#4 文化祭
高校生のときの文化祭はよく覚えている。もしかしたら、鮮明に覚えているのかもしれない。
文化祭は一年生の頃と三年生の頃、数でいえば2回しか開催されなかった。
コロナウイルスのおかげで3回しかなかった文化祭が2回になってしまった。今となってはもっとやりたかったって思う。なんで当時そうは思わなかったかというと、クラスに友達がいなかったからだと思う。多分そうだった気がする。
1度目の文化祭はタピオカ屋さん的なものをやった気がする。ポケモンセンター風のタピオカ屋さんだ。クラスのリーダー的男子が「ポケモンがいい!」と決めた。なかば強引だったと思う。他に声も意見も上がらなかったから、それに決まった。こういうクラスだった。多分。
でも、案外準備は楽しかった。誰かが下書きをしたポケモンにただひたすら”色”を塗る係。黙々と塗っていた。少しだけポケモンの名前を覚えた気がする。今はもう忘れてしまったけれど。
当日、うちの店は大繁盛で小さい子供がたくさん来てくれた。「ポケモンだ!」と叫びながら駆けてくる子供が何人もいた。その笑顔を見て、ポケモンにして大正解だったんだなって思った。クラスのリーダー的男子はシフトもほっぽりだして、部活の友達と一日中文化祭を満喫したらしいけど。
子供たちのおかげで、はやいうちにタピオカは売り切れてしまった。12時半を少し過ぎたころには店じまいをした気がする。実は僕がタピオカを飲んだのはその日が初めてだった。思いのほか美味しくておかわりをした。先生は笑って、冷たいタピオカピーチティーを僕にくれた。
それから僕は視聴覚室でやっていた軽音楽部のライブを見に行く。
つづく
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