地元の高校でネット環境がない生徒がいると聞いたのでカンパを集めてICT機器を貸し出した件
はじめましての方ははじめまして。戸田です。
静岡県掛川市という人口10万人くらいの街で、株式会社あらまほしという小さな会社を経営し、テクノロジーを活用して企業や行政の課題解決をする仕事をしています。
この度、静岡県立掛川工業高等学校さんにて、休校対策として授業のオンライン化を進められるということで、地域内外の支援者の方からのご協賛を取りまとめ、生徒さんたちのICT環境整備を一部支援させていただきました。
本プロジェクトについて、経緯と流れをご報告するとともに、ご協賛いただいた方々のご紹介をさせていただきます。
きっかけはSNSから
昔から、いやなことがあってムシャクシャすると寄附をする癖があります。
諸事情で心がささくれ立っていたGW明けの5/7(木)、NPO法人CLACKさんの「外に出られずネット環境もない高校生50人にパソコンとWi-Fiを届けたい」というクラウドファンディングプロジェクトを支援し、これをFacebookにシェアしました(すでにプロジェクトは終了済)。
このシェアを見て、以前からTwitterなどでつながっていた掛川工業高校のけいすけ先生から「本校のネット環境も端末もない子、なんとかしてあげたいです」とコメントをいただいたことが今回のきっかけでした。
「なんとかなりそうな気がする」
コメントいただいたその日の夜にテレカンしたところ、すでに生徒さんたちのインターネット環境等の調査に着手しており、どうやら端末もインターネットもないという生徒さんは数名程度で、彼らをフォローすればなんとかなりそう、とのことでした。
それくらいならなんとかなるかな、ということで弊社にてiPadとモバイルルータを5台ずつ借り上げ、それをお渡しします、ということをとりあえずけいすけ先生にお伝えし、管理職の方と翌日ご協議いただくことになりました。
5/8(金)、けいすけ先生から管理職の承諾が取れたという連絡を受け、さっそくiPadとモバイルルータを手配にかかりました。
直近の登校日が5/14(木)で、これに間に合えばベターということでしたの少々急ぎました。兵は拙速を尊ぶ。
案の定、特にiPadは品薄だったのですが、それでも4社ほど問合せをしたところ1社見つかりすぐに注文。
というわけで、無事にiPadとモバイルルータが5/13(水)に届く手筈が整いました。
「みんなでなんとかしようぜ」
あわせて、同日21時過ぎ、Facebook、Twitter、LINE、参加しているいくつかのグループチャットに以下の投稿をし、カンパ(協賛)を募りました。
【カンパ募集】掛川の高校生にiPad・モバイルWi-Fiを届けます
こんばんは、戸田です。
知人の先生からご相談をいただき、学校再開までの間、株式会社あらまほしとして、掛川工業高校さんにiPad及びモバイルWi-Fiを各5台貸出することになりました。
貸出するiPadとモバイルWi-Fiは、自宅に機器や通信環境がなく、授業動画の配信が始まった時に受講できない生徒さんに貸し出されます。
こちらの機器貸出について、有志のみなさんにカンパを募りたいと思います。
カンパしてもいいよ!という方はコメントまたは戸田までメッセージいただけましたら幸いです。
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■募集要項
・募集金額:計45,000円(1口5,000円×9口)
・支払方法:銀行振込
・募集期限:5/10(日)18:00
・その他:寄附控除対象等の税制優遇はありません(振込先が弊社のため)
領収証は発行させていただきます(弊社名にて)
■リターン
・徳を積めます。
・弊社Webサイトなどでお名前をご紹介します。匿名も可。
■使途
・Apple iPad Air2 16GB Wi-Fiモデルレンタル料(3週間)
・SoftBank モバイルルータレンタル料(30日)
・送料
※カンパが集まらない場合も貸出を行うことは確定しています。
※故障・紛失時の補償等は弊社にて負担します。
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以上です。
弊社単独での寄附にしようか迷ったのですが、たくさんの方に関わってもらうことで、生徒さんたちに「地域の大人に自分たちは大事にされてるんだな」と感じてもらえたらよいかなと思い、カンパのお声掛けをさせていただきました(ただし、感謝を強要するのは趣味ではないので、生徒さんからメッセージをもらったりはしません)。
というわけで、特に見返りはありませんが、それでもいいよ〜という方、ぜひコメントまたはメッセージいただければと思います。
投稿してすぐに反応をいただき、3時間ほどで募集した9口が集まりました。
さらに寝て起きても「もう締め切っちゃった?僕も寄附したいんだけど」という嬉しいメッセージもいくつか。
掛川工業高校さんへICT機器のお渡し
このような経緯で無事に手配できまして、本日13日(水)に掛川工業高校さんにお渡ししてきました。よかったです。
校長先生へiPad Airをお渡しする場面。
こういう「寄附しました!」みたいな写真撮るのダサくね?とか正直思ってたんですが、これの意味がようやくわかりました。
「ちゃんといただいたお金を使って寄贈したよ!」というカンパしてくれたみなさんへの証拠写真なんですね……。今までダサいとか思っててごめんなさい。
協賛者のみなさま
こんな感じで掛川工業高校さんに無事ICT機器をお届けすることができました。
これも協賛してくださったみなさまのおかげです。
というわけで協賛者のみなさんのご紹介とお礼をさせていただきます(弊社と匿名希望の方を除く)。
【法人・団体】
・ カワサキ機工株式会社
・ 株式会社梅木屋
・ 神谷スマホ教室 代表 神谷 知里さん
・ 技術士事務所YMKS
・ 桜木わくわくサポーター
・ BRN(バイクレスキューネットワーク) 鈴木 繁雄さん
・ Hi-Bike
・ ログハウスいなてん
・ 株式会社あらまほし
【個人】
・ 影山 淳さん
・ 願真さん
・ 斉藤 雄大さん
・ 浜岡 宏樹さん
・ 匿名希望さん(掛川工業高校卒業生)
カワサキ機工株式会社
100年以上の歴史を誇る日本を代表する製茶機械メーカーさん。
掛川工業高校さんとはオリーブの搾油機開発プロジェクトにも一緒に取り組まれていらっしゃいます。
http://www.kawasaki-kiko.co.jp/
株式会社梅木屋
大正3年創業、掛川駅前の老舗紳士服・学生服の仕立て屋さんです。
掛川西高さんとの連携も多く、地域貢献活動にも熱心に取り組まれていらっしゃいます。
神谷スマホ教室 代表 神谷 知里さん
2020年1月創業、磐田市、浜松市で高齢者向け訪問型スマホ教室事業を運営されています。掛川西高の吉川先生からご紹介いただきました。
技術士事務所YMKS
Code for Kakegawaでも一緒に活動させていただいている方です。「今の日本は子供たちに回るお金の割合が低く、将来的に今の子供たちが困るように感じている」という危機感からご寄附いただきました。
桜木わくわくサポーター
お申込みいただいたのは、障がいのある方もハッピーに暮らせるまちづくりなどに取り組んでおられる方です。また取組でお返ししたいと思います。
BRN(バイクレスキューネットワーク) 鈴木 繁雄さん
掛川市を中心にオートバイによる災害救助ボランティアに取り組んでおられます。掛川工業高校さんの卒業生でもあり、BRNとしてのお付き合いも長いとのこと。
Hi-Bike
茨城県つくば市にある自転車専門ショップさんです。大学時代に大変お世話になった方々が経営されています。
ログハウスいなてん
伯父の経営する日坂八坂線(静岡県道415号)沿いにあるログハウス仕立ての食堂です。よかったらぜひ食べに来てください。
影山 淳さん
掛川工業高校1期卒業生の大先輩です。母校の後輩たちが困っているということでカンパをお申し出いただきました。
願真さん
アイドレスというゲームの仲間です。名前はお察しの通りハンドルネーム。
「地域の人間ではないですが、ご助力したく!」という義の男です。
斉藤 雄大さん
地域、企業などをさまざまな人をつないで課題解決に取り組むNPO法人ESUNEさんのプロジェクトコーディネーター・事務局長として活躍されています。学生の頃から市民委員などでご一緒させていただいています。
浜岡 宏樹さん
筑波大学トライアスロン部の後輩です。いいヤツです。
今は東京でAskyingというユーザーインタビューマッチングサービスを始めたイントレプレナ(企業内起業家)としてがんばっています。
ご紹介は以上となります。本当にありがとうございました!
これからの動き
お気付きになられたかもしれませんが、9口募集のところ13口のお申込みをいただきました。儲かってしまう……。
もちろん弊社にプールするわけにはいきませんので、掛川工業高校さんと相談しながら有効に活用させていただく予定です。
また、今回掛川西高校さん、掛川工業高校さんのICT教育のお手伝いをちょこっとさせていただいたのですが、掛川東高校さん(母校)や小中学校さんには何もできていないので、オファーいただければいつでも駆けつけたいと思います。
掛川工業高校さんはいよいよ本格的に取組を推進することになるかと思います。がんばってください。
そして誰より、今休校中の生徒のみなさんへエールを送ります。
部活がなくなってしまったり、学校で友人と会えなかったり、そもそも受験の時期もわからない状況で不安かもしれません。
がんばれ……と気軽に言ってよいものかわかりませんが、せめて健やかにお過ごしください。
他の地域で同じような問題意識を持っている方へ
今回、経緯をそれなりに詳しく書いたのは、他の地域で同じ問題意識を感じている方の参考になるかもしれないと考えたからです。
今回の場合も、僕が動いたからできたのではなく、学校現場でがんばっている先生がいるから、そこで困っている部分を少しだけお手伝いできたにすぎません。
でも、もしかしたら、あなたが動くことで少しだけ何かが変わるかもしれません。
昨日、瀧本哲史さんの遺した講義録『2020年6月30日にまたここで会おう』を読みました。
彼は「たったひとりのすごいカリスマに頼るのではなくて、自ら考える小さなリーダーをたくさん育てよう」と、何冊かの本を書きました。
僕も本当は、スティーブ・ジョブズのような、あるいは春日 恒太のような「すごいカリスマ」になりたかったんですが、ここ数年いろいろ挑戦してみて、やっぱりなかなか難しいんだな、と思う日々です。
ですが、例えカリスマになることは叶わなくても、小さな地域の小さなリーダーであろう、他の誰かがつけてくれた明かりに従って進むのではなく、自らが明かりになろう、という気概はまだ残っています。
そして、それぞれの地域で、同じ志を持つ小さなリーダーはきっとたくさんいるだろう、と信じています。
やっていきましょう。
P.S. 他の地域で同じような問題に直面していて、それをなんとかしたい、という志を持っている方にとって、このnoteが少しでも役に立てれば幸いです。
もしもっと具体的に知りたいことなどがあれば、TwitterかFacebookでお気軽にメッセージいただければと思います。例えば「キッティングどうしたんですか?」とか「Apple IDどうしたんですか?」とか。
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