地図にないトレイルを探して
「どうする? 俺そこ行ったことないから道わかんないよ」
ものすごく懐かしい会話な気がした。最初、何を言ってるのかわからなかった。当然のようにGoogleマップ見たらわかるやんと思ってしまった。
行ったことないところでも、事前に最寄り駅を調べて、近くまでいったらまたGoogleマップを開いて細かな道順を確認するなんてことに慣れ過ぎてそれが当たり前になっていた。
そう、ここはカリブ。途上国。メインロードしかGoogleマップには載っていない。
そんなことは当然、ぼくだってわかっている。
小さい島で、人口も多くない場所だ。それはつまり細かな道がないということでもある。
だから、近くまで行けば何かしら看板があるだろうし、どうせ一本道だろうと思っていたし、どこかトレッキング行こうと誘って来た友人もその前提を共有していると思っていた。
彼は10年前にもボランティアで1年セントビンセントに滞在していた経験を持つ台湾人で、現在合計でセントビンセント3年目のシーズンに入ろうとしている。
結論から言うと見つけることができなかった。ウェブでみた「ざっくり島のこの辺!」っていう情報じゃ不十分だった。
トレイルのある地域まで車を走らせ、看板を探すもののなにもない。というわけで、現地の人たちに聞きまくるということになるんだけど、みんな丁寧に教えてくれるんだけど、首都からここまでの一本道のようにシンプル。
「手前の橋のところを逆に曲がってずっと上がっていくんだ」「ずっと上へ上へ、上がっていくの。ものすごく遠いわよ」「この川沿いを上がっていくの」とかそんなレベル。
ウェブにアップされていた公式情報によると、トレイルセンター的なものがあるようで5 ECの支払いをすることになっているのだけど、そのセンターまでがどのくらいなのか、脇道に入る必要はあるのかどうかの具体的な情報が出てこない。
たぶん、存在は知ってても誰も行ったことないんだろうなあというのが察せられた。
とりあえず行くかとボッコボコの山道を時速10㎞くらいのスピードで上がっていく。それらしいものは見えてこない。
案の定というか道が二手に分かれ、一方はナチュラルに道が川になっている。もう一方の道は車で行くようには見えない農道。どうしたものか思っていたところに地元の人と思われる人が降りてきた。
尋ねてみると、この川を向こうに行けばトレイルがあるらしい。けれど、それは今日ぼくたちが行こうと思っていたトレイルとは異なる名前だった。
そしてもう一方の、控えめに言って酷い農道をずっと駆け上がっていけばオウムが見える山頂に出るという話だった。
その人の話を信じるならば、おそらくぼくらは既にお目当てのトレイル上にいるということになる。だってぼくたちの今日のゴールはオウムが観察できるコースだったから。
トレイルの入り口と受付を知りたかったのだけど、知らないようだった。
とりあえず車でそのまま上がってみたものの、どんどん深みにハマっているようで、ブッシュが多くなり長らく人が来ていないんじゃないかというか道になり、どうする?という気になってきたところで、燃料が少なくなってますよというランプが点灯した。
ここで、車が動かなくなってしまっては大変なことになるから引き返した、というわけだ。
で、もともとプラン B で見つからなければ海行くかという話をしていたので、海へ。
SUPをし、
潜り、
砂浜で漂流ごっこをした。
まったく、何が悲しくて男2人で海に行かねばならんのだ。
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