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延べ宿泊者数は5ヵ月連続で2019年同月超え~2024年1月の宿泊旅行統計調査と2023年12月の出入国管理統計

観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2024年1月分が本日(2月29日)公表されました。「出入国管理統計」の「短期滞在」の入国外国人の動向ともにポイントをまとめたいと思います。


2024年1月の延べ宿泊者数の前年同月比、久しぶりの拡大

 2024年1月の延べ宿泊者数は4787万9390人泊であり、前年同月比で21.2%増加しました。2023年12月まで10ヵ月連続で伸び率が縮小していましたが、2024年1月は久しぶりの拡大となりました。外国人観光客の寄与が14.7%と、2023年12月の13.3%から若干拡大し、日本人観光客の寄与も5.9%と4ヵ月ぶりの拡大となりました。

2019年の同月比での増加、外国人観光客がけん引

 前年同月比での比較は、全国旅行支援の有無などかく乱要因もあるため、今月から2019年の同じ月とのグラフも描くようにしました。2023年9月から5ヵ月連続でプラスになっており、プラス幅も拡大傾向にあります。2023年累計の延べ宿泊者数は2019年を超えませんでしたが、2024年は超えそうですね!
 2024年1月の2019年同月比は12.2%。外国人の寄与が6.2%、日本人の寄与が5.9%となっています。外国人観光客がけん引役となっています。
 なお、2023年累計の実績値は今月も公表されていませんでした(稼働率も)。年単位での比較は来月に行いたいと思います。

「短期滞在」の入国外国人は2019年同月を4ヵ月連続超える

 こうした外国人観光客の増加の背景にあるのが、90日以内の滞在予定で入国する「短期滞在」の外国人、多くが観光目的と考えられる外国人の増加です。現時点で判明している2023年12月において「短期滞在」の入国外国人は260万人で4ヵ月連続で2019年同月を超えました(1.14倍)
 「短期滞在」の入国外国人は2023年累計で2313万3626人。2019年の83%となりました。2023年の訪日外客数は2019年の79%でしたから、短期滞在を見た方がインバウンドの急回復ぶりをより感じられます。
 なお、早く実績値が判明する2024年1月の訪日外客数は、268万8100人で2019年1月とほぼ同じでした。2019年同月を上回る勢いが収まってしまったのか。来月公表される短期滞在の2024年1月を待ちたいと思います。

客室稼働率、コロナ禍前水準に並ぶ

 客室稼働率はコロナ禍前水準に並んできました。2024年1月の宿泊稼働率は51.7%。前年同月(46.3%)に比べて5.4ポイントの改善です。2019年以前のコロナ禍前水準とほぼ並びました。区別がつかなくなりそうなので、2024年の客室稼働率のグラフは白抜き丸印にしたいと思います

 宿泊施設タイプ別にみると、コロナ禍前水準に回復したのはビジネスホテルのみのようです。2024年1月のビジネスホテルの稼働率は63.1%と前年同月に比べて6.6ポイント上昇しました。
 これに対して、観光需要が中心のシティホテルの1月の稼働率は63.4%。前年同月に比べて7.1ポイント上昇しましたが、2019年の67.4%にはまだ届かない状況です。リゾートホテルも47.0%と前年から4.3ポイント上昇しましたが、コロナ禍前は5割を超えていたことを踏まえると物足りない水準です。旅館はほぼ前年並みの29.7%でした。

客室稼働率が例年の値を上回ったのは12県

 1ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、2023年1~12月平均の都道府県別の客室稼働率を例年の値(2015~19年の1~12月の平均値)と比較すると、12県(青森県、岩手県、栃木県、新潟県、富山県、福井県、長野県、滋賀県、徳島県、愛媛県、高知県、熊本県)が例年の値を上回りました。前月と変わらずです。なお、富山県は、今後、震災の影響が懸念されます。
 例年は外国人観光客が多かった都道府県の客室稼働率はまだまだ例年の値には及びません。落ち込み幅が大きい順に、(1)大阪府(マイナス14.7ポイント)、(2)京都府(マイナス11.4ポイント)、(3)沖縄県(マイナス11.2ポイント)、(4)神奈川県(マイナス9.7ポイント)、(5)鳥取県(マイナス8.8ポイント)となっています。

延べ宿泊者数が2019年同期を上回ったのは12都県

 2023年1~12月合計の都道府県別の延べ宿泊者数の前年比を確認してみましょう。山口県を除く全都道府県がプラスになっています。最大の伸びになったのは沖縄県で66.2%増になりました。
 また、大都市や観光地を抱える都道府県では、外国人のプラス寄与が目立ちます。例えば、東京都は延べ宿泊者数が前年に比べて64.8%増加しましたが、うち60.9%が外国人の寄与となっています。

 一方、4年前(2019年1~12月合計)と比較すると、前月と同じ12都県(北海道、栃木県、埼玉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県、愛媛県、高知県、長崎県、熊本県)で延べ宿泊者数が増加となっています。東京都が外国人観光客を中心に2019年対比でも23.2%増と最大の伸び。外国人観光客も引き付けている姿が確認できます。

クルーズ船観光客、一進一退の動き

最後に、「出入国管理統計」の「入国審査・在留資格審査・退去強制手続等」の中で把握される「船舶観光上陸」を許可された人数を確認してみましょう。いわゆるクルーズ船観光客で、宿泊需要にはなりませんが、お土産などの消費につながる可能性があるものです。
 2023年12月は1万8837人と前月に比べて増加。2019年同期比も14%へと上昇しました。クルーズ観光は一進一退の動きのようです。


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