1つの1つの商品の値段を高めに設定しないと割に合わないからなのかはわからない。

たぶん、どっちも違っててハンドメイドで時間がかかるというのと、競争力が弱いので、クオリティがいまいちでもここまでの見た目のものを作れた時点で国内トップレベルにはなれるから、井の中の蛙的な自信があって強気の価格設定をしているというのが真実に近いところではないかと思う。

この手のモノは街中でもパーティー会場でも持ってる人を見たことないから週1個も売れてないと思う。月に2つくらい売れれば良いところじゃないかな。

それでもやっていける、いや事業単体で見れば全然やっていけていないけど大丈夫そうにみえるのは彼ら彼女らが専業でこうしたビジネスを行っているわけではないから。

なかには普段はナースとして働いて余暇の時間にこうしたものを作っていたりとか、夫婦どちらかが会社勤めで、もう片方がこうしたハンドメイドの仕事を生活費の足しとか半分趣味でやってたりとかしているから。

言ってみれば、複業が結構当たり前の社会だから。

ひとつの仕事に依存しないという意味では、のびのびできて良いと思うけれど、どうだろう。それは理想論で、現実は、結局どれも中途半端にぼくには見えて、ほんと、かんべんしてほしいんだけど。

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