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あんたらはカリブの気候を勘違いしてるのさ

ホリデーシーズンだからなのか、ほぼ毎日大きなクルーズ船が港に停泊している。

たまたま週末に彼らクルーズ船ツーリストのマイクロバスのご一行とバッティングしたことがあって、彼らの定番エクスカーションルートは把握できた。こんなところまで来るんだという驚きと、これじゃ満足感はないしお金も落としてはくれないから、改善の余地も我々視覚障害者協会の参入の余地も大いにあるなと思っていた。

ある日の昼下がり、セキュリティ担当のおじさんとドライブしていた時に何台もの観光客を乗せたタクシーとすれ違った。

雨が降っていたこともあって「こんな天気の日にビーチに向かうなんて残念だね、せっかくの乾季で観光シーズンに入ってるのに、こう雨が多くちゃたまらんね」とボソッと言った。

おじさんは「ははは、たしかにね。」と言って一拍おいた後、「不思議に思っていたんだけどね、我々と君らカリブの外から来た外国人には気候について重大な認識の相違があるようだ。」と言った。

君たちは、カリブの気候を雨季と乾季の2シーズンに分けて、乾季を観光のベストシーズンとしているが、それは間違いではないが正確でもないんだよ。雨季と乾季なんていう0か100かみたいな極端な呼び方にしたせいで、外国人はみんな乾季は雨が降らない、ずっと晴れの日だと思ってる。まさしく、南国のホリデーでイメージするようなヤシの木の島と太陽。けどね、私の知る限り、我々の側はそんなこと一言も言ってないんだよ。我々にとっては、カリブの気候というのは、長い雨が降るシーズンと短い雨が降るシーズンの2つなんだ。だから、1年中雨は降るんだよ。それに、いつ雨が降るかなんて予測はできない。山の上の雲を見て降りそうかどうかでしか判断しないだろ?

なるほどなとすごく納得感があった。そういう考え方なのかと。

それに実際、雨が降るのも多くは数分だったりして、少し雨宿りしてれば過ぎてくことが多い。それに島全体で雨が降ってるということもほとんどない。局所的で、こっちは雨でも隣町は降ってないことはままある。そんな天気だと、今日天気悪そうだから外出は控えようとはならない。

行ってみないとわからない。降っててもすぐ止むだろう。

そういう考えになる。となると天気予報なんてハリケーン情報以外チェックしない。

先進国の人間が勝手に決めたルールがいつでも当てはまると思うなよ、と言われているような気がした。

そのつながりで言うと、以前テレビ局の人もドイツのネイチャー番組を作成している一行を案内したときに、撮影用のカリブの典型的なビーチを案内したら「これじゃない」とダメだしを食らったのだそうだ。

お題は「カリブの島の自然のビーチ」でその言葉通り案内したのに。

ドイツご一行のイメージでは「白い砂浜とヤシの木」をイメージしていたそうで、ヤシの木がないビーチに案内されたものだからダメだしが入ったようだ。

テレビ局の人曰く「いや、普通ビーチにヤシの木なんて生えないから。あれは誰かが植えてるから人工的な造られた風景なんだよ。あいつらは全然わかってない」とのことで、結局注文通りのビーチに連れてったものの、その造られた ” 自然のビーチ ” を「oh, beautiful!」なんて言いながら撮ってるドイツ人をアホやなと思いながら見ていたらしい。

でも視聴者が求めてるのもドイツ人の注文通りの画だろうから難しいところだなとも思う。そのネイチャー番組の性質とか視聴者の属性にもよるけれど。

個人的にここ数カ月で一番おもしろい話だった。

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