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私のものづくり ~新企画キュロットパンツ~ #企業公式のnote

こんにちは、こんばんは。戸田被服株式会社の あらい です。

本日のテーマは『ものづくり』。

私が平素想っている事を有り体にお話ししながら、現在企画している商品『秋冬向けキュロットパンツ』のご紹介も致します。
どうぞ最後までお付き合いください。

はじめに ~私のものづくり~

①商品開発のきっかけ

商品開発のきっかけになるものは『何気ないお客様のお声』です。
お客様からの問い合わせだったり、弊社商品のレビューだったり、頂いたお手紙やメールだったりで、間違いなくお客様のお声が切っ掛けとなっています。

それらを拝見している時にピンとくるものがあるんです。
「ん?」という違和感といいますか、直感といいますか。
ちょっと気になる感じが生まれます。
「これを作ったら、この方はどんな未来になるかな?」とか、ざっくりそんな感じです。

②根拠さがし

きっかけが生まれたら、製品化にあたって必要なデータを揃えます。
大まかに言うと『ちょっと気になること』を解決するようなデータと、『どれくらい需要があるのか』『競合はどれくらいいるのか』の数字データです。
所謂『根拠』ですね。

①『ちょっと気になること』を解決するようなデータ。
これはお客様のお声、特にネガティブレビューなどをもとに「解決できないか?」と自分の考えを深掘りしていきます。

ある程度深掘りが出来たら、次にその考えが正しいのか、より必要な情報がないのかを探ります。
たとえば運動性機能に関するものであれば、それに対応する科学的根拠を探ります。

これは『そのネガティブな要素が発生してしまう要因を根本から解決するため』です。思いこみであってはならないので、探る時は必ず一次データを見るようにしています。

参照する一次データは、主に図書館にある貸し出し禁止帯のついたような書物や、国民生活センターにて発表されている統計データなどです。

たとえば加齢に伴う女性特有の前傾姿勢について。
『何歳あたりから腰が曲がり始めるのか』腰が曲がった人が既製品のズボンを穿いた場合、どの部位の生地がたるみ、どの部位の生地が張るのかなど。そういったものを調べることが可能です。

自分の思いだけで作ってしまっては、予想しなかった事態が発生したり、根本が解決しなかったり、全く売れなくて在庫だけが山のように溜まって赤字続きになってしまったりと、様々なリスクが発生してしまうことも。

それらを防ぐ為に可能な限り情報を揃えます。

③お客様の声と比べてみる

②で必要なデータを集め終えたら、またお客様のお声に戻ります。
お客様の声とデータを比較して、商品の細部を考えていきます。『誰の為のものか』を考えて、生地や縫製仕様などを細かに決定します。

ここで初めて商品企画書を提出します。そんな風にして、私は商品企画を行っています。

『お客様の声』は本当に大切な財産です。

素直な感想をお寄せいただくことで、これまで気づかなかったことで改善すべきこと、新しい商品開発のきっかけに繋がっていきます。

今回の企画『秋冬物キュロットパンツ』について

キュロットに関しては、春夏物限定で生産してきました。
私が入社する以前になりますが。過去には冬物を作ったり、少し長めのものを作ったりしていました。しかしながらほぼ売れなかった為に、生産を中止に至りました。

そんな経緯がある秋冬物キュロットパンツでしたが、たった一人のお客様を受けて、再び生産しようと企画しました。
目下生産中でして現状は発売開始に至っていません。
決まり次第お知らせいたします。

以前売れなかった教訓を踏まえ、お声をお寄せいただいたたった一人のお客様とやり取りを重ねながら、新しい秋冬キュロットパンツとして企画を進行していきました。

また今回は、平行して行っている作業があります。
Webショップでお買上頂いたお客様にお届けしている冊子『ねきにたう』。こちらに今回の商品の事についての記事掲載予定です。
ねきにたうの作成担当である粟根が、主にお客様とのやり取り重ねています。頂いた意見を元に微調整や、販売ページ作りを行っています。

①生地について

生地は東レ『トレヒート』を使用しています。
太陽光を蓄熱氏保温する機能性生地で、同生地を使用したパンツ股下63㎝タイプは総売上本数470,403本(2022年8月末現在)!とても人気がある生地なんです。

クリックすると販売ページにいけます
室内利用でも、室内灯による発熱保温機能は確認されています。

使用した型紙

モデル身長153㎝

▽同一タイプのキュロット

キュロットパンツにはゴム入替口がある物と無いものがございます。
今回は「あり」にて企画しました。お客様から「何故ゴム入替口があると便利なのか」のお話を伺うことができまして、ゴム入替口は必須条件となりました。

丈の長さは迷いました。
色々データを探れば探るほど『長いのではないか』という想いが強くなりました。

日本人の平均身長のデータや、股下高。
穿かれる方の身長や年齢。加齢による前傾姿勢。
前傾姿勢であればどのあたりがもたつくか・・・などなど。

根拠探しで得たデータで悩むんですね。
うーん・・・・「キュロットパンツ」だから・・・どっちがいいのかなと。

迷いに迷って総丈を65㎝から55㎝へと短くしようと当初は考えました。
もう一度お客様のお声を拝見し、一考して総丈55㎝は止めました。

そのあたりのお話は、ねきにたう秋号に詳細を掲載できるのではないでしょうか。

グレーディング・生産数決定

グレーディングとは、サイズのことです。
標準寸法の型紙をもとに、必要に応じた大小のサイズを決定していきます。

今回はSサイズを入れました。
頂くレビューの中に「Sサイズがあったら嬉しい」とよくお声をいただいています。ですので新商品を作成する際には、なるべくSサイズを入れるようにしています。

あとは大きいサイズです。
弊社の最大サイズは8Lまでとしているので、今回はどうしようか悩みました。キュロットの場合、最大サイズは5Lまでしか作っていなかった為悩みました。

これまで販売してきたキュロットの売上実績データや、現行の8Lサイズがある商品のレビュー等を拝見し、やはり5Lまでと決定しました。

ちなみにキュロットで一番売れているサイズはLでした。

生産数はキュロット自体の実績データで決めます。
年間を通じてどれくらい売れるのかをみて、そこから各色、各サイズに裁断数をきめました。

まとめ

そんな感じに企画進行中のトレヒート®キュロットパンツ。
他商品も縫製中の為、そちらの兼ね合いもあって発売が10月末になりそうです。

判断に迷ったときは、データも大事ですが『誰に着て欲しいのか』ここを忘れてはいけないと、改めて感じます。

ものづくりも、情報発信も同じところがあります。
誰に何を伝えたいのか、その人がどうなったら嬉しいのか
それを忘れることなく、しっかりと形にし続けます。

2022年9月9日 文:戸田被服株式会社 新井 美晴


広島県福山市北部の小さな会社で地道にズボンを売っている会社です。記事はWeb販売管理部の新井・中田・粟根が書いております。 少しでも弊社の事をお近くに感じて頂けたら幸いです。