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一般労働者の所定内給与上昇率が再び2%乗せ~2023年9月の毎月勤労統計(速報)
本日(7日)、毎月勤労統計調査の9月速報値が公表されました。日経電子版は実質賃金下落率が0.4ポイント縮小していることを報じていますが、それは名目賃金上昇率から差し引く消費者物価(持家の帰属家賃を除く総合)の上昇率が低下し、現金給与総額の伸びが拡大したためです。
本稿では引き続き名目賃金の内訳を観察していきたいと思います。
パートタイム労働者の時給も前月に比べて伸び率拡大
2023年3月の毎月勤労統計調査では、フルタイムで働いている一般労働者の所定内給与上昇率が前年同月比2.0%と2ヵ月ぶりに2%に乗せました。ちなみに、8月は速報では1.5%上昇でしたが、確報値は1.6%と上方改定されました。
パートタイム労働者の時間当たり所定内給与(時給)上昇率は前年同月比3.6%と前月(3.4%)から上昇しました。なお、労働時間の減少が前月より大きかったためパートの所定内給与は2.0%増と前月の2.5%増から伸びが縮小しています。
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就業形態計の賃金上昇率は前月から拡大
注目度が高い就業形態計の現金給与総額の上昇率は、9月は1.2%。8月の0.8%から拡大しました。一般労働者が8月の1.2%から9月は1.6%へ伸びが拡大しましたが、パートタイム労働者は8月の2.4%から9月は1.9%へ伸びが縮小しました。前述したように労働時間の減少幅の拡大が寄与しています。なお、パートタイム労働者比率が上昇しているため、就業形態計の現金給与総額の上昇率は、一般、パートタイムそれぞれの伸び率を引き続き下回っています。
一般労働者の賃金上昇率、9月は反転上昇
一般労働者に限定する形で、現金給与総額、定期給与、所定内給与の動向も観察してみましょう。9月までの状況は下図の通りです。
定期給与は、所定内給与に残業代を加えたものです。所定内給与上昇率を上回る月が多かったですが、今年に入って両者の差はほぼなくなってきてましたが、9月は所定内給与が2.0%、決まって支給する給与が1.9%でした。
現金給与総額は、定期給与に特別給与(ボーナス)を加えたものです。6月から9月にかけて現金給与総額の上昇率は2.9%→1.8%→1.2%→1.6%と推移し、9月は反転上昇しました。この勢いがいつまで続くか注目したいですね。
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共通事業所ベースでみても一般労働者の所定内給与の伸びは拡大
最後に、前年同月も当月も調査対象となった事業所(共通事業所)のみを集計した結果も確認してみましょう。毎月勤労統計は全数調査ではないので、前年同月と当月の調査対象の違い(サンプル替え)の影響をどうしても受けてしまいます。共通事業所に注目することで、その影響を取り除くのが狙いです(ただし、サンプル数が少なくなるという問題はありますが)。
下図の青い線が全サンプルを用いて算出している一般労働者の所定内給与上昇率、オレンジ色が共通事業所に限ったものです。オレンジ色の線の方がぶれずにじわじわと上昇率を高めている姿がわかります。2023年9月の上昇率は2.1%と、8月の1.8%を下回りました。
ちなみに、共通事業所ベースでの一般労働者の2023年9月の現金給与総額は1.8%上昇。全サンプルを用いた1.6%上昇より高くなっています。さらに共通事業所ベースでの就業形態計の2023年9月の現金給与総額は1.9%上昇。全サンプルを用いた1.5%上昇より高いです。
共通事業所ベースのデータをみる限り、賃金上昇率の実勢はもう少し高いかもしれないですね。今後の推移に期待したいと思います。
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