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一般労働者の所定内給与、3%増まであとわずか~2024年8月の毎月勤労統計

 本日(8日)、「毎月勤労統計」(厚生労働省)の2024年8月分の速報値が公表されました。日経電子版は、就業形態計の名目賃金が3.0%増となり、実質賃金が0.6%減と3ヵ月ぶりにマイナスになったことなどを報じています。6月、7月は夏のボーナスシーズンで、それが実質賃金上昇率をプラスに押し上げていたので、マイナスになるのはある意味当然かなと思います。
 実際、私のnoteで注目してきた共通事業所ベース(「前年同月分」及び「当月分」ともに集計対象となった事業所のみを集計)でも就業形態計の名目賃金の伸びは3.1%とヘッドラインの数値とほぼ同じです。
 ということで今月は基調的な賃金動向が確認できる、一般労働者の所定内賃金上昇率とパートタイム労働者の時給から確認しましょう。

一般労働者の所定内給与伸び率は2.9%

 一般労働者の8月の所定内給与の前年同月比伸び率は2.9%で、7月の2.6%から伸びを拡大しました。一般労働者ベースの賃金上昇率は94年以降しかデータがないのですが、この2.9%という数値は94年以降で最大の伸びです。
 上記の日経記事で「30年11ヵ月ぶり」と書かれているように、就業形態計の所定内給与の伸び率がひと足先に3.0%に載せました。ただ、こちらは労働時間に所定内給与が左右されるパートタイム労働者比率の影響を受けます。一般労働者の所定内給与伸び率がいつ3%に載せるか注目しています。なお、共通事業所ベースでみた一般労働者の所定内給与伸び率は7月に3.0%を付けた後、8月は2.9%へ若干低下しており、共通事業所ベースと全サンプルで向きが異なっています。
 一方、パート時給(パートタイム労働者の時間当たり所定内給与)上昇率は4.8%。7月の3.6%から再び高まっています。パート時給上昇率はこのところブレが大きくなっているのが気になるところです。

8月は所定内労働時間減少

 労働時間は再び前年同月比減少となりました。以下の表で示した総実労働時間だけでなく、所定内労働時間も減少(就業形態計0.7%減、一般0.6%減)や所定外労働時間も減少(就業形態計3.1%減、一般3.1%減)しています。出勤日数はほぼ変わらないので、何が原因なのでしょうか?

#日経COMEMO #NIKKEI


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