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サスティナブルなツーリズムと大山

少し前に中国地方の最高峰である鳥取県は大山に山登りに行ってきた。仲の良い友人連中と夜8時くらいに大阪を出発し、夜中1時くらいから山頂を目指し登りはじめ、5時頃の日の出を山頂から見ようというプランだ。昨今のくそ暑い日本の夏をうまく避けたプランだと思う。

実際、午前中から登り始めていたらゲロゲロ吐いていたと思う。それほど、下山時の午前8時くらいの時間帯は既に暑かった。

登山自体は非常に良かった。基本的に階段を上っていくのだと聞いていたので「なんと観光地化されたしょうもない登山道なのだろう」などと想像していたのだけど、山頂からの景色は素晴らしかった。

それで、さっそくタイトルの回収に入ろうと思うのだけど、大山について驚いたことが2つある。

1つ目は、大山の山頂が荒廃していたところから保護活動によって緑豊かで風光明媚な山頂に生まれ変わったということ。

上記のウェブサイトを見てもらえるとすぐ目につくのだけど、1970年代の山頂の様子など枯れきってしまっていて魅力などない。それはもちろん、登山者が踏み歩いてしまったがために植物が枯れ残念なことになってしまった結果なわけだけれど、あの当時のままなら登山者は今ほどいなかっただろうなと思う。

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植物の根がないと土を保持する力がないから土は簡単に流れたり滑り落ちたりする。この写真は岩肌が露出しているけれど、たぶんこれは2000年の鳥取西部地震の影響じゃないかと思う。

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ぼくは木道というものの役割をよくわかっていなかったんだけれど、はげ山からのこの再生具合を見ると、植樹したものや他の植物が育つには必要な措置だったんだなと思う。この木道によって登山者はどこを歩くかを自然と指定され、環境への負荷を最低限に登山を楽しめるようになっている。

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高山植物が多いのだけど、アジサイや名前の知らない花が咲いていて、ハチがせっせと飛び回って蜜を回収して周ってる様子っていうのは非常に良い。この山頂というよりむしろ高原っぽい景色も非日常感があり、多くの登山客を惹きつけるのもわかる。

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2つ目は下山後。登り始めが夜中だったから気づかなかったんだけれど、この大山の麓というか登山道入り口近辺はなかなか栄えている。

もともと大山信仰というのがあって歴史ある神社があり、ご利益も多そうなのだけれど、

それだけではなく、若者向けのカフェやお土産屋、旅館に温泉とほんとに主要観光地のようになっている。モンベルも出店している。これは大山観光局だか行政だかが誘致したらしい。

モンベルは正直、三重県の御在所岳のロープウェーのところや六甲山の有馬にも店舗があったりして、登山客にしか来ない山には出店していないけれど気軽に観光で来れるところ(登山客+αの人出が見込めるところ)には出店してるイメージを持っていたんだけれど、ここ大山は神社と山登り以外の需要がない。

で、どういった客層なんだろうと、下山後温泉入って、リラックスしてからちょっとうろうろしてみた。麓といっても山の中腹で車でないと来れないところだから、わざわざ来ないといけないところ。立地は良いとは言えない。

見てると、登山以外のお客さんも結構いる。ちょっとしたオシャレスポットとして利用してたり、ドライブやツーリングの目的地の1つっぽかったり。

結構見落としが多いのかもしれないけれど(この神社がこの地域ではそれ単体で有数の集客力があるだとか)、それでも、地域を上げて「大山」という環境の魅力を最大限使って、つまりは自然を守ることで、その自然が魅力となって、ぼくのような観光客を呼び、現地にお金を落とし、現地に雇用を生む良いサイクルがあるように見えて、多少こじつけ感があるけれど、SDGsっぽいなと。良いか悪いかは別として、近々BBQスペースもできそうな雰囲気はあった。というか次の一手はそれだろうなと思う。

自然を守ると言うのは効果あるんだな、大事なんだなと山頂に行けば感覚的に理解できるし、その啓蒙された気持ちが来訪者を次のエコフレンドリーでサスティナブルな活動へ誘うだろうなと感じた。

大学院でローカルコミュニティでどうやって雇用をつくるかについて研究しようとしていて、やっぱ観光だろうな、グリーンツーリズムやエコツーリズムだろうなと思っていたりして、それに引っ張られているというだけの可能性も多いにある。トンカチを持ったら、それっぽいものがみんなくぎに見えてとりあえず打ちたいみたいな、新しいフレームワークにとりあえず全部当てはめたいみたいな、その程度のことかもしれないけれど。

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