一般サービス物価は2%前後の上昇を維持できるのか~2023年6月の消費者物価
本日(7/21)、2023年6月の消費者物価が公表されました。日経夕刊は、注目度の高い生鮮食品を除く総合指数の前年同月比上昇率が3.3%となり、米国(3.0%)と逆転したことなどに注目しています。ただ、総じてみれば横ばい圏内の動きであり、むしろ、6月は生鮮食品及びエネルギーを除く総合の上昇率が低下(5月:4.3%→6月:4.2%)したことの方が興味深いです。
サービス物価上昇率ではまだまだ米国に及ばず
以前に書かせていただいた下記のnoteのように、私自身は消費者物価の中のサービス物価の動向に注目しています。日本においてサービス物価は長らく0%近傍の動きを続けてきて、これが賃金がなかなか上がらない一因にもなっていたのですが、最近は2%近傍の推移になっているためです。
ちなみに、米国の6月の消費者物価の前年同月比上昇率が3%となったのはエネルギー価格の低下(16.7%低下)が大きいことが主因です。とりわけ、ガソリン価格は26.5%も低下しています(ガソリン価格に占める税の割合が米国は日本より低く、原油価格の変動がガソリン価格の変動に結び付きやすいと聞いたことがあります)。
さらに、日本のサービス物価に概念が近いと考えられる「Services less energy services」の上昇率を確認すると6.2%であり、日本はまだまだ及びません。
サービス物価上昇率が頭打ち?
そこで、消費者物価の総合指数を財とサービスに分けて観察してみると、下図のように、最近の総合指数や生鮮食品を除く総合指数の上昇率のぎざぎざした動きは財の動きによるものと考えられます。電気代は財に入っているので、上記の日経の記事とも整合的です。一方、じわじわと上昇率を高めてきたサービス物価は6月は上昇一服と見受けられます(5月:1.7%→6月:1.6%)。
公共サービスも一般サービスともに上昇率一服
上記noteに書かせていただいたように、サービスは国や地方自治体が提供するサービスの価格である「公共サービス」と、それ以外の「一般サービス」に分かれます。5月から6月にかけての動きは「公共サービス」(0.8%上昇→0.7%上昇)、「一般サービス」(2.0%上昇→1.9%上昇)ともにわずかに上昇率が縮小しました。
外食、通信・教養娯楽関連サービスのプラス寄与がわずかに低下
一般サービス物価の内訳を確認すると、外食(5月:7.1%上昇→6月:6.7%上昇)、通信・教養娯楽サービス(3.1%上昇→2.7%上昇)のプラス寄与がわずかに低下したことが、一般サービス物価の上昇率鈍化につながったようです。ただ、本当にわずかな動きなので、来月以降、一般サービス物価上昇率の鈍化傾向が続くのか注目したいと思います。
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