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【有料】最終回 インタラプション ~女だって攻める~ 「女だって攻める」

免責事項:この物語はフィクションであり、登場人物、設定は、実在のいかなる団体、人物とも関係がありません。また、特定の架空の団体、人物あるいは物語を想起させることがあるかもしれませんが、それらとは何の関係もない独自の物語と解釈してください。よろしくお願いいたします。くれぐれも、誰かにチクったりしないように。みなさん大人なんですから、ね!www
※本物語は、独自の創作によるものです

最終回 「女だって攻める」


それから数日後、ついにトップの人事が発表された。ハワード・ライヒの社長就任も、大上の副社長就任も大きな驚きをもって市場に迎えられた。社内も騒然としていた。誰も予想できなかった人事といってよかった。

「社内の勢力図が一気に変わるぞ」というような声も色々なところで挙がっていた。大上は、派閥を作るタイプではないと見られている。いくつかの有力な派閥のどこかは大上につくのではないかという噂も昇っていた。

そういった噂を耳にするたび、絢は改めてサニーが盛下の作ったサニーとは違う会社になっていたのだと思った。

大上がレストランで盛下の伝言を届けた夜の最後に、メンバー大半の異動や昇進が発表された。その中には、絢の異動も含まれていた。メンバーたちの影響力は、全体で見ればまだ微々たるものだが、それでもこの人事で、それぞれが置かれる場所で以前よりも大きくなるはずだ。

だが、大上が求めているのはそれを政治力として使うことではない。

「いつか、盛下さんの最期の言葉をサニー社員全員に届けられるようにしよう」

それが、あの夜を締めた大上の言葉だった。

# # #

社長人事が対外的に発表されたその日、多くの人事の内示が社内を駆け巡っていた。マーケティング部でも、部長の長谷部が順番に部員たちと面談をしていた。

「前島、今まで係長として責任を果たしてくれてきたな。面倒見もいいし、特に佐藤裕司はお前によくなついてる。あいつに社長賞取らせたのはお前の指導があってこそだ」

「ありがとうございます。でも、あれはあいつの実力ですよ。私が異動する時にはあいつを後任に指名したいくらいです。渡部みたいにゴルフやタバコで何とかしようなんてやつもいますけど」

「口を慎んだ方がいいぞ。そういった発言はどんなときだってすべきじゃない。今後のために、俺からのささやかなアドバイスだ」

「すみません。渡部は最近ちょっと目に余るところがあったもので。慎みます」

「それで、来期からの人事だ。お前の面倒見のよさは、どういうタイプの仕事でも発揮されるはずだ。それにウチは大企業だからな。色々な角度から会社を見た経験は将来必ず役に立つ」

(長谷部さん、俺を今と全然違うところに異動させようとしてるんだ。営業にでも回されるのか?それとも、いきなり経営企画か、、、それならスゴいぞ)

「はい。どんな業務でも将来に活かせると心得ております」

「よかった。そういう前向きなところもお前の強みだな」

「ありがとうございます」

「来期から、総務の設備管理で係長として業務にあたってくれ」

言葉が理解できなかった。

「総務、、、ですか」冗談だと言ってくれ。こんな人事許されるはずがない。いきなり最前線から、バックオフィスへ異動なんて聞いたことがない。

「ああ。総務だ」長谷部がはっきりと、同じ言葉を繰り返した。

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