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客室稼働率は例年の半分程度~2021年4月の宿泊旅行統計調査

 遅ればせながら観光庁の「宿泊旅行統計調査」(2021年4月分)のポイントをまとめさせていただきました。後述するように、前年比は2020年4月が緊急事態宣言発令時に重なり、実勢をつかむのに役立たない指標になっていますので、稼働率に注目したいと思います。

宿泊施設稼働率は32.5%へ若干の低下
 4月の宿泊施設稼働率は32.5%と3月の26.9%から若干上昇しました。例年は60%近辺だったので半分程度です。前年同月(16.3%)よりはマシかもしれませんが低迷状態に変わりはありません。
 観光需要中心の「シティホテル」の稼働率は、3月の32.5%から4月は30%へと低下。例年の稼働率が8割であることを踏まえると、半分以下であり、苦境がうかがえます。「ビジネスホテル」の稼働率は、3月の46.4%から4月は43.3%に低下しました。シティホテルに比べれば、まだ例年に近いですが、厳しい状況に変わりないですね。

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客室稼働率の落ち込みが大きい都道府県は
 2021年の1~3月平均の都道府県別の客室稼働率を例年の値(2015~19年の1~3月の平均値)と比較すると、落ち込み幅が大きい順に、(1)大阪府(マイナス57.9ポイント)、(2)東京都(マイナス54.0ポイント)、(3)沖縄県(マイナス50.0ポイント)、(4)京都府(マイナス47.8ポイント)、(5)千葉県(マイナス45.4ポイント)となっています。大都市を抱える都道府県の落ち込みがかなり大きくなっていますね。

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延べ宿泊者数は2年前に比べて52.8%減
 2021年4月の延べ宿泊者数は2396万930人泊と、前年同期に比べて146.9%増になりました。ただし、これは前年の2020年4月に初めての緊急事態宣言が打ち出され、宿泊者数が激減したことによります。例年の水準を示すと考えられる2年前の同月と比較すると、52.8%減であり、4月の46.6%減から減少幅が拡大しています。

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都道府県別の2021年1~3月累計の延べ宿泊者数の減少率トップは沖縄県
 1ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、延べ宿泊者数の2021年1~3月の前年同期比減少率を最後に確認しましょう。減少率のトップ5は、(1)沖縄県(57.0%減)、(2)大阪府(50.5%減)、(3)京都府(50.4%減)、(4)千葉県(48.7%減)、(5)福岡県(46.7%減)となっています。沖縄県を除き、大都市圏の減少幅の大きさが目立ちます。この中で、奈良県が唯一、1~3月累計の日本人宿泊者数が前年を上回っています。コロナ禍による前年(2020年3月)の落ち込み(前年同月比62.7%減)が大きかった面はあるものの、2021年3月の増加率は78.5%と、全都道府県でダントツの高さです(第2位は北海道の54.7%増)。何等かの政策の影響があったのでしょうか?

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