勤労者と高齢者で異なる?定額給付金の効果~2020年6月の「家計調査」

 本日、2020年6月の家計調査(総務省)が発表されました。日本経済新聞電子版は、2人以上の世帯の消費支出の減少幅が縮小したこと、定額給付金のおかげで実収入が増えていることなどを報じています。

 公表元の総務省のホームページをみると、2人以上の世帯を「勤労者世帯」と「無職世帯」に分け、詳細な情報が掲載されています。ちなみに、無職世帯は、世帯主の平均年齢が74歳代ということからわかるように、年金受給中の高齢者世帯が多いと考えられます。

 詳細なデータのポイントをまとめたものが下記の表です。前年同月に比べた伸び率を示しています。日経の記事にあるように、2人以上の世帯全体では消費支出は1.2%減でしたが、勤労者世帯は3.4%減とマイナスが続いたのに対し、無職世帯は3.4%増と増加に転じています。4月、5月は同じように推移していたのと対照的です。

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 この一因と考えられるのが経常収入の動きの違いです。経常収入は、勤め先収入や公的年金給付などの合計額です。勤労者世帯では6月に減少に転じている(実収入を1.08%ポイント押し下げ)に対し、無職世帯はプラスが続いています。勤労者世帯における経常収入の中心は勤め先収入であり、他の統計でも明らかなようにコロナ禍の影響で減少しつつあります。それに対し、無職世帯における経常収入の中心は公的年金給付であり、コロナ禍の影響は受けません。

 そうした経常収入の動向で、特別収入にカウントされている定額給付金が支給されました。勤労者世帯は、この定額給付金おかげで実収入のマイナスは回避されましたが、一度受け取ったら、後はありません。勤め先収入の安定度合いによって、消費に回る金額は変わるでしょう。これに対し、無職世帯では経常収入の増加が続く中で、追加的な収入として定額給付金を受け取ったと読めます。消費支出へ回す割合は高くなりそうな気がします。

 もちろん、6月単月で判断するのは危険です。実際、勤労者世帯では平均世帯人員が3.31人に対して、特別収入は15万5011円でした。無職世帯でも平均世帯人員2.39人にたいして、特別収入は11万7495円でした。1人10万円支給されたことを考えると少ないですよね?支給に時間がかかったことを踏まえると(実際、我が家に振り込まれたのは7月にもこの影響は残ると思われますので、引き続き、動向をウオッチしたいと思います。

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