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パート時給の伸び減速が気になる~2024年4月の毎月勤労統計

 本日(5日)、「毎月勤労統計」(厚生労働省)の2024年4月分の速報値が公表されました。日経電子版は、基本給(所定内給与)の伸びが29年ぶりの高さになったことなどを報じています。
 ただ、私のnoteで毎月注目している共通事業所ベースだと賃金上昇の急加速は観察されません(注目している理由は下記の先月のnoteをご覧ください)。むしろ、パートタイム時給の伸びが鈍化したとことが気になります。


共通事業所ベースだと名目賃金上昇率は1.7%

 注目度の高い就業形態計の現金給与総額(名目賃金)上昇率は、4月は2.1%。3月の1%から伸びが加速しています。所定内給与は日経電子版が報じている通り2.3%、3月の1.7%から伸びが拡大しています。
 しかし、共通事業所ベースを見ると、名目賃金上昇率は3月の1.9%から4月は1.7%へとむしろ減速しています。所定内給与は3月の2.0%から4月は2.1%へとほぼ横ばいです。

パートタイム労働者の時給の伸びは3.6%へ減速

 冒頭に述べた通り、パートタイム時給(パートタイム労働者の時間当たり所定内給与)は3.6%増。3月の4.9%から減速しました。2月以前までのペースに戻ったと見ることも可能ですが、来月以降の動きを注視したいと思います。
 一般労働者の所定内給与の伸び率はじわじわと高まっています。4月は2.3%増。2月から3ヵ月連続で2%を超えています。ただ、共通事業所ベースでは昨春から2%前後の上昇率が続いており、ようやく調査計が追い付いてきたともいえます。今後、春闘賃上げが徐々に浸透する中で、所定内給与の上昇率がどこまで高まるかに注目したいと思います。

なぞの労働時間減少は3月のみ

 3月から4月にかけての賃金上昇の背景には、総実労働時間の変化も影響していそうです。3月は所定内労働時間を中心に労働時間が2%強減少したのに対し、4月は0.7%の減少にとどまったためです。3月のなぞの労働時間減少は一般労働者でも起きていました。
 先月のnoteに書いた通り、一般労働者はほぼフルタイムで働いている人を指すだけで、基本的に労働時間が所定内給与に影響を与えない正社員だけでなく、派遣社員など労働時間で給与が変動する人々も含まれているためです。
 結局、3月の労働時間減少の理由は判然としていませんが、4月にかけての賃金上昇に労働時間の変化も影響していることにも目を向けておく必要がありそうですね。

#日経COMEMO #NIKKEI

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