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情報GDPとは何ぞや?

6月27日の日本経済新聞朝刊に「情報GDP」という耳慣れない言葉が登場し、米英中が上位3ヵ国で日本は11位とされている。このデータはどのように作られているのか、元論文を見てみた。

   記事の元ネタは、Harvard Business Reviewのホームページに2019年1月24日に掲載された"Which Countries Are Leading the Data Economy?"という論考のようです(上記リンク)。

 この論考では、以下の4つの観点から各国をランキング付けし、各ランキングポイントを同じウエイトで平均(と思われる)して、総合順位を出しているようです。

1)Volume(量):ブロードバンドデータ通信量(固定および携帯)
2)Usage(利用度合い):インターネットユーザー数
3)Accessibility(データの利用可能性):政府がどの程度データを公開しているかなど複数の尺度でランキング
4)Complexity(複雑さ?):1)を2)で割ったもの。デジタル経済の浸透度合いを測る狙い

 それぞれの観点でのランキングは公開されていない(私が見つけられていないだけかもしれないが)。ただ、論考本体と2つの図から類推するに、米国は上記のうち2)を除く3つの尺度でトップとなっているので総合第1位。中国は2)がトップで、1)は2位。3)は最下位(予想通り(笑))で、4)は真ん中(median)より低い。ただ、1)と2)の高さから第2位になったようだ。

 1)も2)も領土が大きく、人口が多い国に有利に働く尺度。世界の2大超大国である米国と中国がツートップになるのは不思議でもなんでもない。

 一方、第3位に食い込んだ英国は、3)が第1位の米国とほぼ肩を並べる。4)も米国、スイス、韓国に次ぐ第4位だ。人口が多くないこともあり、2)は日本を下回り、1)は日本とほぼ同じとなっている。

 記事では日本がランキング上位になる道のりは険しいとしているが、そうそう悲観することもない気がする。2)のユーザー数は人口が頭打ちになる中では厳しいかもしれないが、上記のように英国よりは多い。1)のデータ量は、インターネットサービスが多様化すればさらに増えていくだろう(例えば、動画サービスなど)。すると、4)の順位も上がる。論考はデータ通信の中身はいろいろ(メール送信から金融取引まで)あって各国を同じ基準では比較できていないことは重々わかっていると書いている。3)も現時点で全体の真ん中近辺で、今後の努力次第では改善も期待できよう。

 著者のおひとりのBhaskar Chakravorti先生は、こうしたデジタル関連のランキングがお好きなようで、他の尺度の論考も書かれているようだ。どこかに公開されているのかもしれないが、今回のランキング作成の元データを公開してもらいたいものだ。ウエイトのつけ方、特にデジタル経済の発展には重要と考えられる3)のウエイトを引き上げたら、順位はだいぶ変わりそうだ。

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