延べ宿泊者数は6ヵ月連続で2019年同月超え~2024年2月の宿泊旅行統計調査と2024年1月の出入国管理統計
観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2024年2月分が本日(3月29日)公表されました。「出入国管理統計」の「短期滞在」の入国外国人の動向ともにポイントをまとめたいと思います。
2024年2月の延べ宿泊者数、前年同月比17%増
2024年2月の延べ宿泊者数は4814万7890人泊であり、前年同月比で17.0%増加しました。2024年1月の15.6%増に続き、2ヵ月連続の2ケタ増です。外国人観光客の寄与が13.4%と、2024年1月の13.1%から若干拡大し、日本人観光客の寄与も3.6%と2ヵ月連続のプラスとなりました。
2019年の同月比では10.6%増加。日本人観光客も増える
前年同月比での比較は、全国旅行支援の有無などかく乱要因もあるため、2019年の同じ月との比較もしてみましょう。2023年9月から6ヵ月連続でプラスになっており、プラス幅も拡大傾向にあります。
2024年2月の2019年同月比は10.6%。外国人の寄与が5.0%、日本人の寄与が5.6%となっています。外国人観光客が堅調ですが、日本人観光客も伸びが拡大してきました。
2023年累計の延べ宿泊者数の実績値は5億9275万2190人泊でした。2019年累計まであと約300万人泊ですが、2024年累計は2019年を上回る勢いです。うち、外国人は1億1433万6090人泊で、2019年累計まであと100万人泊に迫っています。
「短期滞在」の入国外国人は2019年同月を5ヵ月連続超える
90日以内の滞在予定で入国する「短期滞在」の外国人、多くが観光目的と考えられる外国人も増加を続けています。現時点で判明している2024年1月において「短期滞在」の入国外国人は241.2万人で5ヵ月連続で2019年同月を超えました(1.03倍)。ただ、早く実績値が判明する訪日外客数で示されていたように、伸びは鈍化しました。
ただし、2024年2月の訪日外客数は、278万8000人で2019年2月の1.07倍とふたたび勢いを増しています。来月公表される短期滞在の2024年2月も注目されます。
客室稼働率、コロナ禍前水準に近づく
客室稼働率はコロナ禍前水準に並んできました。2024年1月の宿泊稼働率は54.4%。前年同月(53.4%)に比べて1.0ポイントの改善です。前年同月と比べた改善幅は1月に比べると縮小していますが、2019年以前のコロナ禍前水準に近づいています。区別がつきやすいように、2024年の客室稼働率のグラフは白抜き丸印にしています。なお、2023年累計でみた客室稼働率は57.4%で、2019年(62.7%)に比べると5ポイントほど下回りました。
宿泊施設タイプ別にみると、ビジネスホテルのほか、旅館、リゾートホテルもコロナ前水準に近づいています。2024年2月のビジネスホテルの稼働率は72.2%と前年同月に比べて7.4ポイント上昇しました。旅館は34.7%(0.8ポイント上昇)、リゾートホテルは54.2%(3.6ポイント上昇)でした。
これに対して、観光需要が中心のシティホテルの1月の稼働率は70.0%。前年同月に比べて4.3ポイント上昇しましたが、2019年の79%にはまだ届かない状況です。
1月の客室稼働率が例年の値を上回ったのは12県
1ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、2024年1月の都道府県別の客室稼働率を例年の値(2015~19年の1月の平均値)と比較すると、12県(青森県、茨城県、栃木県、新潟県、富山県、石川県、長野県、岐阜県、三重県、滋賀県、奈良県、徳島県、福岡県)が例年の値を上回りました。石川県の客室稼働率は63.7%と2015~19年の1月平均(48.7%)を大きく上回っていますが、後述するように復興支援者の宿泊などの影響が出ているのと思われます。
例年は外国人観光客が多かった都道府県の客室稼働率はまだまだ例年の値には及びませんが、落ち込み幅はだいぶ小さくなってきました。落ち込み幅が大きい順に、(1)大阪府(マイナス8.7ポイント)、(2)沖縄県(マイナス8.7ポイント)、(3)京都府(マイナス7.9ポイント)、(4)広島県(マイナス6.2ポイント)、(5)埼玉県(マイナス5.8ポイント)となっています。
なお、2023年の客室稼働率が例年の値(2015~2019年平均)を上回ったのは12県(青森県、岩手県、栃木県、新潟県、富山県、福井県、長野県、滋賀県、徳島県、愛媛県、高知県、熊本県)でした。上昇率がもっとも高かったのは高知県(4.4ポイント上昇)でした。逆に稼働率の落ち込みが大きかったのは大阪府(マイナス14.7ポイント)でした。
延べ宿泊者数が2019年同期を上回ったのは12都県
2024年1月合計の都道府県別の延べ宿泊者数の前年比を確認してみましょう。8県(秋田県、福島県、福井県、奈良県、山口県、愛媛県、高知県、長崎県)が減少している一方で、石川県が81.1%増と断トツの伸びになっています。復興支援の方々の宿泊が増えているのではないかと推察されます。
次に高い伸びとなっているのが鳥取県(35.8%)、大阪府(32.6%)。ただ、鳥取県は日本人宿泊者がけん引役になっている一方で、大阪府は外国人宿泊者がけん引役という違いがあります。
一方、4年前(2019年1月)と比較すると、24都府県で延べ宿泊者数が増加となっています。東京都が外国人観光客を中心に2019年対比でも40.6%増と最大の伸び。外国人観光客も引き付けている姿が確認できます。
クルーズ船観光客、一進一退の動き
最後に、「出入国管理統計」の「入国審査・在留資格審査・退去強制手続等」の中で把握される「船舶観光上陸」を許可された人数を確認してみましょう。いわゆるクルーズ船観光客で、宿泊需要にはなりませんが、お土産などの消費につながる可能性があるものです。
2024年1月は4万4279人と前月に比べて増加。2019年同期比も36%へと急上昇しました。クルーズ船観光客がいよいよ復活していくのでしょうか?
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