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ラマナ・マハルシの『私は誰か?』解説その12

※タイトル写真はアルナーチャラ(大嘘)の売店兼食堂。ちなみに5月前後の茶摘み時には閉店となる。ここだけでなくこの周辺一帯の道の駅が。


今回は問25と問26。

もうホンマに書きたいことは書いたので、最後まで一気にいこうかと思ったのですが、残り4問なので2問ずついきます。

問25 洞察力(ジニャーナドリシュティ)とは何でしょうか?

  • (「私」という思考を根本とする)マインドを真我に還らせ、静寂にあるのがジニャーナ・ドリシュティである。

  • 千里眼やテレパシーのような「超能力」はジニャーナ・ドリシュティではない。

が回答。

まずは「ジニャーナ・ドリシュティ」というタフに出てきそうな単語について。

自己認識または自己実現の状態であるjnanaでは、見る人も、見られる対象もありません。あるのは見るだけです。この状態で起こる「見る」ことはjnana drishtiと呼ばれ、真の「見る」ことであり、真の「知る」ことです。そのため、「真の知識を通して見る」と呼ばれます。
『バガヴァンの日々』の中で、バガヴァンは、この「見る」ということは実際には「存在する」ということであり、同じ名前で呼ばれる感覚活動と混同したり、その感覚活動に限定したりすべきではないと指摘しています。
「あなたは自己です。あなたは常に存在します。自己が存在すること以上に自己について述べることはできません。神や自己を見ることは、神またはあなたの自己であることに過ぎません。見ることは存在することです」

『Who am I?』David Godman

要するに、
「私―マインド―世界」を真我の内にとどめ、ただ在ること
がジニャーナ・ドリシュティで、これまで散々説明されてきたことであります。

オリジナル版『私は誰か?』における問1「私は誰でしょうか?」の回答が、
「私とはジニャーナであり、ジニャーナの本質は存在・意識・至福(サット・チット・アナンダ)である」
というのを覚えていた人は簡単に理解できたことでしょう。

まぁ、理解できたり用語を覚えても実践しなきゃ意味ないんだけど。

超能力なんていらないわ(笑う)

あと「超能力はジニャーナ・ドリシュティではない」というのを見て、「えーどうしてー?」と思われた人もいるでしょうが、理由は以下の引用の通り、
「超能力があなたを自由(真我)へと導くことはないから」
「超能力は『私』、つまりサンサーラ(苦しみの輪廻)を強化させるから」
であります。

だが、これらの特殊な能力は「私がこの不思議をおこなっている」「私は空中を浮遊している」という自我を通して機能しているのだ。まだ「私」がそこに存在している。
(中略)
私はヒマラヤで空中浮遊できる人に会ったことがある。
だが彼の心は落ち着かず、平和を知らなかった。
彼は言った。「私のグルはこれを教えてくれました。しかし彼が死ぬ前に言ったのです、『これが最終的な真理ではない。私自身、究極の真理を師から得ることができなかったのだ。私が死んだ後、真の知識を与えてくれる師を探しなさい』と」。
この男はもっているすべての能力を私に見せた。その中のいくつかは実に見事なものだった。
私はグジャラートで透視能力をもつ人にも出会った。
(中略)
これらは超能力ではあっても自由ではない。超能力はサンサーラに属する。そして超能力に没頭すればするほどサンサーラは倍増していくのだ。
(中略)
超能力があなたを自由へと導くことはない。なぜなら、それはあなたを他のこと、真我とはまったく関係のない物事に夢中にさせるからだ。
もしあなたが充分純粋で、長い間修練をすれば、空中浮遊を学ぶこともできるだろう。何年も費やしてついに成功したとしても、結局あなたは蝶にさえできることをしているだけだ。

『覚醒の炎』

ぶっちゃけると「超能力」なんていっても、この「世界」の中だけの話だということ。

空中浮遊といえば、某カルト教団の人とかこれ読んだらどう思うのでしょうか。
空中浮遊できない私としては、よく分からんけどまぁそうなんだろうなと思ってしまいますヮ。

問26 無欲と智慧にはどんな関係があるのでしょうか?

  • 無欲=智慧である。

  • 無欲:心があらゆる対象物に向かうことを差し控えること。

  • 智慧:何の対象物も現れないこと。

が回答。

「対象物」というのはもろちん、問4から散々出てきている
「見られるもの」である世界
のことであり、

言い換えれば、
「私」が認識している全てのもの―思考、感情、知覚、記憶、身体、他人、人間関係、出来事、モノ、カネetc.
のことであります。

なので、これらを「真実だ!」と思い込んでいる限りは、真我は現れないというのは問5と問6にある通り。

※「私」が認識している=「真実」とカン違いしている

そして、「これは真実じゃないんだ!」と思い込もうとしても無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!なのも散々書いてきた通り。

以上、ちょっと復習したけど、さっぱり分からないという人はまた最初から読み直して自己探求しましょう。

私も最初はこんなの意味不明だったので、「これはな誰でもそうなるんや」と親切なことを申し上げたところで、今回はここまで。

<参考文献>